葬儀の際に戸惑うことの一つに、お寺へのお布施の金額があります。明確な料金表があるわけでもなく、親戚の中にもわかる人がいないと困ることでしょう。葬儀をはじめ各法要の際、お坊さんにはいくらくらいお渡しすればいいものなのでしょうか。
今回はお布施の相場について調べてみました。
結論「30万円~50万円」
まずはじめに結論を述べます。30万円から50万円です。
ご存じの方も多いかと思いますが、お布施には、通夜葬儀の読経料、故人様がいただく戒名料等を含んだものとして包みます。
そして戒名によってお布施の金額に差が出ます。一般的な戒名とされている「信士・信女」だと30万円前後、ひとつ階級の高い「居士・大姉」だと50万円前後と言われています。
ちなみに、さらにその上の「院号」がつく戒名だと100万円前後となり、ここから上は包む側の気持ちや、お寺との関係性によって青天井です。
最近では「普通の戒名でいいよ」という方が多いので、30万円から50万円が、一般的な相場だと言えます。
相場は目安 そもそもお布施が定額ではない理由
さて、ここでお布施についての基本的な考え方を示しておきます。
そもそもお布施は「気持ち」で包むものです。これはきれいごとではなく、本当にそうなのです。
たとえば30万円という金額を、高いと感じる人もいれば安いと感じる人もいるでしょう。
経済的な事情は世帯によってさまざまだからです。
ここで大事なのは、30万円という金額ではなく、その人の心の中で、30万円がどれだけの価値を持っているかです。
「30万円払ってればいいだろう」
「精一杯頑張っても30万円が限界だ」
こう比較してみると、両者における30万円の価値の違いは全く異なりますよね。
仏教的な本来の意味に立ち返ると、お布施とは自分の内面に向き合う行為です。自分の心を見つめて、「この人の供養のために、どれだけのお金を差し出せるか」と自分で決めるべきものなのです。
だからこそ、ほぼすべての僧侶が「目安こそ伝えますが、あとはあなたのお気持ちで構いません」と話します。それは、お布施という本質が「心」や「お気持ち」を問うものだからです。
中にはお寺を維持していくために、檀家の中でお布施の金額を決めているところもありますが、それだってあくまでも目安です。必ずしもその金額を包まなければならないわけではありません。
用意するのはお布施だけではない
ちなみに、葬儀の時にはお布施以外にも、「お車代」と「お膳料」を包みます。
●お車代
お寺以外の場所で葬儀などを行う場合には無地の封筒に「お車代」と書いて用意します。要は交通費です。本来は家族や親族が送迎すべきところを、最近ではほとんどの場合、僧侶が自家用車で葬儀会場までやってくるため、送迎に代えてお車代を用意します。市内近郊であれば5千円から1万円、遠方であれば、実費としてかかる交通費に見合った額を包みましょう。
●お膳料
お坊さんが食事をされずに帰られる場合には「お膳料」をお渡しします。従来は、通夜や葬儀の後の食事の席も僧侶が同席しましたが、おもてなしの料理に代えてお膳料を包むことが多くなりました。こちらの相場もお車代と同じで、5千円から1万円でしょう。
金額をお寺に聞いてみる
前の章段で、「いくら包むかは包む側が決める」と書きましたが、しかし実際にどれくらい包むべきか迷ってしまうのもよく分かります。そんな時は思い切って直接お寺に聞いてみましょう。菩提寺がある場合には、直接金額を聞いてみても問題ありません。
もしも菩提寺がないのであれば、葬儀社が僧侶を手配してくれますので、お布施の金額についても葬儀社に相談しましょう。
葬儀後のお布施の相場
また、葬儀後の法要等でのお布施についても触れておきます。
葬儀の後、四十九日や三回忌といった各法要の際のお布施の目安は、四十九日法要や一周忌は一般的に3〜5万円、三回忌以降は1〜5万円のようです。これに加えて、お寺以外の場所で法要を営む場合にはお車代を用意するようにしましょう。
お布施は「感謝の気持ち」
ここまでみてきたように、「お布施」とは、読経や供養の対価としてお渡しするものではありません。供養していただいたお坊さんへの「感謝の気持ち」です。その気持ちをどれくらいの金額に替えるか、これはもうあなた自身が決めることです。
経済力がある方、あるいは僧侶にとても感謝しているという人はたくさんの金額を包むことでしょう。一方で、経済的に厳しい方や葬儀に価値を感じない方はわずかしか包まないでしょう。
そうした考え方のもと、30万円から50万円という相場が立ち上ってくるということは、私たちの社会の中では、これくらいの金額が妥当だと考えられていることの証です。これを1つの目安にしてみたらよいかと思います。
地域によっては、相場やしきたりにも差があるようですが、亡くなった方を悼む気持ち、そしてそれを弔ってくださるお坊さんへの感謝の気持ちを大切に考えられるといいですね。
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