「友引には友達をあの世に引っ張る(道連れにする)からお葬式をしてはいけない」
「仏滅に葬儀をすると縁起が悪い」
このような話を聞いたことはないでしょうか?
ここでは、お通夜、お葬式の日程の決め方を見ていきましょう。
六曜とはいったいなに?
もともと友引、仏滅、先勝、先負、大安、赤口とは「六曜(ろくよう)」といい、古代中国で生まれた日時や方位の吉凶を示す考え方です。
仏教はインドが発祥ですが、中国を経由して日本に入ってきています。本来仏教は、中国の六曜とはなにの関係性もなく、仏教では友引でも仏滅でも大安でも葬儀をしてよいとされています。
実際に浄土真宗では、親鸞聖人が「日の吉凶を選ぶことは良くない」と説いたため、根拠のない迷信や俗信は否定されています。
しかし、日本社会のユニークなところは、インドの仏教と中国社会の慣習(儒教や道教に由来する)がごちゃまぜになって日本化されているところです。
ですから、仏教本来の教えには無関係でも、日本人の庶民感情としては、六曜を気にしてしまうのでしょう。
明治新政府が暦を太陽暦に帰る時に、「吉凶付きの暦注は迷信である」と一切を禁止したにも関わらず、民衆側から反発が起きるほどですから、いかに日本人が目に見えないものの力を畏れ、信じているかが窺えます。
「結婚式は大安で」「友引に葬儀はしない」
こうした慣習は裏返せば、結婚後の幸福や、死後の冥福を心底祈っていることを示しているのです。
以下、六曜について簡単にご説明します。
- 先勝(せんしょう・さきがち)
午前中を吉とします。
なにごとも先に手を打つことがよいとされています。
- 友引(ともびき)
もともとは勝負事において共に引き分けるという意味で、転じて良くも悪くもない日でした。
いまでは「友を引っ張る」という意味で、葬儀を避ける人して捉えらえています。
- 先負(せんぶ・さきまけ)
午後を吉とします。
急用を避け、何事も丁寧に慎重にするべきとされています。
- 仏滅(ぶつめつ)
六曜の中で大凶日で、何事もよくない日とされています。
特に結婚式などを避ける傾向にあります。
- 大安(たいあん・だいあん)
何事においても良い日とされています。
結婚式や住宅の建前の日取りに好んで選ばれています。
火葬場の多くは、友引を定休日にしている
火葬場の多くが定休日を友引の日にしています。
これは、友引が「友を引っ張る」という意味に捉えらえ、葬儀を執り行うことを縁起が悪いと考えているからです。
ですから、「友引の日にお葬式をしてはいけない」のではなく、「お葬式ができない」というのが実際のところです。
中には友引に営業している火葬場もありますが、こうした火葬場でも友引はやはり普段よりも閑散としています。
遺族さえ気にしなければ葬儀は執り行えますが親戚などで気にする人もいるので、できたら控えた方がいいのかもしれません。
友引には避けるのはあくまでも葬儀や火葬なので、通夜は執り行えます。
また、友引の前の日を業界では「友前(ともまえ)」「引前(びきまえ)」などと呼び、この日を休養日に充てたり、あるいは会館の見学会やセミナーなどの開催日としているところも多くあるようです。
葬儀日程の決め方
では、葬儀日程はどのように決めればよいのでしょうか?
次の4つを調整しながら決めていきます。
- 火葬場の空き状況
- 葬儀式場の空き状況
- お坊さんの予定
- 喪主や親族の希望
これら4つを満たす日時を、葬儀社を交えて調整します。
どれを優先させるかは、ケースバイケースです。
たとえば菩提寺がある場合は、お坊さんの都合を最優先することもありますが、葬儀社がお坊さんを手配する場合は喪主の希望を優先できます。
現在の日本ではほとんどの遺体が火葬されます(火葬率は99.99%)。
季節などにもよりますが、火葬場はどこも混雑しており、希望の日時で予約が取れないこともしばしばあります。
そのため、まず火葬場の予約を抑えてから逆算してお通夜や葬儀・告別式の日程を決めることも充分にあります。
葬儀式場や火葬場の手配は葬儀社が慣れているので、相談しながら各方面の調整をしてもらいましょう。
友引以外は、どんな日でも葬儀をする
実際の現場では、友引以外ではどんな日でも葬儀をします。
大安や仏滅を気にする人も中にはいますが、それよりもご遺体の状況を不安に思う人の方が多いのではないでしょうか。
どんなにドライアイスで手当てをしたとしても、ご遺体は日に日に状況が変化していくため、誰もが一日でも早く葬儀をしたいという心理になるものです。
自宅にご安置して故人様とゆっくり寄り添うとしても、死後2~3日には通夜を執り行うのが慣例です。
(エンバーミングの手当などを施した場合はこればかりではありません)
ですから、友引以外の六曜はあまり気にしないことがほとんどで、なるべく速やかに火葬をする必要があります。
その上で、火葬場、お坊さん、式場、喪主や親族それぞれの予定を考慮のうえ、最短の日程で予定を組みましょう。