通夜振舞は(つやぶるまい)は通夜後の飲食の席
通夜の閉式後、親族や親しい弔問客のためにふるまわれる飲食の席を「通夜振舞(つやぶるまい)」といいます。
通夜振舞は、喪主が参列していただいたことへの感謝の想いを込めて用意した食事の席で、他にも「お清め」や「お斎(おとき)」などとも呼ばれています。
通夜や葬儀はしめやかに行われるものなのに、通夜振舞の席は明るく盛り上がる、というのを経験した人もいるのではないでしょうか。
これは、思い出話などをしながら故人様を偲び飲食すること自体が供養であるからだと考えられます。
実際に葬儀の現場では、思いのほかに通夜振舞の席は盛り上がり、多くの喪主がそんな光景を見て、「こんなにも多くの人が故人を偲んでくれている」と喜ぶものです。
もちろん、葬儀の内容によってはしめやかに行われるものもあります。
通夜振舞には可能な限り応じる
通夜振舞には可能な限り応じましょう。喪主からの感謝の気持ちですから、アナウンスやお誘いがあったときには快く応じるのがマナーです。
参加するかしないかは自分で判断をするのではなく、喪主・ご遺族の意向に従いましょう。
もちろん、どうしても外せない用事などがあるのであれば無理をする必要はありません。通夜振舞に参加せずに帰宅したとしても、失礼には当たりません。
また、地域の風習や会場の都合、ご遺族の意向などで近親者のみで行われる場合や、弔問客には折詰などを渡すことで通夜振舞に代える場合もあります。
通夜振舞で用意される食事
通夜振舞ではどのような食事が出されるのでしょうか?
通夜にはどれくらいの人が参列されるかわからないという性質があります。ですから、お弁当やお膳など、ひとりひとりに個別の食事を用意するのは合理的ではありません。
通夜振舞は大皿料理で出されます。最も多く選ばれているのがお寿司です。つまみやすく、あたりを汚すこともなく、詰めたり寄せたりもできるので、最も通夜振舞に適した料理と言えるでしょう。
その他、煮物や天ぷらやオードブルなど、どのような料理を用意するかは喪主と葬儀社が相談して決めます。
また、飲み物としてアルコールやソフトドリンクがもてなされます。
頃合いを見計らって退席する
食事は、ひと口だけでも箸をつけるほうがよいでしょう。
日本酒やビールなどのアルコールが用意されますが、これにはお清めの意味合いがあります。
宴会ではありませんので、飲みすぎて酔っぱらったり大声で騒いだりするのはもってのほかです。
長居はせず、話がひと段落した頃合いを見計らって退席しましょう。
退席の際、ご遺族にあいさつするかしないかは状況を見て判断しましょう。もしも喪主やご遺族に声をかけれそうであれば、励ましの言葉などをかけるようにします。もしも忙しくしているようでしたら、無理に声をかける必要はありません。
最後にもう一度、霊前に拝礼し、お焼香、あるいはお線香を上げさせてもらってから式場を後にします。
通夜振舞は故人との最後の食事の場になります。
節度をもって、しめやかな雰囲気を損なわないよう心がけましょう。
「神人共食」という考え方
「神人共食(しんじんきょうしょく)」という言葉をご存じですか?
家族や親族だけでなく、その場で集まったものが同じものを飲食することを「共同飲食」と呼びますが、日本の神道では、同じ神を崇拝する者同士が祭事などのあとにお供え物などをわけあって飲食することを「神人共食」と呼びます。
この考え方は何も神道だけではなく、仏教をはじめ、社会の様々な場で行われていることです。
神社の祭りのあと、お通夜や葬儀のあと、法事のあと、結婚式のあと、神事や仏事、冠婚葬祭のなどの儀式のあとにはたいてい飲食の場が設けられます。これらも、その根底には「共同飲食」の思想があるのではないでしょうか。
通夜振舞は、参列者や宗教者へのおもてなしの場と考えられていますが、実は亡き人を中心に据えて、そこに集まったもの同士が飲食をすることで、連帯を強めるという側面もあるのです。
故人様を偲び、昔ばなしに花を咲かせながらお寿司をつまみ、お酒を飲むことで、遺されたもののつながりが強まるのです。
通夜振舞の費用相場と香典金額の関連性
参列者が多いと香典収入も増えていいように思えますが、実際にはそうとばかりも言えません。
参列者には料理や返礼品などのおもてなしに費用がかかるからです。
通夜振舞の1人当たりの相場は2,000円から3,000円と言われています。
さらには、参列者全員に会葬御礼の品物(相場は500円~1,000円)、香典を持参した人には香典返しのお返し(相場は2,000円~3,000円)もしなければなりません。
こうした出費を考えたら、喪主による自費負担がどうしても発生してしまいます。
故人を悼み、喪主や遺族を慰めるための参列なので、香典金額が安いと逆に喪主の経済的負担が増えかねません。
お布施の金額は任意で決めるものですが、最低でも5000円包めば、喪主の負担が余計に増えることはないでしょう。