意外と知らないお布施のマナー 包み方・金額・タイミング

多くの人が気にする葬儀の費用。その中でも、お寺に渡すお布施が一番不明瞭でどれくらい包めばよいかわからないものですよね。一般的にお布施とは、僧侶に対して葬儀や法事で読経などの供養をお願いするお金のことをさします。では、金額などは誰に聞けばよいのでしょうか?

この記事では、お布施のマナー、金額相場だけでなく、包み方や渡すタイミングについて取り上げます。

お布施はの本来の意味

もともと仏教では「お布施」とは施しを与えることとしています。六波羅蜜(ろくはらみつ)と呼ばれる、仏教者のすべき6つの修行のうちの一つ目に挙げられるのが「布施」なのです。

施しを与える、とはどういうことなのでしょうか。布施には「財施」と「法施」と「無畏施」の3つがあります。

財施とは、金品や財物を差し出すことです。お金があることで人は執着します。この執着を手放すことを大切にしているのです。東南アジアでの南方仏教ではいまでも「托鉢」と呼ばれ、在家信者たちがお坊さんにお金を施す姿が日常的にみられますが、それこそが財施なのです。

法施とは、仏さまの教えを施すことです。つまり、よき教えを人々に広めることを意味します。いまでいうところのインターネットにおけるシェアやリツイートがこれに似ています。よき情報を自分だけのものにせず広く人々と共有することを説いています。

無畏施とは、不安や恐れに困っている人に寄り添って、その恐れを取り除いてあげることです。

これら3つを実践することで、仏に近づくものとされているのです。

 

お布施は「志」を包む

 

現代的における「お布施」は財施、つまりお金を包んでお坊さんに差し出すものとして捉えられています。そこには故人の成仏を祈りご本尊にお供えするという宗教的な意味があります。

ですから、お経をあげていただいた僧侶への謝礼というよりも、「ご本尊へ捧げるお布施」であると覚えておきましょう。

このように本来は志を包むものなので、金額に決まりや定価は存在しないということなのです。お賽銭箱に何円投げ入れるかに決まりがないのと同じであくまでも「お気持ち」のものなのです。

 

お布施の金額を直接聞いてもよい

僧侶に聞くと「お気持ちで結構です」という答えが返ってくることがありますが、「お気持ち」と言われて戸惑うこともあるでしょう。

お寺に直接聞くことは失礼にはあたりませんので「ほかの方はどのくらい包まれているか教えていただけますか」と聞いてみましょう。

親戚関係にも聞いてみるほか、菩提寺があり檀家総代の方に相談できる場合は、その方に相場を聞いてみてもいいでしょう。

葬儀社に紹介してもらったお寺へ渡す場合は葬儀社に相談しましょう。

お布施と葬儀社への支払いとは別になります。

金額の相場

「お気持ち」だからと言って、何円でもいい、というわけではありません。そこには一定の礼儀や配慮が求められます。

お坊さんに葬儀に来ていただくということは、最低でも2日間拘束するわけです。しかもただ通夜と葬儀にやってくるだけではなく、戒名を考え、それを位牌に書いて、さらには宗派によっては表白と呼ばれる供養の願文を、その故人様の生涯や人柄に合わせて作成します。

そして、あの世とこの世をつなぐ儀礼を執り行っていただくわけですから、それなりの費用が相場として設定されるのだと思います。お布施が高すぎると不満も集まりますが、安すぎると「本当にこれで成仏してもらえるのかな」と不安になったりもするものです。

包む金額には授与していただく戒名や地域差などありますが、一般的にお通夜とお葬式の読経と戒名をお願いする場合、次のような金額が相場のようです。

東京およびその近郊では、30万円~50万円

大阪およびその近郊では、30万円前後

全国的にはもう少し幅があり20万~50万円のようです。

親戚関係や地元の方にも確認してみましょう。

お布施のほかに僧侶のお車代(交通費)、御膳料(食事代)を別途包むこともあります。ひとつの袋にまとめずに、分けて包むのが丁寧です。喪主が送迎の車を用意する場合や、お寺で葬儀や法事をする場合はお車代は不要ですし、会食の席にお坊さんも同席する場合は御膳料も不要です。

お布施を渡すタイミング

お葬式の場合は、お通夜もしくは葬儀を終えた後の渡すのがマナでしょう。

なぜ開式前かというと、通夜や葬儀の間、懐の中に入れておくわけにはいきませんし、控室に置いたままにしておくわけにはいきません。

ですから式が終わったあとに、控室に出向き、お礼とともにお渡しするのがよいでしょう。

僧侶を葬儀社に手配してもらった場合でも、葬儀社ではなく直接僧侶に渡します。

お渡しする際は小さなお盆または袱紗(ふくさ)や台付袱紗に乗せるとよいでしょう。

渡す際はお布施の表書きが僧侶に向くように差し出します。

決して小さな金額ではないので、迷うことがあれば周囲に聞くことも大切ですが、お布施は「志」を包むものと心得ておきましょう。

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