死亡広告とは、新聞誌上で葬儀について広く知らせるための広告のことです。故人が著名人、名士、会社経営者などの場合によく掲載されます。葬儀社を通じて申し込むか、あるいは遺族が直接新聞社に出稿を依頼します。この記事では、死亡広告について解説いたします。
「死亡広告」はあくまでも「広告」
「死亡広告」は故人が亡くなったことを広く知らせ、告別式などの日程を広く周知するためのものです。
掲載する新聞の種類や文面は遺族の意思で決めることができます。
別名「お悔やみ広告」「黒枠広告」とも呼ばれています。「広告」ですからこれには掲載費用を支払う必要があります。
「死亡広告」と「死亡記事」の違い
「死亡広告」と似たものに「死亡記事」があり、「お悔やみ欄」などとも呼ばれます。
前者は、広告ですから、喪主がお金を払えば、広告枠に葬儀の情報について確実に掲載してもらえます。
一方後者は記事ですから、葬儀の日時、場所などを新聞社に伝えた上で、掲載すべきかどうかは新聞社が判断します。また、記事の内容も新聞社が制作しますが、その分遺族の費用負担はありません。
死亡記事の掲載は、その方の訃報に公共性があるかどうかによります。つまり、どれくらいの社会的影響力を持っていたかということです。知名度の高さや社会的な地位、業績などが左右されるでしょう。
死亡記事が掲載されると、大勢の方々に無料で訃報を伝えることができます。ただし、掲載内容や掲載の可否は新聞社に委ねられるため、確実かつ迅速に訃報を流したい場合は、たとえ費用がかかっても死亡広告の方がよいでしょう。
「死亡広告」の費用
「死亡広告」の費用は、新聞社、紙面の規模、広告枠の大きさ、文章の行数などによって異なります。
全国紙(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞)や、複数の県をまたぐブロック紙(北海道新聞、中日新聞、西日本新聞、河北新報、中国新聞)、ローカルの新聞社によって違いがあります。
大手5紙だと小さなサイズで20万円ぐらい、大きなサイズになると数百万円にも及びます。地方紙の場合は小さなサイズで数万円から、大きなサイズになると数十万円でしょう。
「死亡広告」出稿の流れ
出稿の流れは次の通りです。
●掲載を決める
まずは遺族や関係者内で「死亡広告」を掲載するかどうかを決めましょう。
●新聞社または葬儀社に連絡
「死亡広告」は新聞社や広告代理店が制作しますので、直接連絡しましょう。分からない場合は葬儀社に相談すれば取り次いでくれます。
●打合せ
新聞社側との打合せで、掲載する紙面、広告の内容、掲載希望日、広告枠やスペース、料金などを決めていきます。
●制作~確認~出稿
原稿を制作し、遺族が確認します。問題なければ希望に掲載されます。
「死亡広告」 どんな人が利用する?
「死亡広告」はどんなケースで利用されるのでしょうか? 基本的には、ひとりでも多くの人に訃報を知らせたい場合のものですが、葬儀が多様化してきた昨今ではさまざまな利用方法があります。
●社葬や合同葬など、大規模な葬儀の告知
多くの人に幅広く、迅速に訃報を伝えるためのものです。
●逝去のみのお知らせ
家族葬などですでに葬儀を済ませたあと、故人の逝去を伝えるために利用します。
●お別れの会・偲ぶ会の告知
近親者だけで葬儀を済ませたあと、日を改めてお別れの会を行う際の案内です。
●会葬御礼
葬儀を終えたあとに会葬の御礼を伝えるために広告を出すこともできます。
地域によっては「死亡広告」が当たり前のところも
家族葬が主流の昨今、ほとんどの場合、「死亡広告」を出すことは考えにくいでしょう。
ただし、北海道や沖縄などでは、いまでも新聞が地域住民の情報発信・情報共有のために貯法されており、「死亡広告」を出す例が少なくないと言われています。
「死亡広告」の注意点
気をつけたいのは、故人や喪主の氏名や住所、葬儀の日程など、個人情報がかなり掲載されてしまうことです。
それらをもとに墓石や墓地などの営業がくることもあります。住所をもとに葬儀中に空き巣に入られたという被害も報告されています。
個人情報保護の立場から、最近では掲載数も少なくなっているようです。
告別式の日程を周知すべき人が多い場合や、ほかの連絡方法ではうまく伝わらない場合、たとえば企業の社長や地元の名士の葬儀の告知などに限られてきているようです。
また故人の交友関係が広い場合であっても、香典や供花を辞退する場合には、近親者のみで密葬を済ませてから、葬儀完了のお知らせとともにその旨を掲載することもあります。
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