日本とは違う世界のお葬式 キリスト教編

葬儀や供養の多様化などと叫ばれて久しい世の中ですが、それでも日本の葬儀の大多数が仏式で行われています。
しかし、宗教が変われば葬儀の進め方も大きく変わります。
世界では葬儀はどのような形で進められているのでしょうか。
この記事ではキリスト教葬儀についてご説明いたします。

キリスト教の死後観

キリスト教は死を人間が持つ「原罪」の刑罰として捉えられています。
イエスは地上の人間たちの原罪を背負って十字架に架けられます。
そして人類の罪をあがなうことで復活したと信じられており、このキリストの復活を信じるものは、神がいつの日か下す「最後の審判」において、キリストと同じように永遠の生命が与えられるとされています。

復活のための土葬

キリスト教の遺体処理は基本的には土葬です。火葬して灰にしてしまうと復活すべき肉体が消滅してしまうからです。
とはいえ、社会の近代化や経済の資本主義化によって、キリスト教圏でも火葬がどんどん普及しています。
火葬は、公衆衛生の観点からも安全で、かつ都市化による土地不足の解消の助けにもなるためです。

カトリックとプロテスタントによる火葬率の違い

さらに加えるならば、カトリックとプロテスタントの考え方の違いが、葬儀や埋葬方法にも表れています。
より伝統や儀式に厳格なカトリックでは遺体の処理は土葬で行いますが、合理的なプロテスタントでは、火葬に対してもそこまでの抵抗はないようです。
代表的な国の火葬率を見てみるとその傾向は明らかです。カトリック圏のイタリアが23%、フランスが39%なのに対し、プロテスタント圏のイギリスが77%、ドイツが62%です。

「キリスト教」と一括りにはできない世界の葬儀

カトリックとプロテスタントの違いだけでも、葬儀の様相は異なりますが、国や地域によってさらに違いが見てとれます。
たとえば、アメリカでは、キリスト教の教義よりも、いかに消費者のニーズに応えられるかという観点から葬儀ビジネスが発展してきた経緯があります。
葬儀を主導するのは教会よりも葬儀社ですし、かつては教会にあった墓地も、いまではそのほとんどが民間企業(葬儀業者)による公園型の霊園です。
このあたりは現代の日本と同じことが言えるのかもしれません。

宗教儀礼としての葬儀ではなく、喪主や遺族のニーズに応える形で葬儀社がさまざまなサービスを開発して提供する。宗教の教えをベースにした伝統的な儀礼よりも、個人の想いや個性を満足させてくれる葬儀が求められているようです。
一方、フランスはいまでもカトリックの信者が多い地域であるため、土葬が主流です。
パリの言わずと知れた観光名所に「カタコンブ」と呼ばれる地下墓地がありますが、ここには無数の頭蓋骨が整然と並べられています。
キリストと同じように自らもやがては復活を遂げて永遠の生命を受けるために、遺体は火葬せずに土葬を望むフランス人の国民性を表しているようです。

また、フランスの葬儀費用は大変安いと言われています。これは、葬儀一切を区営の公社が運営し、民間葬儀社が介入する場合もさまざまな料金が厳密に規定されているからです。
フランスでは葬儀を社会福祉の一環として考えられているのです。

西ヨーロッパを中心に広がったカトリックやプロテスタントに対し、東ヨーロッパに広がったのが「東方教会」。いまでは「正教会」と呼ばれ、ロシア正教やギリシア正教などの言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。

正教会の葬儀は「埋葬式」と呼ばれます。そしてその前日の通夜では「パニヒダ」が行われます。これは、永眠した人が神の国で安住することを祈るものです。

埋葬式の中で行われる儀式は、「連祷」(れんとう:神への祈願を輔祭(ほさい:司祭を補佐するもの)と詠隊が交互に歌い交わす)と、無伴奏の聖歌によって構成されます。これらには、亡き人のこの世界での罪の赦し、天国に赴くことの許し、復活の生命を得ることの祈願、これらを故人と神と参列者が記憶することが盛り込まれています。

日本正教会の場合、パニヒダや埋葬式は正式な作法に則ると2~3時間もかかるため、省略して1時間程度で済ますこともあるようです。

また、正教会の葬儀でも香炉が用いられますが、日本の焼香と異なり、香を焚くのは司祭だけです。参列者は献花で弔意を示します。

正教会の代表的な地域であるロシアは、長らく共産党政権が続いていた時代があり、その期間中は伝統的な儀礼が全く行われなかったといわれています。ソ連崩壊後は、人々は再びロシア正教会で洗礼を受け、伝統的な埋葬式が行われています。キリストによる復活を信じるロシアでは、9割の人が土葬を行っています。

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