だれしも初めてお葬式に参列するときには緊張するものです。しかし、緊張ばかりしていたら、マナーや作法ばかりが気になってしまい、大切な故人様に心のこもった弔いができない可能性もあります。
また、こちらに悪気がなかったとしても、マナーに反することをしてしまうことで遺族に迷惑がかかったり、心情を逆なでしてしまうこともあるかもしれません。
大切な人とのお別れの場で、失礼のないようにするために、押さえておきたいマナーをあげてみました。
1.お悔やみの言葉
仏式・神道では「このたびはまことに御愁傷様(ごしゅうしょうさま)でございます。心からお悔やみ申し上げます」と述べるのが一般的です。
葬儀はあくまで、故人を偲び、遺族を慰める場です。通所よりも押さえたトーンで話すように意識しましょう。
また、これがキリスト教の場合となると、葬儀の意味合いが仏式とは少し異なってきます。
なぜなら、人の死は「悲しいお別れ」というよりも「神のもとへ召される」ことを意味します。
ですから、「安らかにお眠りになられることをお祈りします」とお伝えしましょう。
2.避けるべき「忌み言葉」
葬儀の場は、遺族はいつも以上に神経が過敏になっています。言葉をかけていたわる、寄り添う、慰めるというのはとても大切なことですが、遺族を不快な想いにさせないよう、言葉には配慮が必要です。
繰り返しの言葉は不幸が重なることを連想するので避けましょう。また、直接的な表現は別の言葉に言い換えます。
「重ね重ね」「たびたび」「もう一度」「繰り返し」など → 使わないようにしましょう。
「死ぬ・死去・亡くなる」→「逝去・他界される」
「急死・事故死」 →「突然のご不幸」「急なこと」
「生きる・生存中」 →「生前・お元気だったころ」
3.香典(こうでん)
香典とは、亡くなった方への供養の気持ちを表わすもので、通夜や葬儀の際に持参します。
葬儀にかかる出費を親族や地域が助け合う意味があり、現金を包みます。
自分がまだ学生で保護者などと一緒に参列する場合には、個人的に香典を持参する必要はありませんが、社会人として一人で参列する場合には、故人との関係性に応じた金額を包むようにします。
一般的には友人・知人・勤務先の上司や同僚は5千円~、親類は1万円~くらいが目安です。
迷う場合は、一緒に参列する人や周囲の人に相談してみるとよいでしょう。
また香典に包むお金は、新札は使わないようにします。
もし新札を使う場合には、一度折り目をつけてから使うようにしましょう。
4.焼香(しょうこう)
葬儀では、焼香をして弔意を表します。焼香とは、亡くなった方を供養するために、抹香(まっこう)というお香を指先でつまみ、香炉に落として焚くことです。焼香の作法や回数は宗派によって異なります。
ただし、たくさんの方が参列する葬儀では、宗派に関わらず「お焼香は1回で」と進行係から指定されることもありますので従いましょう。また、いざ葬儀式場に行きますと不慣れなこととその場の緊張から、「どの宗派が何回焼香しなければならない」となかなか頭に入らないものです。またその葬儀がどの宗派で行われているかなんて、なかなか判断できません。ですから、焼香の回数よりも、心を込めた焼香を意識するようにしましょう。
一般的な焼香の回数は次のようになっています。
真言宗、曹洞宗・・・・3回
真宗大谷派、臨済宗・・2回
浄土真宗本願寺派・・・1回
天台宗、日蓮宗・・・・1回もしくは3回
浄土宗・・・・・・・・1回~3回
5.キリスト教式の献花(けんか)の作法
キリスト教では焼香ではなく献花をして弔意を表します。カーネーションなどの花を1人ずつ献花台にお供えします。
↓右手に花がくるように下から支えて持ち、左手で根元を上から持ちます。
↓牧師さん・ご遺族へ一礼し、献花台の前まで進みます。
↓右手を手前に引き、根元を祭壇へ向け、花を祭壇へ置きます。
↓手を合わせてお祈りし一礼し、牧師さん・ご遺族へ一礼して退出します。
6.神式の玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法
神道の葬儀では焼香ではなく、玉串奉奠をして弔意を示します。玉串とは、榊(さかき)などの常緑樹に紙垂(しで)をつけたものを、1人ずつ祭壇前に進む出て、玉串案(玉串を供えるための専用の台)にお供えします。
↓右手で玉串の根元を上から持ち、左手で葉先を下から支えるように持ちます(キリスト教とは逆です)。
↓ご遺族へ一礼し、神前へ進みます。
↓一度、左手側の葉先を神前に向け、そのあと右回りにぐるりと180度回転させて根元を神前に向け、玉串台に置きます。
↓ 二礼二拍手一礼(2回おじぎ、2回拍手、もう1回おじぎ)して、元の席に戻ります。拍手は「しのび手」といって音をたてないようにします。
初めての葬儀に参列するのは緊張することも多いでしょうが、故人を悼み遺族の方の悲しみに寄り添う気持ちが何よりの供養になります。
そのことを念頭に置いて参列しましょう