葬儀の中で読まれる「弔辞」をご存じですか?
弔辞は、故人様に対して伝える弔意や惜別の想いをこめたお手紙、メッセージです。弔辞には、どんな意味や目的があるのでしょうか。詳しく解説いたします。
弔辞とは、故人様へのお手紙
葬儀・告別式の中で、祭壇の前に進み出て、故人様に向かって読み上げるスタイルが一般的です。著名人の方が亡くなった際にニュース報道などで弔辞の様子を見たことある人も多いのではないでしょうか。
弔辞はどのような葬儀でも執り行えますが、すべての葬儀で弔辞が必ず読まれるわけではなく、省略するケースも少なくありません。
弔辞を行うことでより強く故人様を偲ぶことができる
一般的なお葬式は、僧侶の読経を椅子に座って聞きます。そこでは、どんな言葉が読み上げられているか、正直分からないですよね。遺族や参列者は、数十分座席に座ったまま、時間が過ぎるのを待たなければなりません。
しかし、葬儀式の中で弔辞を挟むことで、故人様をより強く偲ぶことができます。弔辞者が読み上げる生前の故人様の人柄、思い出を共有することで、「ああ、あんな人だったよな」「これまで本当にありがとう」といった想いがわきあがります。また、弔辞者が自分の想いを代弁してくれるという側面もあるでしょう。
僧侶による読経に加えて、弔辞が読まれることで、葬儀がぐっと奥深いものになるのです。
誰にお願いすればいいのか
弔辞は、喪主が「この人に読んでもらいたい」と想う人に依頼するものです。主に、故人様の友人、仕事上の関係者など、日頃から親しくお付き合いをしていた方が読みます。複数の人に依頼しても構いませんが、一般的な葬儀であれば概ね1~2名でしょう。中には、自ら弔辞を行いたいと申し出る人もいるようです。
弔辞を依頼されたらどうする? 断ることはできるのか
弔辞を依頼されたら可能な限り引き受けましょう。喪主や遺族が「この人に」とお願いしてきたわけです。故人様の最期の送り出しをよりよく彩るためにも、弔辞を読んで差し上げましょう。
もちろん中には、どうしても弔辞を断りたいと思う人もいることでしょう。断ること自体はなんら問題ありません。
弔辞のタイミングと流れ
一般葬の場合、弔辞はも葬儀・告別式の中で読まれます。通夜で読まれることはあまりありません。そして、式の中では僧侶の読経を中断して行われます。弔辞者は、次のような流れで弔辞を奉読します。
1. 司会者より名前を呼ばれたら席を立ち、祭壇前に進み出る。
2. 遺族や参列者、そして故人に対して一礼をします。
3. 弔辞奉読。3分前後が目安です。
4. 弔辞を読み終えたら、弔辞の紙を奉書や封筒に戻し、弔辞台や焼香台にお供えをします。
5. 故人に対して一礼をして自席に戻ります。
開式前に、喪主と、葬儀社スタッフと簡単な打ち合わせをします。どこに座ればいいのか、どのように進み出ればいいのかなどの一連の流れを確認します。わからないことはその時に葬儀社スタッフに尋ねましょう。
無宗教葬で重要な役割を果たす弔辞
無宗教葬では弔辞は重要な役割を果たします。僧侶による読経がない無宗教葬では、時間の使い方が間延びしてしまい、葬儀全体の流れを描きづらいという側面があります。そこで、家族や親族、関係者の方に弔辞を読んでもらうことで、生前の故人様を偲び、思い出すことができます。
無宗教葬では、どのような形で告別式を進めるかは家族の自由です。ひとりに限らず、複数の人が弔辞を読んでも構いません。
家族葬でも弔辞をしても構わない
最近では家族葬が増えてきました。弔辞は社会的な儀礼という側面が強く、身内しかいない家族葬ではほとんど行われません。
しかし、はじめの方でも触れたように、僧侶の読経は何を言っているのか分からず、遺族や参列者たちはただ座らされている時間ばかりが流れていきます。
だからこそ、家族葬の中でも弔辞の時間を設けてみてもよいかもしれません。
僧侶による儀礼はとても大切なのですが、そこに弔辞を挟むことで、儀式として家族から故人様への想いを伝えることができます。
決して、家族葬で弔辞をしてはいけないという決まりがあるわけではないので、ぜひとも葬儀社に相談してみてください。
弔辞は故人様へのお手紙です。あまり形式にこだわらずに、自分自身の言葉で贈るのがよいでしょう。とはいえ、どんな言葉を綴り、なにを語りかければいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
AZUMA葬祭では、葬儀のプロフェッショナルが皆様のお悩みや疑問をお伺いします。弔辞について、さらには葬儀や仏事について、お困りの際は、お気軽にお問合せください。