内縁関係の場合、葬儀や相続はどうなる?

昨今、婚姻関係を結ばずに一緒に暮らすという人が少なくありません。いわゆる「内縁関係」や「事実婚」と呼ばれる状況です。こうした内縁関係のパートナーが亡くなった場合、葬儀や相続はどのように進めるべきなのでしょうか。

結論 葬儀の実施は可能だが、相続は不可

まずはじめに結論を述べます。内縁の夫または妻の葬儀の実施は可能ですが、遺産相続はできません。これは法律で、相続権を配偶者や家族などに限定しているからです。
どんなに長く一緒に生活していたとしても、婚姻届を提出していない限り夫婦(配偶者)とは認められず、遺産相続ができないのです。

葬儀の実施

葬儀は死亡届を役所に出して、火葬許可証を発行してもらえれば執り行えます。法律では次に挙げる人たちが届出人になれます。

●同居の親族、その他の同居者、家主、地主、家屋管理人、土地管理人
●同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者

内縁の夫や妻はこの「その他の同居人」に該当します。
また、実際に葬儀を実施する際は死後事務委任契約を結んでおきましょう。死後のもろもろの事務手続きを内縁の夫や妻に任せることができます。あとから苦言を呈されるなどのトラブルを回避しておくために、公正証書にしておくと安心です。

内縁の配偶者には相続権がないため、故人の資金を無断で使用すると、遺産の不正使用とみなされ、返済や損害賠償の請求されることがあります。

そのような問題を防ぐために、葬儀信託サービスを提供する信託銀行を利用する方法があります。このサービスを利用すると、葬儀の費用を事前に預けることができ、死後の手続きや葬儀の準備を内縁の夫や妻が行う際にも、資金の出所が信託会社によって適切に管理されます。

相続に代る3つの対策

内縁関係にある方は遺産相続の対象になりませんが、パートナーの財産を譲り受ける3つの方法があります。

生前贈与

一つ目が生前贈与です。「贈与」とは、簡単に言うと「だれかにお金をあげる」ということです。贈与の関係に決まりはないため(家族、友人、知人、だれにでもお金をあげることはできる)、本人が元気なうちに内縁関係のパートナーに贈与しておくとよいでしょう。

ただし、年間の贈与額が110万円を超える場合には、お金を受け取った側は贈与税の申告が必要となります。

また、生前贈与をしきれずに亡くなった場合、残った財産は遺産とみなされ、内縁のパートナーには受け取る権利がありません。

遺贈

「遺贈」とは、故人の遺言に則って、その遺産の一部あるいはすべてを特定の誰か(個人でも法人でも構わない)にゆずることです。

相続との一番の違いは、遺言が必要となることです。相続の場合は、本人が亡くなると自動的に、法定相続人に相続権が発生します。相続権のないパートナーに遺産を譲りたい場合は、遺言書を残しておくことで遺贈できます。

内縁のパートナーが遺贈として遺産を譲り受ける場合、以下の点に気を付けましょう。

▶遺言書は公正証書遺言に
遺言には、自ら作成する「自筆証書遺言」と、「公正証書遺言」の2種類があります。内縁関係の場合、公正証書遺言をおすすめします。公正証書遺言は、公証役場で、公証人が関与して作成されるため、法的効力も強く、相続トラブルを大幅に軽減してくれます。また、遺言書そのものの一部を公証人が保管してくれるため、万が一紛失しても安心です。

▶相続税の2割加算
内縁のパートナーが遺贈として、相続財産分も含めて遺産を譲り受ける場合、配偶者や一親等の血族が相続する時よりも、相続税が2割加算されます。

▶遺留分
もしも、パートナーに配偶者や子がいる場合、遺留分に配慮しなければなりません。どんなにパートナーが自身の遺産についての希望を遺言書に残していても、法定相続人にも遺産の一部の相続が保証されています。

生命保険の活用

生命保険金の受取人を内縁のパートナーにしておくことで、死亡保険金を受け取れます。

ただし、生命保険の受取人は、配偶者と2親等以内の血族が原則で、すべての保険会社が内縁関係のパートナーを保険金受取人として認めているわけではありません。また、戸籍上の配偶者がいないこと、同居の期間や、成形を同一にしているかなど、条件を設けているところもあります。

特別縁故者

もしも故人の法定相続人がひとりもいない、あるいは法定相続人はいるけれど全員が相続を放棄した場合、特別縁故者として認められることがあります。
特別縁故者とは、生前に一緒に生活していた人や身の回りの世話をしてくれた人などに対して、特別に相続権が認められる人のことで、家庭裁判所が判断します。
内縁のパートナーが特別縁故者と見なされるためには、長期間にわたり安定した内縁関係が継続していたこと、および遺されたパートナーが経済的に故人に頼っていた状況などが評価されます。

私たちAZUMA葬祭は、葬儀や仏事のプロフェッショナルです。お客様の不安に耳を傾け、想いに寄り添いながらサポートさせていただきます。不安に思うことや分からないことなどがございましたら、こちらのお申込みフォームから、お気軽にお問い合わせください。

お申し込みフォームはこちら
お電話:0120-66-5940(24時間・365日)

関連記事

  1. 台風や災害時、葬儀はどうなるの?キャンセル費用はかかるの?

  2. 日本とは違う世界のお葬式 キリスト教編

  3. 梅雨の季節での葬儀について

  4. お盆にお葬式は出来る?

  5. 突然の事故で家族を失った時 遺族がやるべき事

  6. お布施の金額の相場っていくら?

カテゴリー

  1. 形見分けはどのようにするべき?またいつ行う?

    2024.11.23

  2. 葬祭費とは?受け取り方は?

    2024.11.15

  3. 生前贈与に税金ってかかる?

    2024.11.06

  4. 葬儀の際に「もらえるお金」とは

    2024.10.30

  5. 忌引き後に会社に出勤したときの挨拶の仕方

    2024.10.23

  6. 遺言書には種類がある?遺言書が無効になるケースとは

    2024.10.15

  7. 遺品整理を行うタイミングは?

    2024.10.07

  1. 宗教・宗派がわからないときの調べ方

    2018.05.29

  2. 海外旅行先で、不慮の事故で死亡したらどうしたらいいの?

    2018.05.29

  3. 神道のお葬式でお願いするのは、神主さん? 宮司さん? どっち?

    2018.05.29

  4. 意外と知らないお布施のマナー 包み方・金額・タイミング

    2018.03.02

  5. 失敗しない日本でのイスラム教徒の葬儀

    2018.02.23

  6. 孤独死・孤立死で困らないための準備とは? 障がいを抱えた子ども…

    2018.02.01