娘からの弔辞 父、母の葬儀で読む例文や注意すること

弔辞とは、葬儀告別式の中で故人に向けて読まれるお手紙のことです。
通常は故人の友人や知人、親族代表などが弔辞を読み上げますが、家族葬の多い昨今では家族から故人に向けて弔辞を読むシーンも見られます。また、無宗教葬のように宗教的儀式のない葬儀ではなおのこと弔辞が大きな意味を持つこととなります。
この記事では、娘が親に向けて弔辞を読み上げるものとして、まずは弔辞がどういったものなのかを例文付きで解説いたします。参考にしていただければ幸いです。

弔辞の長さは5分以内

葬儀告別式の時間は一般的に45分から1時間と限られています。
その中で弔辞に割く時間は5分以内がよいとされています。
5分とは、文字数に換算して約1,000字。故人への想いが強いあまり、ついつい長い文章になりがちですが、シンプルにまとめるよう心がけましょう。

構成は「呼びかけ」「思い出」「祈りの言葉」

弔辞の内容はさまざまですが、どのような文章にしようかと悩む人も少なくありません。
「呼びかけ」「思い出」「祈りの言葉」という構成を軸に考えると、まとまりのある弔辞になります。

▶呼びかけ
「お父さん」「お母さん」などから始まる呼びかけのあとには、「いまだに信じられません」「ただただ悲しいです」など、弔辞を読む人の感情が続きます。まずは故人様への呼びかけをして、感情を文章にすることで、他の参列者にも共感してもらえます。

▶思い出
故人様との思い出やエピソードをはさむことで弔辞者と故人との関係性がより具体的に頭の中に浮かび上がります。加えて、弔辞を聞く参列者たちにとっても、自分の中にある故人との思い出が蘇るきっかけとなります。

▶祈りの言葉
「やすらかにお休みください」「私たちを見守ってください」という祈りの言葉で終えるときれいに納まります。

奉書紙や巻紙に書く 白の便箋やパソコン打ちでも構わない

弔辞は正式には奉書紙や巻紙に書きますが、これらの準備ができない場合は白の便箋などでも構いません。
文章も毛筆による手書きが望ましいですが、パソコンで入力しても構いません。
弔辞の最後には、日付と名前を書き、包み紙か封筒に入れて準備しておきます。

弔辞の具体的な流れ

葬儀告別式の中で、弔辞は次のような流れで進んでいきます。

1、司会者が指名したら椅子から立ち、遺族に向かって一礼する
2、祭壇の前まで進み、深く一礼する
3、包紙から弔辞を出し、弔辞を読む
4、読み終えると弔辞を包紙に包み直し、祭壇にお供えする。向きは祭壇側が正面になるようにする
5、霊前、そして遺族の順に一礼し、席に戻る

娘から親の弔辞 例文

♦♦♦ お父さんへ ♦♦♦
お父さんがこの世界からいなくなってしまったことが、いまだに信じられません。あんなに元気にいてくれていたのに、人の一生はこうもあっけないものかと、いまはただただ放心しています。
でも、この弔辞を綴りながら、お父さんとのさまざまな思い出が蘇ってきて、少しずつ、この現実を実感しつつあります。
私たちが幼いころから、ずっと仕事で忙しかったお父さん。たまの休みには疲れた身体を休ませることなく、海や山にキャンプに連れて行ってくれたお父さん。大学受験の試験会場についてきてくれたお父さん。定年後にお母さんとの温泉旅行を嬉しそうに語るお父さん。リビングでコーヒーをすするお父さん。孫に甘くて私やお母さんに叱られてばかりだったお父さん。お父さんとの思い出がとめどなくあふれ出ます。
75歳と、まだまだ若いお父さん。したいこともたくさんあっただろうに、突然の入院は、私たち以上に、お父さん自身が辛かったと思います。
いつも優しいお父さん。ときに頑固だったところもあるけれど、仕事に、家庭に、いつもまわりの人たちからも慕われていたのは、お父さんの人徳そのものだと思います。お父さんは私たちの誇りです。
これからは、私たちがお母さんを守っていきます。でも、若い私たちはまだまだ力不足です。だからこそ、天国に行っても変わらず、お母さんを、そして私たち家族を見守っていてください。
お父さん、これまで本当にありがとう。どうか安らかにお眠りください。

♦♦♦ お母さんへ ♦♦♦

お母さん。

お母さんへの弔辞を読まなければならない日がやって来るとは、想像すらしていませんでした。
私を産んでくれたお母さん。育ててくれたお母さん。服を選び、髪をセットしてくれたお母さん。いろんな悩みや愚痴をたくさん聞いてくれたお母さん。台所に立つ後姿のお母さん。朝から晩まで働きづめで、疲れた顔をしながらもお休みを言ってくれたお母さん。旅行好きのお母さん。本当に楽しい思いでしかありません。
私が少しずつ大人になっていくことで、かわいらしいおばあちゃんになっていったお母さん。最期は布団の中で、辛い、苦しい毎日だったのに、私たちの前では弱音を吐かず、いつも笑顔で迎えてくれたお母さん。
もう会えない。もう話せないことが、とても残念で、辛いです。
でも、私たちは、心の中でお母さんとつながっています。一緒に話すことも、笑うこともできる。だから、今は辛いけれど、少し時間がたつと、いつもと同じようにおだやかに、お茶をしながらおしゃべりしようね。
お母さんが私たちにとって自慢の母だったように私もなれるかな。私たち家族のことを、どうぞこれからもあたたかく見守っていてください。
これまで本当におつかれさま。安らかにお休みください。

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葬儀に関するよくある質問FAQ

弔辞とはなんですか?

弔辞とは、葬儀告別式の中で故人に向けて読まれるお手紙のことです。

弔辞の長さはどのくらいですか?

葬儀告別式の時間は一般的に45分から1時間と限られています。 その中で弔辞に割く時間は5分以内がよいとされています。 5分とは、文字数に換算して約1,000字。故人への想いが強いあまり、ついつい長い文章になりがちですが、シンプルにまとめるよう心がけましょう。

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