余命宣告は、闘病に励む患者本人にはもちろんのこと、周りの家族にも大きなショックを与えます。悲しみや戸惑いがある中にあっても、気持ちをたしかに持ち、宣告を受けた患者の気持ちに寄り添ってあげなければなりません。余命宣告を受けた時に、家族はどのように行動すればいいのかを考えてみましょう。
余命宣告とは
余命宣告とは、医師から「あなたの余命はあと◯ヶ月です」と告げられることです。宣告される余命はさまざまで、「あと◯週間」と言われるケースもあれば、「◯年〜◯年」といわれるケースもあります。
余命の根拠に用いられるのは「生存期間中央値」と呼ばれるもの。同じような症状の患者の半数が生存できる期間のことです。あくまでも過去のデータから導き出された予測値なので、余命が当たらないこともしばしばです。
医療についてともに考える
まず考えなければならないのは、医療についてです。まずは医師に、病気の原因と治療法について、医師の説明を受けます。
余命宣告を受けたあとの医療の方針は、主に次の3つです。
●完治を目指す
●延命治療
●緩和ケア
それぞれでどのような治療になるのか、まずはきちんと医師から話を聞いた上で、本人の意思を尊重します。
結論はすぐに出さなくても構いません。まずは落ち着いて、冷静になってから今後のことを決めていきましょう。大変ショックが大きいとは思いますが、何よりも辛く苦しい思いをしているのは患者さん本人です。可能な限り聞き役に徹し、まずは想いに寄り添ってあげるのが望ましいです。
やりのこしたことを叶える
もしもやり残したことがあるのなら、可能な限り叶えてあげましょう。
たとえば、しばらく連絡を取っていなかった友人や知人に連絡を取るなどがあります。その他にも「会いたい人」「行きたい場所」「食べたい物」など、本人が何を望んでいるのか、まずはゆっくりと聞き出し、一つずつ実現させてあげましょう。心残りがひとつ減るだけで、たとえわずかであっても本人の心持ちも穏やかになります。
お金や相続について話しておく
お金や相続についても、家族間できちんと話しておくことが理想です。終末医療やその後の葬儀にはさまざまな費用がかかります。患者さん本人が所持しているお金や資産がどこにどれくらいあることを知っておくことは、残された家族にとっては大きな助けになります。預金口座と暗証番号。現金以外の不動産や証券など資産がどこにあるか(財産目録の作成)。これらを確認しておくだけで、いざという時の負担が軽減されます。
葬儀や供養について話しておく
終末期の患者さんと葬儀や供養について考えるなんて、不謹慎に思われるかもしれませんが、とても大切なことです。また患者さんにとっても、自分がどのように弔われるのか、自分の遺骨がどこで供養されるのかが決まっていることは大きな安心感につながるとも言われています。可能な範囲で構いませんので、葬儀や供養について、家族間で話し合ってみましょう。
私たちに大きなショックを与える余命宣告ですが、どんなに辛くとも受け入れなければならないことです。また、相続や葬儀について考える際は、専門的な知識が不可欠です。
専門家の力を借りる
家族が余命宣告を受けると、不安や恐怖など、さまざまな感情が押し寄せてきます。その上で、先ほどまで挙げたように、患者本人のケア、医療方針の決定、お金や相続のこと、供養や葬儀のことを同時進行で考えなければなりません。
こうした事柄をひとりで対処するのはとても大変なことです。だからこそ、専門家の力を借りることをおすすめします。
▶カウンセラーや精神科医
余命宣告によって、心理的に不安定になった場合、無理をすることなくカウンセラーや精神科医の力を借りましょう。あなたの話を傾聴してくれるだけでも、気分が晴れ、落ち着いて対処できるようになるかもしれません。
▶弁護士や司法書士
相続やお金に関することは、司法書士や弁護士の力を借りましょう。財産目録は自身で作成することはもちろん可能ですが、財産が多い場合や、煩雑な作業に手が付かない場合などは弁護士に相談しておくと安心です。
▶お寺や葬儀社
やがてやって来る葬儀や供養。もちろん、いま一生懸命闘病されている本人の横で、死後のことを考えるのは辛いものがあります。しかし、いつか必ずやって来る日のことを考えて、どのような心構えでいるべきかをお寺や葬儀社と話しておくことは、あなたにとって大きな心の支えとなるはずです。
余命宣告を受けた時の本人の、そして家族の動揺は、想像を絶するものがあります。だからこそ、自分一人で抱え込まずに、患者本人と、まわりの家族や親戚、友人や専門家たちの力を借りながら、遺された時間を大切に過ごしてもらいたいと考えます。
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