お葬式も個性の時代。伝統的な習慣やお飾りなどもすっかり見られなくなってしまいました。家族葬がもてはやされる昨今の葬儀では、「故人らしさ」や「自分たちらしさ」が求められます。ライフスタイルが多様化するのに合わせて、葬儀のニーズも多様化。「〇〇葬」と呼ばれるいろんなお葬式が登場しています。そこでこの記事ではお葬式の種類について紹介いたします。
一般葬
一般葬とは、伝統的な形式にのっとった従来型の葬儀です。とはいえ、葬儀の形は時代とともに変化し、「一般」の定義は実にあいまいです。昨今呼ばれている一般葬とは、家族葬の登場とともに生まれた用語です。戦後日本社会で一般的に執り行われた葬儀スタイル、つまり、
●通夜、葬儀の2日の日程で
●親戚だけでなく、友人、会社関係、ご近所の人たちに広く参列を促し
●寺院を招いて供養する
この3要素を満たしたもののことを指して一般葬と呼びます。と呼びます。次から挙げる「〇〇葬」は、一般葬の持つそれぞれの要素が変質していったものと思えばよいでしょう。
家族葬
家族葬とは、家族や親族だけで執り行う小規模葬儀のことです。平成に入ってから家族葬を選ぶ人が急増しました。いまでは家族葬を行う人が全体の半数近くにも及んでいます。もちろん、家族葬だからといって家族や親族しか読んではいけないのかというと、そうではありません。お世話になった人だけには参列してもらうなど、どこまでの人に声をかけるかは喪主や遺族の判断に委ねられます。
一日葬
一日葬とは、通夜を執り行わずに葬儀・告別式だけを執り行う葬儀スタイルです。家族葬が増えたことで通夜に参列する一般会葬者が見られなくなりました。これを受けて通夜の必要性が見直され、最近では1日だけで葬儀を済ます人が増えました。費用を若干抑えることができる、1日で葬儀を終えられるために身体的な負担が軽減できるなどの理由から選ばれています。
直葬
直葬とは、通夜や葬儀などのセレモニーを執り行わずに、火葬だけを行う葬儀スタイルのことです。式場を借りて、祭壇などを設置する必要がないため、大幅に費用を軽減できます。
密葬
密葬とは、本葬やお別れ会を前提とした、身内だけで行われる葬儀のことです。会社経営者や著名人など、社会的影響力のある人の葬儀の場合、時間をかけて訃報を流し、葬儀の準備を行わなければなりません。その場合、先に身内だけで葬儀や火葬を行っておきます。
無宗教葬
無宗教葬とは、僧侶などの宗教者を招かない葬儀です。宗教儀礼を不要と感じる人、費用を安く抑えたい人に選ばれています。焼香の代わりに献花、読経の代わりに弔辞や献奏(故人の好きだった音楽を流す)などを行い、故人を偲びます。
社葬
社葬とは、会社が主催する葬儀のことです。会社の創業者や経営陣、多大な貢献を残した社員が亡くなった時に、会社として哀悼を表し、故人の死を広く知らせるために営まれます。社葬の場合、葬儀費用は基本的に会社の経費として支払われます。喪主を親族代表、葬儀委員長を会社の代表が務めることが多く、仏式、無宗教葬、お別れ会など、葬儀スタイルもさまざまです。
お別れ会
お別れ会とは、葬儀を終えたあと、日を改めて故人とゆかりのあった人たちが集まり、最後のお別れをするためのセレモニーです。著名人や有力者の場合、参列の人数が多くなるため、事前に家族だけによる葬儀(密葬)を執り行い、死後1か月や四十九日を目安にお別れ会を実施します。宗教色を排すスタイルが多く、献花や軽食、関係者たちの弔辞やスピーチなどを中心に行います。
個性あふれる〇〇葬
その他にもさまざまな「〇〇葬」があります。これらの多くは、仏教の形式にこだわらないため「無宗教葬」に分類されます。音楽の生演奏を中心とした「音楽葬」、実際にこれの規模をさらに大きくしたものとして、ロックミュージシャンの忌野清志郎さんが亡くなった際には青山葬儀場で「ロック葬」が執り行われました。
こうした〇〇葬は、社会的につながりがあった方々のお別れの場として用意されることが多いのが特徴です。まずは家族だけでその家に見合った葬儀をして、その後、日を改めて「〇〇葬」を行う、という流れです。
忌野清志郎さんの場合、まず近親者だけで無宗教形式の葬儀を行い、その後、ファンの方々向けにロック葬を開催しました。
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