日本人にはなかなか馴染みのないイスラム教。それでも世界を見渡すと16億人ものムスリム(イスラム教徒)がいると言われており、これはキリスト教に次ぐ世界第2位の信者数を誇ります。
イスラム教ではどのように葬儀が進められているのでしょうか。ご説明いたします。
イスラム教の復活思想 火葬ではなく土葬
イスラム教の教えでは、死は生の終焉ではなく、現世の行いがそのまま反映された来世があり、アッラーの審判の日に再び甦ると信じられています。
コーランの80章21−22節には次のように書かれています。
やがてかれを死なせて墓場に埋め
それから御望みの時に、かれを甦らせる。
ここのくだりで分かるのは、埋葬のあとに復活があるということです。
復活するためには肉体が必要であるため、イスラム教では火葬を行わず、土葬をします。
土葬はすぐに行われる
さて、イスラム教では、死後すみやかに土葬をしなければならないと言われています。
これは、イスラム教が盛んな地域の多くが気候の暑いところが多いため、遺体の腐敗の進行が早いことが関係していると思われます。
日本では現実的に不可能です。なぜならば、日本の法律では死後24時間以内に遺体を処理することが認められていないからです。
また、日本では火葬率が99%を誇るため、日本在住のムスリムたちは大変な思いをすると言われています。
いち早く土葬をして弔いたいと願うムスリムにとって、「いち早く」も「土葬」も、日本社会では極めて実現困難なのです。
イスラム教の葬儀の流れ
イスラム教での葬儀は次のような流れで行われます。
死亡の連絡
イスラム教の共同体のメンバーに死亡の連絡が行きます。イスラム教の地域ではムスリム同士の連帯が強く、ムスリム全員で1人の死を送り出します。それにはムハンマドが語ったとされる次の言葉が分かりやすいでしょう。
「もし、ある人が亡くなって、その葬儀礼拝に100人のムスリムが参列すれば、彼らが全員で彼のために取りなすので、その取りなしはアッラーに聞き届けられるだろう」
そのため、逆を言うならば家族や親族であっても、非ムスリムは葬儀に参列できません。
遺体の清めと納棺
コーランには遺体の清め方に細かい規定があります。それによって死者の身体をきれいにし、納棺します。納棺の際は、顔と手だけを見えるようにして、完全に白い布で覆います。
葬儀
たいていの葬儀は共同墓地で行われます。葬列は地域によって違いがあり、女性が参加する地域もあればしない地域もあります。
斎場や葬儀場での飾り付けはきわめて質素で、参列者全員でアラーへの祈りが捧げられます。