意外と知らない宗教法人の税金や仕組みについて

「坊主丸儲け」こんな言葉を聞いたことはありませんか?

お寺や僧侶を揶揄した偏見のこもった言葉です。

バブル期の映画ではありますが、伊丹十三監督の『お葬式』の中で、俳優の笠智衆扮する僧侶がロールスロイスに乗って葬儀にやって来るシーンがあります。

これは明らかに過剰なデフォルメですが、お寺は一種の特権階級ですから、どうしてもこうしたイメージが定着しているのでしょう。

実際にはロールスロイスに乗って葬儀場にやって来る僧侶はまずいないでしょう(中にはそうした非常識な僧侶もいるのかもしれません)。

バブル期は葬儀そのものが「接待葬儀」などと呼ばれ、驕奢化していった時代です。お布施の相場も高騰しましたし、お寺が所有する土地の価格もうなぎのぼりでした。しかし、現在は多くの寺院はそこまで裕福ではないという事実があります。

それでもいま現在も「坊主丸儲け」という言葉が使われているのは、お寺を筆頭とする宗教法人が課税されないという優遇措置に対しての一般民衆の不満が表れていると考えられます。

意外と知られていない宗教法人の税金や実態について綴ってまいります。

宗教法人に税金が課せられない理由

宗教法人には税金が課せられない、とよく言いますが、すべての税金が非課税というわけではありません。宗教法人本来の宗教活動に対して、法人税は課税されません。その理由は2つあります。

(理由1)宗教法人の活動は利益を生まない

法人税とは、法人の所得(利益)に対して課せられる税金のことです。

一般的な会社(営利社団法人)は、営利を目的に営まれる法人です。ですから、会社が生み出した所得に対して課税されます。

一方、宗教法人は営利が目的ではないために、そもそも所得を生み出さないと考えられています。ですから法人税を課税しようがないのです。

(理由2)宗教法人には公益性があるから

宗教法人は、税法上は「公益法人等」に分類されます。これは宗教法人だけではなく。学校法人や医療法人もここに含まれます。

公益性を持った法人ですから、その法人の活動の目的は利益の追求ではなく、その宗教の教義に即して社会をよくしていくことにあります。社会全体にとってよいことをする法人であるために、さまざまな税金に対して優遇措置がとられているのです。

本来の宗教活動とは

では、「本来の宗教活動」とはどのようなことを指すのでしょうか。

これにはお布施・戒名料・お賽銭・お札料などが該当します。

境内で販売しているろうそくや線香など、その場でお参りに使用するものについても同様です。なぜならこれらは礼拝という宗教行為のために使われるものだからです。明らかに利益を目的とした法外な価格でなければ、宗教活動の範囲内とみなされて、これらにより得た収入には税金がかからないのです。

また不動産税についても、境内や寺社仏閣の建物については課税対象になりません。こうした建物も宗教活動を行うための場所だからです。ただし、駐車場などを有料駐車場として駐車料を徴収する、あるいは宗教活動とは関係ない不動産所得がある場合には課税対象になります。

宗教法人の収益事業 34事業

宗教法人の収益事業から生じた所得に対しては法人税が課税されます。国税庁は、宗教法人の収益事業として次の34種類を挙げています。国税庁が作成した冊子『宗教法人の税務』より抜粋します。

(1)  物品販売業

(2)  不動産販売業

(3)  金銭貸付業

(4)  物品貸付業

(5)  不動産貸付業

(6)  製造業

(7)  通信業、放送業

(8)  運送業、運送取扱業

(9)  倉庫業

(10) 請負業(事務処理の委託を受ける業を含みます。)

(11) 印刷業

(12) 出版業

(13) 写真業

(14) 席貸業

(15) 旅館業

(16) 料理店業その他の飲食店業

(17) 周旋業

(18) 代理業

(19) 仲立業

(20) 問屋業

(21) 鉱業

(22) 土石採取業

(23) 浴場業

(24) 理容業

(25) 美容業

(26) 興行業

(27) 遊技所業

(28) 遊覧所業

(29) 医療保健業

(30) 技芸教授業

(31) 駐車場業

(32) 信用保証業

(33) 無体財産権の提供業

(34) 労働者派遣業

この中で、一例として、下に挙げたものが該当します。

  • お守りやおみくじなどの販売

これらは(1)の物品販売業に該当します。利益が少なく参拝者の支払いが喜捨金と判断されれば非課税ですが、一定の利益が出る場合は収益事業とみなされます。

  • 不動産の貸付

(2)や(5)のように、宗教法人による、不動産の販売や貸付も収益事業と見なされます。

  • 宿泊施設の経営

寺院の場合、主に宿坊が挙げられます。(15)の旅館業に該当します。

 

宗教法人が支払う税金の種類

収益事業と見なされた場合の法人税以外に、宗教法人が支払う義務がある税金の種類はどんなものがあるのでしょうか。

宗教法人が僧侶などスタッフに「給与」を支払えば、サラリーマンと同じように所得税や住民税などが課税され、源泉徴収などもかかってくることになります。

自動車を保有すれば自動車税も納めることになります。

一部は「宗教活動」の一環として認められるものもありますが、「贅沢すぎないもの」と決められているそうです。

このように宗教法人はすべての税金が優遇されているわけではありません。

税率は他と比べて優遇されている面はありますが、それは宗教法人の公益性を考えて配慮されているようです。

 

 

このようにして見ていけば、「坊主丸儲け」という印象も変わるかもしれませんね。

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