孫が弔辞 祖父、祖母の葬儀で読む例文やマナー

葬儀の中では、故人に向けたメッセージである「弔辞」を読み上げる機会があります。
弔事を読む人は、生前故人との付き合いが深かった人に依頼することが多いのですが、最近では故人の孫が弔辞を読み上げるケースが増えていると言われています。
寺院による読経もさることながら、孫からの祖父母へのメッセージは、その場に居合わせる親族や参列者にも共感を呼び、さまざまな思いや涙を誘うものです。
この記事では、孫が読み上げる弔事について、一般的な知識やマナー、例文をご紹介します。

弔辞の基本知識

弔辞は、葬儀式の中で寺院の読経を中断して行われるのが一般的です。
ひとりが読み上げる時間は3〜5分。400字詰め原稿用紙2〜3枚が目安です。
弔辞の形式に決まりはありません。「ですます調」で読み上げる人もいれば、故人に向かって語りかける人もいます。
また、弔辞の内容も、故人への想い、エピソード、あるいは参列者に向けた言葉など、さまざまです。

弔辞の基本構成

弔辞は次のような構成にするとまとまりがよくなります。
1)故人に向けて哀悼の言葉を述べる。「おじいちゃんがなくなって、私はとても悲しいです」など
2)故人の人柄や、思い出の残るエピソードなどを語る。「とても優しいおじいちゃん。小学校の自由研究の時も、いつも私と一緒になって取り組んでくれました」など
3)別れの言葉を伝える「さようなら。おじいちゃん。でも、おじいちゃんは私の中にずっと一緒にいます。私たちのことを見守っていてください」など

エピソードを盛り込む

一番書きやすい、そして読みやすいのは、故人とのエピソードを差し挟むことではないでしょうか。
故人との思い出を語り、そのエピソードの中から故人に感謝し、人柄をしのぶことができます。
また、他の参列者も弔辞の中で語られるエピソードに誘われて、自身と故人との間の思い出を思い浮かべることでしょう。
「小学校の自由研究の時も、いつも私と一緒になって取り組んでくれました」という一文があることで、「そうそう、本当に孫想いの人だった」という故人の人柄がより鮮明に浮き上がってきます。

遠慮なく故人に語りかける

孫は他人ではなく肉親です。ですから、葬儀の場だからといってかしこまりすぎず、普段語りかけている言葉で弔辞を読み上げた方が、故人様自身にも喜ばれ、その場にいる人たちの心にも響くでしょう。

緊張してしまうかもしれませんが、いつも祖父母に語りかけていたように弔辞を述べるのが理想です。

重ね言葉や忌み言葉には注意を

弔辞を読むときは重ね言葉や忌み言葉には十分気をつけましょう。

これは何も孫に限ったことではなく、どのような場面でもあてはまることです。もしも小さなお子さんが弔辞を読むのであれば、大人が一緒になってチェックや手直しをしましょう。

避けるべき言葉には次のようなものがあります。

●重ね言葉・くりかえし

不幸が重なる、繰り返せるべき言葉は避けましょう。「たびたび」「再三」「繰り返し」「続けて」「次々」「しばしば」「重々」「かさねがさね」「ますます」いよいよ」など

●露骨に「死」を連想させる言葉

露骨かつ直接的な死の表現は避けるようにしましょう。次のような言葉に置き換えることをお勧めします。

「生きていた時」→「ご生前」「お元気な頃」

「死ぬ」→「ご逝去」「亡くなる」「息をひきとる」

●宗教上避けるべき言葉

弔辞ではそこまで宗教性を配慮しなくても構いませんが、ある程度宗教によっては使用すべき言葉、使用すべきでない言葉というものがあるということを認識しておくと安心です。

たとえば仏教では当たり前のように使われる「成仏」や「供養」という言葉も、神道やキリスト教では使えません。

神道の場合、故人がその家の新たな守り神となると考えられています。弔辞で述べる場合も、「私たちのことを見守っていてください」というフレーズだと神道の考えとしっかり合致するでしょう。より専門的な言葉を使うなら、「御霊(みたま)のご平安をお祈り申し上げます」などが適当です。

キリスト教では亡き人は神のもとへ召される物と考えられています。「天に召される」などの言い回しをします。

幼い孫の弔辞 例文

おばあちゃんへ。
大好きなおばあちゃんが、亡くなってしまいました。
いつも優しいおばあちゃん。甘えさせてくれたおばあちゃん。おいしい料理やお菓子を振る舞ってくれたおばあちゃん。本当に大好きでした。
泊まりに行った日には必ず唐揚げを作ってくれて、次の日の朝は必ずホットサンドを作ってくれました。
年末にみんなでつくったお餅も、おばあちゃんが一番手際が良くて、かっこよかったです。
ずっと病気だったのに、痛そうな、苦しそうな顔をせずに、ずっとわたしを迎えてくれたおばあちゃん。

亡くなる3日前、病室で2人きりの時に、
「わたし、おばあちゃんに何もできなかったね」
って泣いたとき、おばあちゃんはそれでも笑って、しわくちゃの手でわたしのほっぺたをさすってくれたね。

本当に、強い、素敵な人だと思います。

わたしもいつかは、結婚して、子どもを産んで、おばあちゃんみたいなおばあちゃんになりたいです。
おばあちゃん。亡くなってしまって、とても悲しいです。
でもね、おばあちゃん。悲しいけれど、寂しくなんてないよ。

だって、おばあちゃんが、すぐそばにいてくれているの、分かるから。
これからも、ずっと一緒だよ。
この世からはいなくなってしまったけど、ずっと一緒だよ。
長い間、本当にありがとうございます。
大好きだよ、おばあちゃん。

成人の孫の弔辞 例文

本日、こうして祖母〇〇への弔辞を読まなければならないことを、いまだに実感できないでいます。

祖母はいつも私たち孫をやさしく受け入れてくれました。母と一緒に祖母の家へ遊びに行くと、いつもほがらかな笑顔で出迎えてくれたその表情が忘れられません。そして、食べきれないほどのお菓子と淹れたてのコーヒーを必ず振る舞ってくれて、それらがいつも以上においしく感じられたのも、祖母のあたたかい愛情に包まれていたからに他ならないと思います。

たくさんの孫に囲まれた祖母です。きっとみなさんの中でも、私と同じように素敵な思い出が蘇っているのではないでしょうか。

いま私たちがここにこうしていられるのも、祖母がいてくれたからです。祖母がいなければ、誰一人としてこの世には存在しなかった。そのことを忘れずに、祖母からいただいたやさしさやあたたかさを受け継いでいこうと思います。

私はこれからもずっと祖母との大切な思い出を胸に生きていきます。どうぞ、安らかにお眠りください。そして、どんな時だって、そばで見守っていてください。

孫代表〇〇

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