長男の弔辞 父、母の葬儀で読む例文や注意すること

弔辞とは、故人様に向けて読まれるお手紙です。葬儀告別式の中で読まれる弔辞には、故人様への想いが溢れ、私たちの涙を誘います。長男が自身の父や母に向けて弔辞を読むときには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
実は長男が喪主を務めるケースはあまり多くありません。というのも、長男は喪主を務めることが多い立場にあります。そして喪主は弔辞ではなく、参列者に向けた挨拶をする役目があるからです。一方、弔辞を読む人の多くは、故人の友人や知人、親族代表などが挙げられます。

しかし、たとえば故人の配偶者が喪主を務めて長男が弔辞を読むケース、あるいは無宗教葬で家族ひとりひとりが故人へのお手紙を読み上げるケースなども考えられますし、喪主挨拶の中で故人へのお手紙の要素を組み込みこともできます。

弔辞の意味

まずは、弔辞がどういったものなのかを具体的に解説します。

弔辞とははじめにも申し上げた通り、故人様へのお手紙です。故人様への弔意、これまでの感謝、そして別れの言葉を参列者の前で読み上げます。

弔辞は主に葬儀告別式の中で行われます。仏式葬儀の中では僧侶の読経を中断して、弔辞を行います。その後に焼香が始まり、親族や参列者ひとりひとりが祭壇前まで歩み出て、焼香をします。つまり、弔辞が「これから故人様への弔意を示す時間が始まりますよ」というスタートの役割を担っているとも言えます。

弔辞の長さ、内容、書式

弔辞は5分以内に終えるのがよいとされています。文字数にして約1,000字です。もちろん、仏式葬儀における弔辞と、無宗教葬で行われる弔辞では意味合いが異なるので、このあたりはその都度喪主や葬儀社と相談しながら決めていきます。ただ、あまり冗長になりすぎないよう、シンプルにまとめる方が、周りの人たちの心にも響く傾向にあります。

内容に決まりはありませんが、実際にそこにいる故人様に語りかけるのが良いでしょう。それでも、何をどのように書き出せばいいか分からないという人も多いようです。その場合は次の構成を参考に、文章を組み立てましょう。

●故人様への呼びかけ
●いまの自分の想い
●故人様との思い出やエピソード
●冥福を祈ることば

紙の選び方・書き方・書式

弔辞は正式には奉書紙や巻紙に書きます。書道店やデパート、さらにはオンラインで販売されています。こうしたものが準備できない場合は白の便箋などでも構いません。用意した紙に合わせて、毛筆、またはパソコンで文章を綴りましょう。

弔辞の最後には、日付と名前を書きます。裸で渡すのはマナー違反とされています。自身の親に向けて読み上げる弔辞ではありますが、包み紙か封筒に入れて準備しておくのがよいでしょう。

また、弔辞では忌み言葉を使わないようにします。「ますます」や「たびたび」などの繰り返しを連想させる言葉を避けます。

弔辞の読み方

司会者の指名を受けると、次のような手順で弔辞を読み上げます。

1、司会者から指名されたら椅子から立ち、遺族に向かって一礼する
2、祭壇の前に進み、祭壇に向かって一礼する
3、包紙から弔辞を出し、読み上げる
4、読み終えると弔辞を包紙に包み直す
5、弔辞を祭壇にお供えする。祭壇側から見て正面になる向きに置く
6、霊前、そして遺族の順に一礼し、席に戻る

長男が自身の両親に読み上げる弔辞の例文をまとめてみました。参考にしていただければ幸いです。


お父さんへ。お別れの言葉を申しあげます。
私は、あなたの息子でいられたことを幸せに思います。あなたの最後を看取れたことを幸せに思います。あなたに弔辞を述べることができ幸せに思います。
お父さんが倒れたという知らせ受けた時、お父さんからお土産でもらったコーヒーを飲んでいたところでした。
「あの元気なお父さんが」と、すぐには信じられず、こんなこともあるんだなと、なんとかこの事実を受け入れようと努めて病院まで車を走らせました。
子どものころは、サッカーやキャンプ、いろんなところに連れて行ってくれた。でも、私が大人になると、ちょっとずつ一緒にいる時間が減ってきた。
結婚して、孫ができて、また一緒にいる時間が増えてきたけど、太郎も大きくなると少しずつ自分のことに夢中になって、赤ちゃんの時ほどの往来はなくなったよね。
お父さんも私も仕事人間。遠く離れていても、お互いにがんばりあっているんだと、お父さんは心の支えでした。70歳を超えても自分の好きな仕事に邁進できているなんて、本当に素敵な人生だと思います。

だからこそ、突然の入院は、お父さん自身が不運だったと思います。
残された僅かな時間で、私たちはたくさんの思い出を作りました。お母さんとふたりででかけた海外旅行、家族全員で行った温泉旅行。とても楽しい思い出ばかりだったことでしょう。
いつも人に優しく、ときに頑固で腹立つこともあったお父さん。仕事関係の人たちからも慕われていたのは、お父さんの人徳そのものだと思います。誇りの父です。
お父さんの頂いたいつも前向きな背中を見続けながら、あなたに負けないような、人生を歩んでいきます。
きっとお父さんには適わないでしょうけど、お父さんのように笑顔で、優しい人間になります。
天国に行っても変わらず、お母さんを、そして私たち家族を見守っていてください。

お父さん、これまで本当にありがとう。どうか安らかにお眠りください。


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