葬儀に必ず必要な存在が喪主です。喪主は葬儀全体を取り仕切る役割を担い、寺院や葬儀社との窓口にもなります。
「誰が喪主をすべきかで家族が揉めている」
「喪主をしなければならない。荷が重い」
…などとお悩みの方もいるかもしれません。
この記事では、喪主の定め方について、詳しく解説してまいります。
喪主になる人に決りはない
まずはじめに大前提として押さえておいてほしいのは、喪主になる人に決まりはないということです。
家父長制が採用されていた戦前の民法であれば、家督を引き継ぐ長男が喪主を務めました。戦後はイエ制度が解体されたものの、この名残はいまでも影響を残しているところがあり、長男が喪主をすべきだという考え方は、いまでも根強くあります。
ただし法律では、葬儀の喪主や、その後の家族や先祖の供養をつかさどる祭祀承継者を定めていませんし、最近ではライフスタイルが多様化しているため、家族間での合意があれば、必ずしも長男がしなければならないというものでもありません。
「海外に住んでいる長男ではなく、両親と共に暮らしていた次男が喪主を務める」
「故人夫妻には子がいないため、弟が喪主を務める」
こうしたケースも十分にあり得るのです。
優先順位は、故人に近い順
喪主の選定においては、故人に最も近い人が優先されます。
一般的には次の順序でしょう。
●配偶者
●子ども(長男>次男>長女>次女)
●血縁関係の濃い親族
ただし、この喪主の定め方は、配偶者や子がいることが前提になっています。もしも単身者やおひとり様の場合は、故人の兄弟姉妹、叔父叔母、甥や姪が喪主をするケースも考えられます。
喪主と施主、という考え方
昔の葬儀では、しばしば「喪主」と「施主」が分けられていました。喪主と施主には次のような違いがあります。
・喪主 故人の供養を中心となって行い人
・施主 葬儀全体を取り仕切る人
葬儀社がまだなかったころの日本では、葬儀は地域全体の取り組みとして行われていました。そこでは、お互いの助け合い(相互扶助)が機能していたと言われています。喪主や身内たちは喪に服すため、葬儀のもろもろの準備を村の人たちで行ったのです。そこには、祭壇の設営、食事の炊き出し、葬具や葬列の手配、墓地の準備などが含まれます。
つまり、供養の中心となって喪に服す喪主とは別に、こうした一連の葬儀の準備や進行をとりまとめるのが施主だったわけです。
喪主と葬儀委員長
この喪主と施主という役割分担は、現代の葬儀においても見ることができます。それが葬儀委員長です。
大規模な葬儀の場合、遺族を代表する喪主とともに、葬儀全体を統括する葬儀委員長を立てることが一般的です。
分かりやすいのが社葬です。とある会社の代表が亡くなった場合、遺族の代表として妻や子が喪主を務め、会社のトップが葬儀委員長を務めます。
ここでは、喪主は、親族の受け入れや寺院などのやりとりを行い、故人の供養に専念します。
一方で、会場の手配、参列者の受け入れ、葬儀社との連携などの実務面を葬儀委員長が務めます。大規模な葬儀の場合、葬儀委員会が組織され、葬儀委員長の下に社員たちによる葬儀委員が名を連ね、それぞれの現場に分かれて葬儀を進めていくのです。
喪主の役割を分担する
近年は家族葬が主流ですから、喪主の横に施主や葬儀委員長を立てることはほとんどありません。
しかし、喪主がすべき役割を家族全員で役割分担するという考え方もできます。葬儀社との折衝、寺院とのやり取り、親戚や参列者への対応、金銭の負担などを、みんなで分担することで、喪主の負担が軽減され、個々人が主体的に葬儀に取り組めます。
家族同士が協力し合いながら葬儀を進めている姿を、きっと故人さまも喜んでくれているのではないでしょうか。
家族がない方の葬儀の喪主
身寄りがない方の場合は、信頼できる友人知人、法律の専門家などに喪主を務めてもらうこともできます。
現代では、葬儀をお願いできる親戚がいないという人も少なくありません。そのような場合、「死後事務委任契約」という制度を活用することで、自身が希望する葬儀が可能となります。
死後事務とは、葬儀、納骨、役所関係の手続き、もろもろの支払い関係などのことを指し、これらを本人が亡くなったあと、契約を交わした相手が代理で取り仕切る制度のことです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
葬儀の喪主を決める際は、故人との関係の深さや家族の合意が最も重要です。
また、喪主の重責を分散させ、全員で協力して葬儀を進めることで、一人にかかる負担を軽減し、故人が安らかに眠れるよう、心を込めた葬儀が実現可能となることでしょう。
喪主はあくまで代表者に過ぎず、故人を送り出すのは家族一人ひとりなのです。
私たちAZUMA葬祭は、葬儀や仏事のプロフェッショナルです。喪主の指定についてはもちろんのこと、お葬式全般について、不安に思うことや分からないことなどがございましたら、こちらのお申込みフォームから、お気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
株式会社AZUMA代表取締役
ご葬儀は、故人から遺された方たちへの最後のあいさつの場であり、そして贈り物です。そこに集う人々がこころゆくまでお別れができる葬儀を常に探究。コラムやYouTubeなどでも葬儀に関する解説などを積極的に配信しています。