日本の葬儀の7割から8割は仏式で行われるという言われていますが、ひと口に仏式といってもさまざまな宗派があります。伝統仏教は、代表的な8つの宗派(天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗)があり、諸派を含めると28もの宗派に及びます。それぞれの宗派によって教えが異なり、読経や戒名も違ってくるのです。
そして案外、宗派を分からずに困っている人が多くいます。
故人の宗教や宗派がわからない場合、どのように調べればよいのでしょうか? 具体的な解決方法をご紹介いたします。
葬儀が発生すると、葬儀社に宗派を伝えなければならない
葬儀社は必ず喪主に宗教や宗派の確認をします。
なぜなら、宗教や宗派によって準備しなければならないものが異なるからです。
また、もしも葬儀社が寺院を紹介するのであれば、どの宗派の寺院に依頼するかを決めなければなりません。宗派がわからないと葬儀そのものができないのです。
葬儀に来る寺院は菩提寺? 紹介寺院?
葬儀に来る寺院には2通りあるのをご存じでしたか?
すでにお寺との付き合いがある場合はそのお寺(菩提寺といいます)に来てもらいますが、もしもお寺とのご縁がない場合は、葬儀社がお寺を紹介します。
- 菩提寺
「菩提寺」とは、その家の先祖代々の供養を取り仕切っている寺院のことです。また、菩提寺が供養する家のことを「檀家」と呼びます。菩提寺がある場合は、身内が亡くなったら速やかに寺院に連絡をしましょう。日程や葬儀の流れなども寺院の指示に従います。また、葬儀社に宗派を伝えなければならないのですが、もしも分からない場合は正直に寺院に確認すれば教えてもらえるでしょう。
- 紹介寺院
紹介寺院とは、菩提寺がない場合に葬儀社に紹介してもらう寺院のことです。故郷を遠く離れて菩提寺とのつながりが疎遠になってしまった人などは、寺院の手配を葬儀社に任せます。
この時、葬儀社は必ず宗派の確認をします。同じ仏教でも宗派によって教義が若干異なるため、葬儀社側から「どこでもいい」と言う訳にはいかないのです。もしも実家や故郷の寺院の宗派が分かればそれに合わせる人が多いようです。
違う宗派のお寺で葬儀をすることで起こりうるトラブル
宗派がわからないまま葬儀を進めてしまったためにトラブルに巻き込まれることもあります。
「葬儀社に紹介してもらったお寺に戒名を頂き葬儀を行ったものの、あとから違う宗派であることが判明した」「菩提寺があるにもかかわらず、別の寺院で葬儀をしてもらった」こういうケースでトラブルになりやすいのです。
違う寺院で授かった戒名は付け直さなければならないこともありますし、宗派が異なるとなおのことです。中にはお墓への納骨を受け付けてもらえないこともあります。
だからこそ、早めにわがやの宗派を確認しておきましょう。具体的にどのように宗派を調べるのか。順にご紹介してまいります。
宗派の調べ方1 寺院や親戚に聞く
菩提寺がある場合は直接電話で尋ねてみましょう。電話越しにすぐに教えてくれるはずです。もしも菩提寺すら分からないのであれば、親戚などに確認してみるのも方法です。
宗派の調べ方2 仏壇や位牌を確認する
実家や故郷、あるいは本家や親戚などの仏壇の中身を見ることで宗派を判断します。一般の方が判別にするには難しいかもしれませんが、以下、宗派別の特徴をまとめましたの確認してみて下さい。
- 天台宗
唐木仏壇が多く用いられています。ご本尊の中央に阿弥陀如来(あるいは釈迦如来)、右に天台大師智顗、左に伝教大師最澄が配置されています。ご先祖様は位牌で祀られます。
- 真言宗
唐木仏壇が多く用いられています。ご本尊(仏様の仏像や掛け軸)の中央に大日如来、右に弘法大師、左に不動明王が配置されています。位牌には、梵字の「ア」が見られます。
- 浄土宗
唐木仏壇が多いのですが、一部金仏壇もあります。ご本尊の中央に阿弥陀如来(光背が舟型)、右に善導大姉(上半身が金色)、左に法然上人が配置されています。位牌には、梵字の「ア」や漢字の「誉」が見られることもあります。
- 浄土真宗本願寺派(お西)
浄土真宗の正式な仏壇は金仏壇です。本願寺派と大谷派で仕様が変わるのですが、本願寺派の仏壇は、仏壇の中の柱がすべて金(金箔と金具)であることが特徴です。ご本尊の中央が阿弥陀如来で、後光が8方向に伸びています。
- 真宗大谷派(お東)
浄土真宗の正式な仏壇は金仏壇です。大谷派の仏壇は、仏壇の中の柱が黒の漆塗りと金の金具で作られているのが特徴です。ご本尊の中央が阿弥陀如来で、後光が6方向に伸びています。
- 臨済宗・曹洞宗
唐木仏壇が多く用いられています。ご本尊の中央に釈迦如来が祀られます。位牌には、「空」の文字や丸い円(円相)が彫刻されます。
- 日蓮宗
唐木仏壇が多いのですが、一部金仏壇もあります。ご本尊の中央に法華曼荼羅(いろいろな文字が書かれている掛軸)、右に鬼子母神、左に大黒天が配置されています。位牌には、「妙法」の文字や、戒名の中に「日」の文字が見られる。
宗派の調べ方3 お墓を確認する
お墓を見ても、宗派を判別することができます。ここでは、宗派別のお墓の特徴を見ていきましょう。
- 天台宗
天台宗にはこれといった特徴がありません。彫刻文字などにも決まりがないからです。他の宗派の特徴がなければ天台宗かもしれない、程度にしか判別できないでしょう。
- 真言宗
真言宗のお墓では、竿石正面に「南無大師遍照金剛」と彫刻します。「◯◯家之墓」と彫刻する場合、その上に梵字の「ア」を彫刻することもあります。これは真言宗の本尊の大日如来を表します。
- 浄土宗
浄土宗のお墓では、竿石正面に「南無阿弥陀仏」と彫刻します。「◯◯家之墓」と彫刻する場合、その上に梵字の「キリーク」を彫刻することもあります。これは、浄土宗の本尊の阿弥陀如来を表します。
- 浄土真宗
浄土真宗のお墓では、竿石正面に「南無阿弥陀仏」や「倶会一処」と彫刻します。また、浄土真宗では戒名のことを法名と呼び、「釋◯◯」(男性)、「釋尼◯◯」(女性)などと彫刻されていれば浄土真宗でしょう。
- 臨済宗・曹洞宗
臨済宗と曹洞宗はともに禅宗に含まれる宗派です。これらのお墓では竿石正面に「南無釈迦牟尼仏」と彫刻します。「◯◯家之墓」と彫刻する場合、その上に丸い円(円相)を刻むことがあります。
- 日蓮宗
日蓮宗のお墓では竿石正面に「南無妙法蓮華経」の文字が入ります。「◯◯家之墓」と彫刻する場合、その上に「妙法」の文字を刻むことがあります。
不幸というものは突然起こります。
事前に準備されていない方がほとんどなのではないでしょうか
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