さまざまな分野でIT化が進む中、葬儀業界はやや遅れを取っているようですが、こちらにもITの波が徐々に押し寄せています。
IT葬儀とは、どのようなものでしょうか?
葬儀のIT化
葬儀社の手配や墓地情報など、総合的にITを取り入れている葬儀社もあります。
・祭壇などのシミュレーション
どのような葬儀を行うのか検討する際に、祭壇などのシミュレーションができます。
より視覚的に葬儀の内容や価格などが把握できます。
・電子芳名帳
現在の芳名帳は手書きがほとんどですが、タッチパネルなどを設置して、参列者の名前や故人との関係を入力してもらうやり方も出てきています。
葬儀を済ませた後、葬家が名簿を整理する際には、こういったIT化によって負担が軽減できると考えられます。
・香典の集計管理
またIT化により香典の金額を集計して容易に把握できるようになってきました。
香典返しをその場で参列者に選んでもらうこともできます。
従来の葬儀にはなかった新しい一面もあります。
・葬儀のネット配信
高齢の方など葬儀に参列できない方へ、インターネットによるライブ配信も実際に運用されています。同様にインターネットを利用した「お墓まいり」も利用され、喜ばれているそうです。
ロボットが読経する!?
そして2017年にはなんと、人型ロボットのPepper(ペッパー)君がお経を読む、「ロボット導師」の事業を行うと発表した葬儀会社もあります。
これは菩提寺を持たない人や、墓地ではなく納骨堂などに遺骨を収めたい人など、葬儀や供養の形の多様化に応えたものです。
宗派などを選ぶことができ、お経の種類や葬儀の方式も細かく選ぶことができるといいます。
近年、都市周辺部ではお寺の後継者であるお坊さんが不足していると言われています。
葬儀にITを活用する動きは、このような時代背景もあると考えられます。
とはいえロボットの読経には抵抗がある方もおられるでしょう。
前出の会社では、当面は人間のお坊さんが同席し、Pepper君が務めるのは副住職ということですから安心ですね。
Pepper君にお布施を渡すの?
もともとお布施とは、お坊さんへのお礼ではなく、「ご本尊へお供えするもの」なのです。あくまでも「志」をお包みする、という気持ちで、お布施は用意すべきでしょう。
ただ、人間のお坊さんと違い、ロボットのPepper君の場合は、具体的な金額も含めて相談することになるでしょう。
故人を偲ぶ葬儀に変わりはない
こうしたまったく新しい葬儀の形に、参列する側も戸惑うこともあるかもしれません。
しかし、故人を偲ぶ本来の葬儀と基本的に変わることはないのです。
IT化というと、冷たい響きにとらえられるかもしれません。
ですが、高齢の方や遠方に住む人がネット上で葬儀に参列できたり、葬儀全体が容易に把握できるようになったりと役に立つことも多く、大変喜ばれているようです。
方法は変わっても、故人を思う気持ちがなにより大切なのですね。