自宅で息を引き取ったり、不慮の事故に巻き込まれたりした場合、必ず警察が介入します。これは、事件性の有無を判断するためです。家族からすると不慣れなことに不安ばかりが募ると思われます。
この記事では、警察が介入して行われる検視や検案などの流れを通して、家族がどのように動けばいいのか、ご説明いたします。
死亡診断書と死体検案書
死亡を証明する公文書に「死亡診断書」と「死体検案書」があります。ちなみにこれらの書類が「死亡届」にもなり、火葬許可をもらうための大切な書類なのです。病院などにかかっており、医師が体調の経過などを把握している場合は、医師が「死亡診断書」を発行します。
一方、自宅での死亡など、医師による診断がなく息を引き取った場合には、すべて変死事案となり、警察が介入し、事件性の有無を確認します。死亡現場の検証、そして遺体の「検視」、そのあとに法医学専門の医師(監察医や警察医)による「検案」が行われます。検案を行った医師によって発行される書類なので「死体検案書」と呼びます。
警察が介入する場合の、遺体の引き渡しまでの流れ
孤独死など、誰にも看取られずに息を引き取ってしまった場合は、病院ではなく警察が死後の手続きを行います。これは、死亡の原因に事件性があるかないかを確認するためです。
その後、監察医務院の医師や、警察医などの、法医学専門の医師が、死亡を医学的に証明します。検視あるいは検案は、自宅などの死亡地で行われることもありますし、警察に搬送されて行われることもあります。遺族は警察の指示に従って動かなければなりません。
●事件性がないと判断され、死因が特定できた場合
医師が「死体検案書」を発行し、遺体は引き渡されます。すみやかに葬儀社に連絡し、遺体の搬送に備えましょう。
●事件性がないと判断され、死因が特定できない場合
死因を特定するために行政解剖を行います。東京23区であれば監察医務院、それ以外の地域では専門施設を備えた大学病院などで行われ、遺体の引き渡しはさらに約1日延びてしまいます。「死体検案書」は発行されますが、これはあくまでも火葬許可をもらうためです。正確な死因が家族に知らされるのは、解剖検査後、2ヶ月程度あとになるでしょう。
●事件性があると判断された場合
この場合は、司法解剖が行われ、特定の大学病院で解剖検査が行われます。遺体の引き渡しまでさらに1日ないし2日を要するでしょう。
事前に葬儀社に一報を入れておく
警察が介入する案件では、どの段階で遺体が引き渡されるかがはっきりしません。
事前に葬儀社に連絡をしておくことで、いざという時にすぐに動いてもらえるよう備えておきましょう。
また、葬儀社はこのような遺族にとってのイレギュラーな案件にも慣れています。
早めに連絡しておくことで、きっと不安な遺族に寄り添ってくれることでしょう。