コロナ感染症のご遺体取り扱いについて(逝去から火葬までの実際)

「家族がコロナで亡くなったら、どうやって葬儀をすればいいの?」
「コロナで亡くなった場合、最後のお見送りはできないの?」

このように、新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の葬儀に疑問や不安を持っている方も少なくありません。
2023(令和)5年1月6日、厚生労働省と経済産業省は、「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」の改定版を公表し、自治体に通知しました。

この記事では、ガイドラインが改定されたことで、新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の葬儀はどのように行えるようになったのかを解説いたします。

ガイドライン 改訂版の3つのポイント

コロナ禍において、社会全体が大きな変化を余儀なくされました。葬儀の現場も例外ではなく、何よりも感染拡大防止が最重要とされ、満足いく葬儀ができなくなってしまったのです。
タレントの志村けんさんが新型コロナウイルスに感染して亡くなった際、家族による看取りやお葬式もできず、遺骨となって家族のもとに帰った姿にショックを受けた方も少なくないのではないでしょうか。
コロナ禍の葬儀で恐れられていたのは、
▶新型コロナウイルスで亡くなった方の遺体からの感染リスク
▶たくさんの人が集まる葬儀場での人から人への感染拡大リスク
…この2つです。
つまり、コロナで亡くなった方の葬儀は誰も立ち会うことができませんでしたし、仮に死因がコロナでないにしても、たくさんの人が集まる葬儀は三密の状況が発生しやすく、ごく限られた身内だけでの葬儀へと縮小化していったのです。
このようにコロナ禍においては葬儀を満足に行えませんでしたが、このたびのガイドラインの改定により、次の3つの点が大きく改善されました。

納体袋への収容

旧ガイドラインでは、遺体の体液に触れることのないよう、非透過性の納体袋に納めなければなりませんでした。従来、布団の上で安らかに眠る故人の表情を見ながら最後のお別れができましたが、尊厳あるお別れができないことに、多くの遺族が心を痛めていました。
改訂版のガイドラインでは、納体袋への収容は原則不要としています。つまり、コロナで亡くなった方でも、従来通り遺体の搬送、安置ができるようになったのです。
ただし、遺体に対して適切な感染対策(清拭、鼻や肛門等への詰め物、紙おむつの使用等による体液漏出予防)を講ずることが前提となります。
また、コロナによる死亡に限らず、損傷の激しい遺体、解剖後の遺体、体液漏出のリスクが高い遺体の場合は、葬儀社の判断により、納体袋に納めることがあります。

遺体への接触

旧ガイドラインでは、新型コロナウイルスの飛沫感染やエアロゾル感染のリスクを予防するために、遺体を直接手で触れることはできませんでした。しかしガイドラインの改定後は、清拭や詰め物などの適切な対策が講じられていれば、遺体に手を触れてもよいとしています。ただし触れたあとは手指の消毒をすることを推奨しています。

通夜・葬儀の実施

旧ガイドラインでは、通夜や葬儀の開催が可能かどうかを慎重に検討することが求められていましたが、改訂版のガイドラインでは、遺体に適切な対策が講じられていれば、通常通り行なっても問題ないとしています。
また、遺体からの感染リスクに加えて、通夜や葬儀では人からの感染リスクも考えられます。こちらも、マスクの着用、手指消毒の実施など、遺族、参列者、宗教者、葬儀社スタッフなど、式場に出入りする全ての人が適切な対策を講じれば問題ないとしています。

ガイドラインが改定された理由

なぜこの時期にガイドラインが改定されたのでしょうか?
これまで、大切な方の最期を満足いく形で見送ることができないことに、多くの方が胸を痛めてきました。実際に、厚労省が定めるガイドラインはあまりにも過剰すぎるのではないかという批判も見られるほどです。感染拡大防止は大切なことですが、その人の最後の場面に尊厳を持って携わることもまた、メンタルヘルスの観点から大切なことなのです。
2020年から始まったコロナ禍ですが、3年近く経つことにより、ワクチンの接種が進み、治療の選択肢も増え、社会全体がコロナ禍における生活様式に順応してきました。
加えて遺体からの感染リスクが高くないことも実証されています。新型コロナウイルスは、飛沫感染、接触感染、エアロゾル感染で感染しますが、
▶遺体の体内に感染症ウイルスが残っていたとしても、呼吸や咳による飛沫感染やエアロゾル感染の恐れがないこと
▶体液漏出に伴う感染も清拭や綿詰めなどの適切な対策を講じることで、感染リスクを低下させること
▶WHOも遺体から感染するという根拠はないと示していること
以上の理由から、国も適切な対策さえ講じれば、従来通りの葬儀をしても構わないと判断したのです。

とはいえ、まだまだコロナ禍における葬儀について不安に感じる方も少なくありません。私たちAZUMA葬祭は、葬儀や仏事のプロフェッショナルです。コロナ禍においても数多くのお葬式をお手伝いしてきました。不安に思うことや分からないことなどがございましたら、こちらのお申込みフォームから、お気軽にお問い合わせください。

また、東京都にお住まいの方は、どうぞお気軽にご相談下さい。メールや電話でのお問い合わせでも構いませんし、三鷹市にある社屋や自社会館、お客様のご自宅やご希望の場所に出張し、対面相談にも対応いたします。

お申し込みフォームはこちら
お電話:0120-66-5940
(24時間・365日)

※この記事は、2023年1月に更新されたものです。

関連記事

  1. コロナ禍の自粛葬ってどんなやり方があるの?

  2. 行方不明者や失踪者の葬儀は出来る?

  3. 介護中の親を看取った時の対応手順

  4. 納棺時よく柩に入れるもの、入れてはいけないもの?お金や手紙はどうなの?

  5. 訃報の連絡のやり方 伝える内容・タイミング・例文や注意点など

  6. 意外と知らない告別式とは どんな故人だと行うの?

カテゴリー

  1. 火葬炉の最上等、特別室、特別殯館の違いは

    2024.04.24

  2. 「終活勉強会&事前相談会」を出張で行っております

    2024.04.22

  3. 2024年5月12日(日)/18日(土)-もしも講座・事前相談会を開催(参加無…

    2024.04.22

  4. 実際の葬儀事例=見積り書の紹介-IH様

    2024.04.20

  5. 神棚って自分で作れるって本当?

    2024.04.20

  6. 喪主を頼める人がいない。死後事務委任契約とは

    2024.04.10

  7. ナースの方から「ここにこのまま体を置いておけないので運んでくれ…

    2024.04.10

  1. 宗教・宗派がわからないときの調べ方

    2018.05.29

  2. 海外旅行先で、不慮の事故で死亡したらどうしたらいいの?

    2018.05.29

  3. 神道のお葬式でお願いするのは、神主さん? 宮司さん? どっち?

    2018.05.29

  4. 意外と知らないお布施のマナー 包み方・金額・タイミング

    2018.03.02

  5. 失敗しない日本でのイスラム教徒の葬儀

    2018.02.23

  6. 孤独死・孤立死で困らないための準備とは? 障がいを抱えた子ども…

    2018.02.01