弔辞とは、葬儀の中で故人と親交のあった人が故人に向けて読み上げる弔いの言葉です。
心を込めて述べられた弔辞は、遺族や参列者の心に深く響き、悲しみや戸惑いを抱える遺族の心の重荷を軽くし、癒しの力をもたらすことがあります。
また、弔辞者自身にとっても、故人との思い出を振り返る良い機会になります。しかもそれをことばにしたため、声に出して故人に届けることは、すばらしい供養に他なりません。
と同時に、弔辞は、弔辞者と故人との間で交わされる一対一のお手紙などではないため、遺族や参列者など、多くの人に聞いてもらうことを意識しなければなりません。
よい弔辞を行うためにはどのような点に気を付ければよいのでしょうか。心構えや、話し方のコツについて分かりやすく解説いたします。
弔事の時間と文字数
弔辞には、故人への深い想いを込めたいものですが、一方で、葬儀・告別式という儀式の中で行われるものですから、あまり冗長になりすぎてもよくありません。
弔辞に割く時間に決まりはありませんが、一般的な葬儀の中で行われるは、3分程度に納めるのがよいとされています。1分あたり約300文字読み上げるペースが理想とされているので、800字~1000字を意識して弔辞の文面を考えましょう。
もちろん、弔辞の長さを調整してもらうことも可能ですし、最近では弔辞を主体としたお葬式を行うこともあります。ですから何分くらいの弔辞にすべきか、あるいは何分くらいの弔辞にした方がいいのか、まずは喪主や葬儀社に確認しておきましょう。
【例文付き】弔辞の構成
実際に弔辞の文章を考える段階になった時、どのようなことばを綴るべきか分からないものです。どんな弔辞にしようか悩んでいる人は、次のような構成で文章を組み立てると、よい弔辞ができあがります。
冒頭は「弔辞」のひとことから始めて、故人の名前を述べて呼びかけるのが一般的です。
遺族や会葬者の心に最も響くのが、弔辞者が語る故人との思い出や人柄です。「そうそうこんな人だった」と共感することもあるでしょうし、「へえ、そんなこともあったんだ」と故人の意外な一面を知ることもあるでしょう。できるだけ具体的なエピソードを簡潔にまとめましょう。
また、最後は弔いの言葉で締めますが、「家族や私たちを見守っていてください」「私たちも元気にやっていくから安心してね」「いつもずっとそばにいるよ」などの前向きな表現で締めると良い弔辞になります。
【冒頭】故人への呼びかけ。悲しみの表現
(例文)
太郎さん。ついにお別れの時が来てしまいましたね。あなたが長きにわたり、必死に病と闘っていたことを知っていましたし、心から祈り続けていましたが、あなたは帰らぬ人となりました。「人はいつか亡くなるものだ」と、頭では分かっていても心がなかなか追いつきません。
【中盤】故人の人柄。思い出やエピソード
(例文)
あなたとの思い出の数は、計り知れません。高校で出会ってからというものの、大学進学、就職、恋愛、結婚、子育て、仕事、趣味、病気のこと、たくさんのできごとを、あなたと共有してきました。家族ぐるみの旅行も何度したことか。そんな日々を思いだしていると、当たり前のように思っていたあなたのおだやかでやさしい人柄に、いつも私は心を和ませていたのだということに、気づかされます。
【結び】別れの言葉。冥福を祈る
(例文)
わたしたちは、太郎さんとの思い出を胸に、明日からの日々を力を合わせて生きていきます。どうかこれからも、やさしく見守っていてください。
太郎さん。さようなら。心からご冥福をお祈りいたします。
時間を計りながらリハーサル
文章が出来上がったら、実際に時間を計りながらリハーサルをしましょう。事前に読んでみることで、スピード、文字数などを調整でき、落ち着いて本番に臨めるでしょう。
一字一句を目で追い、焦らず声に出す
弔辞は、弔辞用紙に書かれた文字をひとつずつ丁寧に読み上げていきます。原稿を持たずに話すスピーチとは大きく異なるので、焦ることなく、落ち着いて読み上げましょう。一字一句を目で追い、声に出す感覚を意識すれば、スムーズに読めるはずです。
故人の死に接して平常心でいられないのは遺族や会葬者も同じです。多少のミスや言い間違い、言葉の詰まりなど、よほど失礼なことがない限りは会場にいる人たちも受け入れてくれます。焦らずに、自身の言葉を故人に語りかけましょう。
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この記事を書いた人
株式会社AZUMA代表取締役
ご葬儀は、故人から遺された方たちへの最後のあいさつの場であり、そして贈り物です。そこに集う人々がこころゆくまでお別れができる葬儀を常に探究。コラムやYouTubeなどでも葬儀に関する解説などを積極的に配信しています。