位牌は故人そのものともいえる大切なものです。
どこにを頼むのか、相場はいくらなのか、迷うことも多いでしょう。
ここでは、位牌の作り方や金額の目安をご紹介します(浄土真宗には位牌はありませんが、法名軸を用意します)。
位牌は作らなくてもよいのですか?
位牌は故人や先祖の霊が宿る依代(よりしろ)であり、遺族の方にとって心の支えともなるものですから、親族でもよく話し合っていただき、ご用意されることをお勧めします。
昔の人は、家が火事にあっても位牌だけは持って逃げだしたと言われています。
それだけ、日本人にとってご先祖様というのは大切な存在なのです。
供養はあくまでも「気持ち」の問題ですから、絶対に必要だとは言い切れません。
しかし、人の気持ちほど、ふわふわと不安定なものはありません。
だからこそ昔の人は、位牌という目に見える形のものを作り、そこに亡き人がいると考えたのでしょう。
ましてや、お寺様に来ていただいて供養してもらう場合は、必ず用意しましょう。
本位牌は四十九日までに用意を
作ることが決まれば、四十九日までに用意するのが一般的です。
四十九日法要は、死者が祖霊になる、とても大切な法要です。
葬儀で使用した白木の位牌は四十九日までの仮の位牌ですから、以降、仏壇の中で末永く祀る本位牌を用意しなければなりません。
位牌の注文は、施行葬儀社や仏具店などに依頼します。
本位牌ができ上がると、白木位牌から魂を移す「開眼供養(かいげんくよう)」をお寺に依頼します。
この開眼供養は通常、四十九日法要に併せて執り行われますので、本位牌を依頼するのと合わせてお寺への日程も相談しておきましょう。
四十九日までに本位牌を用意できない場合は、納骨時や法要などの区切りに合わせて作るとよいでしょう。
位牌ができあがるまで
位牌ができあがるまでに何をしなければならないのかをまとめました。
・位牌を選ぶ
すでに自宅に仏壇があり、位牌が祀られている場合、形や大きさは先祖の位牌と同等の大きさのものを選びます。いまある位牌を写真に撮って、総高さや総幅などの寸法を測って、葬儀社や仏壇店に相談しましょう。
自宅に仏壇や位牌がない場合は、その家にとって新たに位牌を作ることになるので、好みのものを自由に選べます。
位牌は基本的には仏壇の中に納めて祀るものですから、まずは仏壇を選んで、それに合うデザインや大きさの位牌を選びましょう。
・文字の配置を決める
名前が戒名か俗名なのか、没年月日の配置をどこに入れるかを決めます。
配置については葬儀社や仏壇店に任せればいいでしょう。
お寺から頂いた戒名や、生前の名前、命日や年齢など、彫刻してもらいたい内容を持参しましょう(写真やメモ書き)。
・文字色や梵字について決める
位牌は芯材が木で、その表面を漆塗りでできています。
ですから、文字彫刻した箇所は木地がむき出しになってしまいます。
そのこともあり、文字彫刻した箇所は上から色を入れます。
文字の色は表面が金か白、裏面が金・白・朱であることが多く、宗派によっては戒名の上に梵字を入れることもあります。
種類も金額もさまざま
位牌の種類もさまざまです。
・塗り位牌
漆塗や金粉などが施されたもので、人気の高い位牌です。
漆や金の種類によってに値段・が異なります。
漆は、生漆を使えば最もいいのですが、とても希少で、金額も高騰します。
漆の代用品で、カシュー漆(カシューの木の樹液を使用)や、合成漆などを使用することで費用も安くなります。
また、金の部分や金箔や金粉など、仕上げが異なり、金粉の方がいいものとされています。安い海外産のものであれば1万円前後から。国内産のものは3万円以上が目安となるでしょう。
・唐木位牌
黒檀や紫檀など硬度の高い木を用い、美しい木目を残した位牌です。値段による耐久性の違いはさほどありません。相場はおよそ2~5万円。
・回出位牌・繰出位牌(くりだしいはい)
回出位牌は、故人の戒名を記す札板が10枚程度入る箱がついており、複数の位牌をひとまとめにできるのが特徴です。
先祖代々の位牌が多くある場合などにおすすめです。
素材は塗りや唐木などがあり、安いものは3万円程度から購入できます。
・過去帳位牌
回出位牌と似たような形状で過去帳位牌というものもあります。これは、位牌の中に過去帳と呼ばれるご先祖様の名前を書き記す帳面を収めることができる位牌です。一つの位牌で複数のご先祖様を祀ることができます。
・モダンな位牌
最近では、現代仏壇やモダン仏壇など、仏間ではなく、マンションやリビングなどにあう新しいタイプの仏壇が人気です。
それに合わせて位牌も、従来からの塗り位牌や唐木位牌ではない、モダンで、デザイン性に富んだ物が人気を集めています。
ウォールナットのような外国の木材で作られたもの、クリスタル製のもの、スタイリッシュなデザインなどさまざまな位牌がリリースされています。
位牌は次の世代にも長く引き継がれていくものですから、よく考えて決めたいものですね。