日本国内にはたくさんの外国人が居住していますが、こうした人たちが亡くなった場合、母国の方法に則ったお葬式を日本国内で行うことは果たして可能なのでしょうか。この記事では、世界中の宗教や地域文化に基づく葬法が、果たして日本国内で実施可能かどうかについて解説いたします。
日本国籍か外国籍か
まずは法律的な部分で、故人様が日本国籍を取得しているのか、外国籍なのかによって異なります。
日本国籍であれば通常の形で死亡届を提出し、受理されると埋火葬許可証が発行されます。外国籍の方の場合、市区町村から法務局を通じて、その国の領事館へと死亡通知がなされ、ご遺族と領事館との間でやりとりが生じます。
火葬か土葬か
ご存知の方も多いと思いますが、日本国内は99.99%の人が火葬されています。しかし、世界的に見るとまだまだ土葬が主流で、特にイスラム教の人たちは必ず土葬をし、火葬はタブーとされています。
しかし、日本国内で土葬が禁止されているかというと、そうではありません。役所から発行されるのは「埋火葬許可証」、これは埋葬と火葬を許可する書類なのです。では、「埋葬」はどう定義されているのかというと、墓地、埋葬等に関する法律には「死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう」と書かれています。埋葬そのものは、実施可能なのです。
しかし、葬儀後の流れや墓地側の受け入れの問題、さらには周辺の住民感情などを踏まえ、現在の日本での土葬は現実的ではありません。全国7箇所にあるムスリム専用の土葬墓地、山梨県内にある土葬専用墓地、さらには古くからの風習の残る一部の地域で土葬が行われているものの、一般的な日本社会において、土葬が困難なのが実情です。
世界各国のお葬式 ルールやマナーの範囲内であればOK
世界にはさまざまなお葬式の方法があります。これらは日本国内の法律や、さまざまなルールやマナーを守れば、問題なく行えます。
キリスト教の場合
たとえば、キリスト教式のお葬式は、カトリックであれば教会で行われるところが多いのですが、プロテスタントであれば葬儀式場が用いられ、オルガンの演奏や賛美歌や祈祷などが行われます。
葬儀会館の中には、「仏式に限る」など、宗教宗派の制限を設けているところもありますが、公営斎場などでは宗教の制限はありませんので、ルールの範囲内であればキリスト教の実施も可能です。
イスラム教の場合
イスラム教のお葬式はムスクで行われることがほとんどで、その後は日本国内にあるムスリム専用墓地に埋葬されます。
つまり、イスラム教の場合は、葬儀の実施とその後の埋葬までをセットで考えなければなりません。
日本国内には2023年9月現在、10カ所のムスリム専用霊園があります。AZUMA葬祭でもご遺体搬送のお手伝いができますので、お困りの方はどうぞご相談下さい。
その他の世界の葬儀。日本で実施可能?
しかし、世界のお葬式は、宗教的側面だけではなく、各地のさまざまな風習や習俗も反映されています。
たとえばインドではガンジス川のほとりで火葬して、遺灰を川に流すのが当たり前ですが、これを日本国内で行うのは現実的に不可能です。
カトリックの国では教会での葬儀のあとに墓地でもう一度儀式を行い、棺ごと埋葬されますが、これも日本国内ではできません。
チベット仏教では、亡き人の遺体をあえて鳥に食べさせる「鳥葬」というものが行われますが、これも日本国内では実現不可能です。『墓地、埋葬等に関する法律』では、遺体は必ず火葬または埋葬されなくてはならないからです。遺体を鳥に食べさせることは、日本国内においては、遺体遺棄罪や遺体損壊罪に抵触するでしょう。
中国にはドレスコードがないと言われています。つまり、服装のきまりがなく、ジーンズやスニーカー姿が当たり前。法律やルールに抵触しているわけではありませんが、日本国内のマナーを考えたときには現実的ではありません。
世界各国のお葬式の風習は、それぞれの文化が醸成した祈りを形にしたものばかり。日本国内での法律やルール、マナーの範囲内で、可能な限り母国のお葬式を実行することが、故人様の安寧につながるかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか。世界各地ではさまざまな方法で葬儀が行われることが分かりました。日本の法律や慣習の中で、どれだけ祖国の葬儀が再現できるかは分かりませんが、AZUMA葬祭は可能な限り、お客様のご希望に沿うお手伝いに努めます。
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