お葬式の式場では、祭壇の両脇にたくさんのお花が並べられます。
最近ではお花で作る祭壇、いわゆる花祭壇も人気です。お葬式にお別れはつきものですが、供花にはいったいどのような意味があるのでしょうか。
祭壇脇に供花を並べる意味・理由
花を供える風習は古くからさまざまな地域で見ることができます。
かつてネアンデルタール人が死者に花を手向けていたと言われています。イラクのシャニダール洞窟遺跡から、約5万年前のものと思われるネアンデルタール人の集団遺体が発見され、遺体の周りから花粉が検出されたことは世界中を驚かせました。絶対に花が咲かないような洞窟の奥に花粉があるということは、外部から持ち込まれたということに他なりません。
また、お釈迦様は自身が入滅(逝去)する場所として、沙羅双樹の咲いている場所を選ばれましたが、そのとき沙羅双樹は見事に咲き誇り、修行を完成させたお釈迦様の身体に降り注がれたと言われています。ここでも死者とお花の関係が描かれています。
また、お釈迦様は弟子に、自身が亡くなった後はストゥーパ(仏塔)を建てて、花環や香料などをささげるよう説いていますし、入滅した釈迦に対しても、花環が捧げられたと言われています。
ヒトの感性では、花は美しいものと認識されています。この理由ははっきりと解明されていませんが、そのことから、生者であれ、死者であれ、神仏であれ、花は常に相手への敬意を示すアイテムの一つに用いられました。
石器時代の遺跡から、副葬品としての花の痕跡が多く発見されていますし、古来よりアニミズム(自然崇拝)の対象にもなっています。古事記においては「木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)」、ギリシア神話の「アンテイア」、ローマ神話の「フローラ」などがあります。
また、誕生日や結婚式や開業祝いなど、生者に対して喜びや親しみの気持ちを伝える時にも花が用いられています。
このように、いつの時代にも死者に花が供えられるのは、「大切な人の最期を美しい花と共に送り出すため」「故人への敬意を尊敬を表すため」、さらに仏教思想が根付く日本においては、「美しく咲いてやがて枯れていく花そのものが、生命の循環を象徴しているため」などの理由が挙げられます。
供花で用いられるお花の種類
式場に並ぶ供花は、主に菊を中心としたものと、洋花を用いたものが選ばれます。統一感を出すために、どちらにするかは喪主が決めます。
菊、カーネーション、ゆり、デンファレなどが用いられます。洋花であれば、基調とする色を青、ピンク、白などある程度指定できます。
かつて、供花と言えば菊でした。日本において菊は国花ですし、皇室の紋としても用いられています。弔いの色である美しい白、そして長持ちすることから、神仏や故人への捧げものとして古くから用いられてきたのです。
しかし、最近は、葬儀だから白菊という考え方も薄れ、色花を交えた洋花も人気です。
供花札 並べる順番・書き方
供花にはそれぞれ施主(差出人)の名前を書いた札を掲げます。
ここで書かれる名前は、個人名、連名、会社名、社名と役員名、団体名、「●●一同」などさまざまです。
並べる順番は喪主が決めますが、祭壇を中心にして向かって右側上段の内側が1、向かって左側上段内側が2、1の隣が3、2の隣が4と、左右交互に並べていくのが通例です。
序列は、喪主から順に、つながりの濃い血族、親族、あとは友人知人や会社関係など状況に応じて決めていきます。
供花の費用相場
供花の費用相場は1万5千円から3万円です。
最近では見た目の統一感を出すために、種類と値段を統一しておくことが多くなっています。
「1万5千円の菊花で統一」といった感じです。もちろん供花は気持ちのものなので、差し出す方の気持ちに応じて値段を決めても構いませんが、喪主が方針を示しているのであれば、それに従うのがマナーでしょう。
供花の注文の仕方
供花は、施行葬儀社に注文します。親族であれば喪主や遺族が取りまとめをすることもあります。
ご自身で生花店などに注文して配達してもらうこともできますが、祭壇脇に並べたときに雰囲気の異なるお花が飾られることになるので注意しておきましょう。できれば、施行葬儀社に任せておくのが良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
お花は故人を美しく送り出し、故人への敬意や尊敬を表すために大切なものです。館内を色あざやかに彩ることで、悲しみに暮れる遺族たちの心情を慰撫してくれることでしょう。
葬儀のお花について、供花のことで分からないことがございましたら、どうぞお気軽に東葬祭までご相談ください。
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