葬儀は、亡くなってしまった家族や仲間を送り出すために営まれる儀式です。
いつの時代、どんな場所でも行われてきました。
もちろん、ところ変われば葬儀の方法や死後の考え方など、さまざまです。
この記事では、海外の葬儀が、その国や地域によってどのような方法で行われているのか、ご紹介いたします。
アメリカの場合
アメリカは、7割以上がキリスト教信者ですので、葬儀も教会で行われます。
ただし、カトリックとプロテスタントでは葬儀の進め方が若干異なります。
伝統的な儀式を重視するカトリックでは、葬儀ミサと告別式を分けて行います。
一方、比較的自由なプロテスタントでは、ミサと告別式はひとつながりで行われます。
土葬と火葬の割合も州によって異なります。
保守的な、つまりカトリック色の強い地域では土葬をしますし、先進的な、つまりプロテスタント色が強かったり、都市部では火葬が多い傾向にあります。
キリスト教には復活信仰があるために土葬が主流でしたが、ここ最近では火葬率が5割にまで上昇していると言われています。
中国の場合
中国は、儒教発祥の地です。
いまの日本の葬儀は、実はこの儒教の影響がかなり強く、そのため、中国と日本の葬儀では似たところがたくさんあります。
中国では、死亡後に遺体を自宅に帰すことはなく、「殯儀館」と呼ばれる斎場に運ばれ、葬儀が行います。
葬儀には宗教者がいません。葬儀社のサポートのもと、親族や知人が集まり、哀歌を演奏し、献花や弔辞などで送り出します。
遺体は火葬しなければならないのですが、祖先崇拝と魂下ろしを起源とする儒教ですから、中国社会は伝統的に土葬を行ってきました。
その名残もあり、地方部ではいまでも土葬が行われています。
インドの場合
インドはヒンドゥー教が多数派の国です。
インド人の死生観では、死者の魂は遺体から抜け出し、やがては新たな別の生命の中に宿ると考えられています。
仏教の「輪廻転生」も、インド社会に根付いた死生観から生まれたものだと思われます。
そのため、復活思想のあるキリスト教やイスラム教、あるいは先祖祭祀と死者の魂下ろしが根源にある儒教とは異なり、遺体や遺骨に執着しません。
日本では火葬にした遺骨はお墓の中に納めますし、かつて土葬をしていた時でも、埋葬地にお墓を建てて、死後も大切に死者を祀りました。
これに対してインドでは、葬儀後すぐに火葬をして、遺骨や遺灰はガンジス川など、聖地に流して自然に還すのです。
国や地域によって風土や社会も異なり、さまざまな死生観や宗教観があります。
みなさんも気になる国の死生観や葬儀に方法があれば、調べてみてはいかがでしょうか。
海外の葬儀の方法を知ることで、逆に日本の葬儀のよさが見えてくるかもしれません。