納棺は、故人様を棺の中に納める際に執り行う儀式です。
通夜や葬儀と異なり、身内だけが集まって行いますので、堅苦しくなる必要もありませんが、一方で厳粛な側面もあります。
通夜や葬儀は喪服と分かっていても、納棺の時の服装で迷われている人は意外と多くいます。
納棺に立ち会う時にはどのような服装をすればよいのかをまとめましたので、参考になれば幸いです。
納棺の服装は、納棺の場所とタイミングによる
結論から先に言いますと、納棺の服装は、納棺の場所とタイミングによります。
自宅での納棺の場合は、平服でも喪服でも構いません。
葬儀式場での納棺の場合は、喪服を着用しましょう。
納棺がどのような儀式なのか、そしてどのように執り行われるかを見ていきながら、納棺の服装について詳しくご説明していきます。
納棺は家族向けの儀式
納棺とは、故人様のご遺体を棺の中に納めることです。
これをただの作業として行うのではなく、わざわざ儀式にしていることにはどんな意味があるのでしょうか。
通夜や葬儀の場は、寺院を招くという意味では「宗教的な儀式」ですし、ご近所の人や、会社関係や、ご縁のあった人たち(俗にいう「一般会葬者」)にも参列してもらうことを考えると、いわば「社会的な儀式」でもあります。
家族葬が主流の昨今でも、この宗教性や社会性を考えた時に、葬儀は厳粛に、あるいはしめやかに行われるべきですし、喪主や親族は寺院や参列者の対応に追われます。
ところが、納棺は家族や親族だけで行う「家族向けの儀式」です。
葬儀式場はただでさえ不慣れな場所で緊張を強いられますし、寺院や参列者の対応など、ばたばたと慌ただしくなってしまうものです。
それに対して納棺は、住み慣れた家で、故人様とゆっくり向き合えます。
また、納棺を葬儀式場で行うとしても、そこに同席するのはみな親族などの身近な人たちばかりです。
身近な人たちだけが集まって、故人様の肌に触れながらゆっくりとお別れができる、これこそが納棺の素晴らしい所なのです。
葬儀全体の中での納棺の流れ
納棺のタイミングに決まりはありません。
これは、ご遺体を自宅に安置するか、葬儀社や火葬場の安置施設を利用するかによっても大きく異なります。
- 自宅安置の場合
故人様を自宅にご安置する場合は、通夜当日に納棺することが多いでしょう。
たとえば、通夜当日の午後2時頃から納棺を始め、そのまま葬儀社の搬送車で斎場までお連れし、午後6時から始まる通夜式に備える、という流れが最もシンプルでしょう。
もちろんこればかりではありません。
日程的な都合で日程や時間帯をずらすこともあります。
また、夏の暑い時などは、棺の中にドライアイスを入れることで保冷効果が増すため、事前に納棺をしておくこともあります。
- 安置施設を利用する場合
自宅へのご安置が難しい場合は、葬儀社や斎場が保有する安置施設を利用します。
施設を利用する場合は、布団に横たわった状態での安置と、先に納棺をして安置するパターンと、2通りががあります。
遺族が納棺式を希望する場合は、布団のまま通夜当日まで安置して、通夜式が始まる直前に葬儀式場で納棺式を執り行います。
また、遺族が納棺式を希望しない場合、あるいはご遺体の状況から先に納棺しておいた方がよい場合は、葬儀社が納棺し、施設に預けます。
納棺に立ち会う時にふさわしい服装
さて、以上のことをふまえて、納棺の時にふさわしい服装を考えます。
- 自宅で納棺する場合は「平服でも構わない」
自宅で納棺する場合は、平服でも構いません。
これは、納棺が「身内向けの儀式」だからです。
通夜や葬儀という儀式に先立つ前の、家の中で行う儀式ですから、喪服を着用して喪に服していることを誰かに示す必要がないのです。
ただし、喪服でも構いません。
納棺を終えてすぐに葬儀式場へ移動するのであれば、喪服を着用しておくのがよいでしょう。
その家に住んでいる人なら着替える余裕があるかもしれませんが、遠方からやって来た親戚などは、予め喪服を着ておきましょう。
- 葬儀式場で納棺する場合は喪服
自宅での納棺ができない場合は、葬儀式場で行います。
この場合は喪服を着ておきましょう。
納棺を終えたらそのまま通夜式に臨むからです。
式場で着替えることもできますが、慌ただしくなってしまうので、事前に喪服を着ておくことをおすすめします。
喪服についての基礎知識と費用相場
喪服にも「正喪服」「準喪服」「略喪服(平服)」の3種類があります。男女別にどのような服装のことを指すのかご紹介します。
●男性の場合
正喪服は、和装だと黒無地の着物、洋装だとモーニングコート。相場は8万円から10万円です。
準喪服は、ブラックスーツ。シングルとダブルのいずれでも構いません。相場は3万円から5万円です。
略喪服(平服)は黒や紺やグレーのスーツ姿です。相場は2万円から5万円です。
●女性の場合
正喪服は、和装だと黒無地の着物、費用相場は8万円から10万円でしょう。洋装だとアンサンブルやスーツ、ワンピーススタイルです。
準喪服もブラックフォーマル(黒のアンサンブルやスーツ、ワンピースなど)です。
略喪服は黒や紺やグレーのスーツスタイルです。
女性の洋装の費用相場は3万円から5万円でしょう。
●子どもの服装
子どもはどのような服装を着用すればいいのでしょうか。
就学しているのであれば制服が基本です。未就学、あるいは制服のない学校の場合は、男の子は黒や紺やグレーのスーツスタイル、女性は黒や紺のワンピースなど、大人の平服を目安にすると良いでしょう。
●喪服はレンタルが可能
喪服を所持していない場合でもレンタルが可能です。喪服のレンタルは、葬儀社に依頼、貸衣装店、インターネットの3つの方法でサービスを受けられます。
平服の場合でも、控えめな服装にする
平服でも構わないとはいえ、納棺も故人様を送り出す大事な儀式です。
あまり華美なものは着ないようにしましょう。
衣服には、自分が何ものであるかを示し、自分自身の気持ちを表現する役割があります。
葬儀の場合では、自分が故人様の死を悼んでいることを示し、悲しんでいることを表現しなければなりません。
ですから、以下の点に気をつけます。
●「平服」と「普段着」を混同しない
平服とは、喪服を略した姿の事で、フォーマルな場に出てもおかしくないスーツ姿が基本です。ジーンズなどのカジュアルな服装は控えるようにしましょう。
●派手な色は控える
納棺が家族向けの儀式とはいえ、故人様を送り出すための儀式です。派手な色や暖色系の色の服は控えましょう。また、光沢や露出の多い服装も避けましょう。
●動物の柄や毛を用いたものは控える
露骨な革製品や毛皮など、動物を殺生を連想させるものは避けましょう。カバン、財布、靴、ベルトなどに使われがちです。
困った時は葬儀社に相談
納棺にも地域性があります。
遠方の親戚が納棺に立ち会ったところ、喪主たちが平服であることに不快感を示してトラブルになったケースもあるようです。
これは、親戚の住む地域と喪主の住む地域の慣例の違い、自分たちが考える「常識」の違いが原因です。
ですから、困った時には葬儀社に相談するのかよいでしょう。
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