お葬式は、通夜と告別式の2日間に渡って行うのが基本的な形式とされています。
この両者、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
また、参列する際、通夜と告別式のどちらを選べばよいのでしょうか?
この記事では、通夜と告別式の意味だけでなく、どちらに参列するべきなのかなど、分かりやすく解説いたします。参考にしていただければ幸いです。
通夜(つや)とは
通夜とはもともとは、家族が夜を通して故人様に付き添い、遺体を守ることを指しました。
この「夜通し」から「通夜」と呼ばれるようになったと言われています。
通夜の原型にはいくつかの説が考えられます。
古代インドに生きた釈迦が入滅したあと、弟子たちは釈迦の亡骸を囲み、死後7日間、釈迦が説いた仏法について語りあったと言われています。
また、日本では古来から「もがり」と呼ばれる弔い方がありました。遺体が白骨化するまでの長い時間を付き添いながら、故人を悼み、死という現実を受け入れたのです。
この「語り合う弔い方」「付き添う弔い方」が、現代の通夜にも引き継がれているものだと思われ、これらが通夜の原型だと言えるでしょう。
家族は夜通し故人に付き添ってお線香の火が消えないように見張ります。そして同じ共同体に住むものは各々のタイミングで弔問にやってきて、家族とともに故人を偲んだのです。
しかし最近は、葬儀を行う場所が自宅ではなく葬祭ホールなどが増えたため、故人様に夜通し付き添うことが難しくなってきています。
通夜が「通夜式」として儀式化したのはここ最近のことで、「半通夜」などとも呼ばれます。
近年の通夜式では、友人、知人、会社関係や近所などの人たちの弔問の場という意味合いが強く、仕事や学校のあとに参列できるよう、夕刻から約1時間の通夜式を執り行います。
その後、家族たちは葬儀式場に宿泊して、故人に付き添って夜を通します。
「葬儀」と「告別式」の言葉の指すもの
通夜の翌日に執り行われるのが「葬儀・告別式」です。
「葬儀」と「告別式」を混同するケースをよく見かけるため、ここで言葉の意味を整理しておきましょう。
「葬儀」という言葉の指すもの
「葬儀」という言葉はさまざまな意味で用いられます。初日の「通夜」から、翌日の「葬儀・告別式」、さらには火葬までの、一連の流れ全体を指して「葬儀」と呼ぶこともありますし、通夜の翌日に執り行われる儀式のことを「葬儀」とも呼びます。
「告別式」という言葉の指すもの
「告別式」とは、故人との別れのセレモニーのことです。
葬儀2日目に行われるセレモニーは、本来は「葬儀・告別式」と呼ぶべきでしょう。なぜなら、「葬儀・告別式」の中で、僧侶を導師として執り行うの宗教儀式としての「葬儀」と、家族や参列者が故人と最期の別れをする社会的儀式としての「告別式」を分けて行うからです。
ただし最近では、これらをまとめて「告別式」と呼ぶケースも見られます。
「葬儀」と「告別式」の違い
葬儀とは、死者がこの世からあの世へと渡るための宗教的儀式のことで、遺族や近親者が故人の冥福を願い、僧侶にお経をあげてもらうことです。
親族や参列者は焼香で弔意を示し、厳粛な雰囲気の中、粛々と進められます。
一方、告別式とは、近年行われるようになったセレモニーで、弔問客全員が故人と最後のお別れをするものです。
宗教的な意味合いよりも、故人の死を周りに伝える、という社会的な意味合いの強い儀式となっています。
宗教的な儀式ではないため、自由度が高く、喪主や親族が望む形でセレモニーを執り行うことができます。
告別式の内容で一般的なのは、柩の中へのお花入れ、弔辞や弔電の拝読、故人へのお手紙、喪主挨拶などがあります。告別式を終え、火葬場へ出棺します。
また、お花入れは、故人様のお肌に触れることのできる最後の時間でもあり、参列者が各々の想いを故人様に向けて語ることができます。
かつては、葬儀と告別式は別々の儀式でしたが、最近は両方を続けて同時に行い、1時間程度で終わらせることが多いようです。
通夜と告別式 どちらに参列するべきなのか
それでは参列者は、初日の夕刻に行われる通夜と、翌日の日中に行われる告別式の、どちらに参列すればよいのでしょうか。
近年では、もともとの宗教的な意味は薄れてきてはいますが、どちらも故人を弔うために行われる儀式に変わりはありません。
親族は、基本的には両日ともに参列します。さらに、告別式後の出棺、火葬の立ち合いも行います。
もしもあなたが親族ではない、一般会葬者であれば、故人の関係と自分の予定とを照らし合わせ、いずれかに参列すればよいでしょう。
通夜は夕刻18時や19時に開始するのが慣例になっており、仕事場から直接式場に駆けつける人もいるため、服装は無理に喪服でなく、平服でも構わないとされています。
多くの人は通夜に参列しますが、通夜の時間に用事があるために、告別式に参列するというのでももちろん構いません。
さらに、通夜と告別式の両日参列してもよいでしょう。
地域の慣習にならうという場合もあります。周囲とも相談してみましょう。