お葬式は厳そかな雰囲気の中、粛々と行われます。参列者が弔意を示す場が焼香ですが、その場にいる全員の前で焼香するのは大変緊張します。ましてやはじめてお葬式に参列する人にとってはなおのことです。
この記事では、お焼香の正しいやり方を、葬儀のプロがお伝えします。実践編なので、この記事に書いていることをすれば、なんら問題なくお焼香ができるでしょう。
数珠は絶対に忘れない
まず、葬儀に参列する前の確認事項として、焼香の時には数珠は必須アイテムなので、必ず忘れないようにしましょう。
数珠は厳密には宗派別のものがありますが、一般的なものでも構いません。数珠袋に入れておけば、房が汚れず、形を崩さないでしょう。
回数に迷ったら心を込めて1回焼香
結論から言いますが、焼香の回数を間違えたからといって、誰もあなたをとがめません。
そもそも故人さまや遺族の人たちはあなたが参列してくれたことを喜んでいますし、ひとりひとりの焼香回数まで覚えていません。
よほど場に相応しくないことをすると、場の雰囲気を壊し、咎められることがあるでしょう。
しかし、ごく普通の作法で焼香をすれば、なんら問題はありません。回数にこだわり過ぎるよりもむしろ、心を込めることを意識しましょう。
前の人の真似をしよう
どのタイミングで焼香台まで進むのか、どこで一礼するのか、焼香を何回するのか、終わった後はどこに向かえばいいのか。
こうした一連の流れはすべて前の人の真似をしましょう。焼香は喪主が一番はじめに行いますが、あとの人たちのほとんどは前の人の作法を参考に焼香を行います。あなたも同じように、前の人の動きを参考にしましょう。
大事なのは故人さまを悼み、遺族をいたわる想い
繰り返し申し上げますが、焼香で大切なのは、故人さまを悼み、遺族をいたわる想いです。
作法やマナーはもちろん大切ですが、あまりそれにとらわれることなく、むしろ故人さまに想いを馳せ、ご遺族に心の中でお悔やみを述べてお焼香しましょう。
お焼香の作法
お焼香は次のように行います。
●焼香台まで進み出る
スタッフの案内に従って焼香台まで進み出ます。
●一礼
遺族に一礼、僧侶に一礼、そして祭壇の故人さまに一礼します。
●焼香
数珠を左手にかけ、右手で抹香をつまみ、額に押しいただきます。その後、抹香を香炉の中にある炭の上に落とします。
●合掌
煙が上がるのを確認して、合掌。心を込めて故人さまを悼みます。
●自席に戻る
遺族に一礼してあとにします。
宗派別 お焼香の回数と作法
前の章で、「迷ったら心を込めて1回焼香」「前の人の真似をしよう」「大事なのは想い」という具合に、いわば焼香の裏技的なものをご紹介しました。
しかし、宗派別に焼香のマナーというものがありますので、これを覚えておいて損はありません。「心は形式に宿る」とも言います。せめて自身の家の宗派のお焼香の作法だけでも知っておいて損はありません。
ここでは、代表的な8つの宗派のお焼香の作法をご紹介いたします。
▶天台宗
天台宗の焼香の回数は3回が基本ですが、1回でもよしとされています。抹香を手に取り、それを額でおしいただいてから、香炉に落とし、合掌します。
▶真言宗
真言宗の焼香の回数は3回行います。仏・法・僧の三宝を供養するためと言われています。抹香を手に取り、それを額でおしいただいてから、香炉に落とす、これを3回繰り返して、合掌します。
▶浄土宗
浄土宗の焼香の回数は1回または3回です。葬儀場が混雑しているようであれば1回、そうでなければ心を込めて3回しましょう。抹香を手に取り、それを額でおしいただいてから、香炉に落とし、合掌します
▶浄土真宗本願寺派(お西)
浄土真宗本願寺派の焼香の回数は1回です。抹香をつまみ、額におしいただくことなく、香炉にそのまま落として、合掌します。
▶真宗大谷派(お東)
真宗大谷派の焼香の回数は2回です。抹香をつまみ、額におしいただくことなく、香炉にそのまま落とし、これを2回繰り返して、合掌します。
▶臨済宗
焼香の回数は一般的には1回です。抹香を摘み、額におしいただいて、香炉に落とし、合掌をします。
▶曹洞宗
曹洞宗の焼香の回数は2回です。1回目は抹香を摘み、額のところでおしいただいてから香炉に落とします。2回目は抹香を摘み、額でおしいただくことなく、そのまま香炉に落とし、最後に合掌をします。1回目の焼香は「主香」と呼ばれ、故人の供養のためのもの、2回目の焼香を「従香」と呼ばれ、次の参列者までの間に香の煙が絶えないためのものです。
▶日蓮宗
日蓮宗の焼香の回数は1回~3回です。葬儀場が混雑しているようであれば1回、そうでなければ心を込めて3回しましょう。抹香を手に取り、それを額でおしいただいてから、香炉に落とし、合掌します
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