葬儀社はいくつかの種類に分けることができます。その中でも「互助会」という言葉を聞いたことがある人も多くいるのではないでしょうか。互助会も葬儀社の種類のうちのひとつですが、互助会とは一体どんな葬儀社なのか、どのような特徴があるのか。この記事では、そのポイントをまとめました。
互助会は毎月の掛金を積み立てる葬儀社
互助会とは、正式には「冠婚葬祭互助会」と呼ばれます。元気なうちに互助会に入会し、会員は毎月一定の金額(数千円)の掛け金を支払い、結婚式や葬儀などの冠婚葬祭費用を積み立てします。一般的な営利企業が会員からお金を預かって運用するわけですから、どんな企業でも互助会システムを採用できるわけではありません。互助会の監督官庁は経済産業省であり、営業のためには許認可を受けなければならないのです。
掛け金とそのプラン
互助会のプラン内容は業者によってさまざまです。月々の掛け金は2000円、3000円、5000円などがあり、支払回数も60回や90回など、葬儀社によってさまざまです。
また、会員になることで、葬儀費用を事前に積み立てられるだけでなく、冠婚葬祭の場面で会員特別価格で結婚式や葬儀のサービスを受けられるのが特典です。
互助会の成り立ち
互助会は読んで字のごとくお互いを助けることを理念として始まった葬儀システムです。戦後間もなく横須賀市の西村葬儀社が「横須賀市冠婚葬祭互助組合」として発足したのがはじまりです。お金のない市民同士がそれでも大切な結婚式や葬儀はきちんと執り行いたいという思いから、お金を出し合いお互いを助け合うという理念のもとに始まったものです。
トラブルの多い互助会
しかし、日本が高度成長期を迎えると、日本中に互助会ができ、活発な会員勧誘が社会問題にまで発展しています。昨今では互助会と聞くとトラブルを連想する方も多くいるのではないでしょうか。互助会は会員の月々の掛金を元手に設備投資を行えるため、会員数がそのまま死活問題につながります。ですからしつこい勧誘や、解約しぶりなどが問題となり、法外な解約手数料は訴訟問題にまで発展しています。
具体的には次のようなトラブルがあります。
- 掛け金だけで葬儀ができると錯覚する
勧誘員は会員獲得に必死です。毎月の少額の掛け金でいざという時葬儀がきちんと取り行えると錯覚しがちなものですが、実際には影金が充当されるのは葬儀費用の一部に対してであり、いざ葬儀を行うとなるとたくさんの追加費用を払わなければなりません。 - 解約しぶりや法外な解約違約金
会員をやめようと解約を申し出てもなかなか解約に応じてくれないという報告も上がっています。まだ法外な解約手数料は訴訟問題に発展しています。
掛け金だけでは葬儀はできない
互助会の強引な勧誘は、社会問題になり、ひどいものでは訴訟問題にまで発展しています。どうしてこのようなトラブルが続発するのでしょうか? その理由を考えます。
●掛け金で葬儀ができると思い込んでいた
トラブルにあった人の多くからは、「掛け金だけで葬儀ができると思っていた」という声が聞こえます。互助会のコースプランは主に30万円、50万円、70万円コースなどがありますが、果たして30万円で葬儀ができるでしょうか? ちなみに葬儀費用の全国平均は195万円だと言われています。
勧誘員の甘い誘い文句もありますが、入会の時期と葬儀の時期とではあまりにも離れすぎていることが多く、喪主が契約内容をきちんと把握していなかったところにも原因が考えられます。契約の際には、きちんと契約内容を確認しておくことはもちろんのこと、定期的な契約内容の見直しも大切です。
では、具体的に互助会のセットプランの費用がどのように構成されているのかを示します。互助会の会員には、特別価格で葬儀サービスが提供されるだけでなく、満額となった掛け金分が葬儀費用に充当されます。
(例)50万円プラン(※50万円を事前に積み立てしておき葬儀費用に充当できる)
一般価格 100万円
会員特価 50万円
掛金満額 ▲30万円
費用負担 20万円
このように見てみると、100万円かかる葬儀が20万円の負担だけで行えるように思えます。
しかしここには2つの落とし穴があります。
ひとつは、30万円プランが安価なプランで、さらに高価格のプランがたくさん用意されていること。つまり葬儀社側は商談の中でアップグレードを勧めてくるということです。大切な人をきちんと送り出したいと考える人は、ついついアップグレードに応じてしまいます。
もうひとつはセットプランだけでは葬儀は実施できないということです。業者によっても異なりますが、通常プランに含まれているのは、祭壇、棺、枕飾り、遺体保管料、ドライアイス、搬送者や寝台車などです。反面、式場使用料、供花、料理、返礼品、火葬料、お坊さんへの謝礼などは含まれておらず。見積もりの際は追加で計上されます。
互助会は、友人や知人からの勧誘で断りづらい側面があるのが事実です。しかし、大切な人を送り出すための葬儀。わからないことはきちんと確認し、納得のいかない契約は避ける、あるいは解約するなどの毅然とした態度が、トラブル防止への一番の方法です。