喪主を務めるのは一生に一度あるかないかの経験です。
ですから、葬儀にどれくらいの費用がかかるのか分からないという人は実にたくさんいます。
自分自身も経験がありませんし、周囲を見渡しても喪主を務めたことがある人の方が稀なので、誰に聞けばいいのか分からないのです。
葬儀はいつ発生するか分かりません。突然のことで動転したまま不慣れな葬儀を進めなければならないとなると、否応でも葬儀社の言いなりになりかねません。
ふだんあまり馴染みがないからこそ、相場金額や費用の内訳を少しでも頭に入れておくだけで、いざという時に冷静な判断ができるものです。
この記事では、葬儀費用の相場について、東京での相場をベースにご説明いたします。少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
東京都内で葬儀を行う場合の目安
まずは葬儀にどれくらいの費用がかかるのか、実際に数字を出してご説明いたします。東京における葬儀費用の平均的な目安です。
- 家族葬(例:親族15名)の場合で90万円前後
- 一般葬(例:親族20名、一般30名)の場合で150万円前後
- 直葬(通夜や葬儀を行わず火葬だけ)の場合で20万円前後
いずれにせよ、葬儀には安くはない費用がかかります。
突然のことにも悔いのないお別れができるよう、ある程度費用の目安を知っておくことが大切でしょう。
葬儀のどこにどんな費用がかかる?
大きく4つに分けることができます。
1 葬儀社に支払う費用
主な品目:祭壇、棺、搬送料、ドライアイス、スタッフ人件費、料理、返礼品など
2 施設を使用するために支払う費用
主な品目:式場使用料、火葬料金、火葬場休憩室料など
3 寺社に支払う費用
主な品目:お布施、お車代、お膳料など
4 葬儀後に必要な費用
主な品目:香典返し、仏壇、位牌など
一般的に葬儀会社のホームページなどに記載されている金額は、1の葬儀社に支払う費用です。2、3については葬儀社に決定権のない金額のため含まれまないことが多いでしょう。
ですから、喪主が望むお別れの施設や式の執り行い方、弔問客のもてなし方によって、葬儀費用は大きく変わってきます。
葬儀はオーダーメイド
葬儀は、故人の想いや家族の希望を葬儀社が汲んで形にしていきます。
そのため、たとえ目安の金額が設定されていても、内容によって見積金額は大きく変化していくので注意が必要です。
祭壇ひとつをとっても30万〜400万と大変な幅があります。
ほかにも斎場を公営(5〜10万円)にするのか民営(20万円〜)にするのか、バスでの移動回数や移動距離はどのくらいか、そうしたところでも費用が変わってくるのです。
お布施の金額をどうする?
特に初めて喪主や喪家となる場合に悩むのが、寺社に支払う御布施でしょう。基本的に御布施は寄進に当たるので金額に定めはありません。つまり、お金を包む側の「お気持ち」でよいのです。
とはいえ、通夜と葬儀の2日間ほど、お寺様を拘束することになりますし、大切な家族をその宗派の作法に則って供養してもらわなければなりません。
東京都の相場としては通夜、葬儀、初七日の法要まで含めて30万円前後でしょう。
だだしこれも幅があるので、あくまでも一般的な目安として認識していてください。
また、菩提寺がある場合には、檀家と菩提寺という長い関係性があります。高い安いに関わらず、世間的な相場が通用しない面があるため、必ずお伺いするようにしましょう。
戒名料は宗派や文字数によってランクがあり、それに応じて金額が変わってきます。
急なことに戸惑わないために 事前相談のすすめ
葬儀はいつ起こるか分かりませんし、高額な費用がかかるものです。
急なことに戸惑わないように、事前の備えをしておくのが望ましいでしょう。
想定外の出費にあわてないためにも、普段から親族でどのような葬儀を行いたいか、どんなところを大切にしたいのかを話し合っておいてはいかがでしょうか。
また、家族間での相談ももちろんですが、葬儀社に相談しておくのもよいでしょう。事前に葬儀がどのように進んでいくのか、費用がどれくらいかかるものなのかを知っておくことはいざとい時に大きな安心となります。
生前予約という選択肢も
事前相談をした葬儀社が信頼できるのであれば、生前予約を申し込んでおくことでより安心でしょう。
突然の訃報で気持ちが落ち着かない中、不慣れな葬儀の契約をしなければならず、しかも高額な出費が求められるとなると、とても冷静な判断ができるとは限りません。
生前予約では、ある程度見積もり内容を決めておき、いざ葬儀が発生した時にはその見積もりをベースに話が進められるので、スムーズに葬儀に臨めます。
さらには、自分たちが望む葬儀で、どれくらいの費用が必要かを事前に知っておくこともできるので、余裕を持って資金計画が立てられます。
必要なもの、不要なものを元気なうちに冷静に判断できるため、無駄のない、より納得のいく葬儀が可能となるでしょう。
元気なうちから、家族や葬儀社と相談しておくことは、後悔のない葬儀のためにはとても有意義なことなのです。