一般的に仏式の葬儀では四十九日をめどに、キリスト教の場合には1カ月後、神道では五十日祭をめどに、喪に服す期間は終わります。では、その後、遺骨はどのように扱えばいいのでしょうか?また、お墓がない場合はどうすればよいのでしょうか。
遺骨はいつまでに埋葬しなければならないの?
そもそも、遺骨をいつまでに埋葬しなければならないという決まりはありません。埋葬の期限を取り締まる法律もありませんし、宗教的にも埋葬の時期に関する明確な教えはありません。
とはいえ、いつまでも遺骨を自宅に置いていてよいかと言うと、家の方の気持ちの問題として、よくないでしょう。
遺骨が自宅にあるということは、まだその人の葬儀が完結してない状態にあると言えます。
私たちは受け入れがたい死をいつかは受け入れて、新しい日常を生きていかなければなりません。その最後の儀礼が、埋葬であるように思えます。
故人様を自然に還してあげることで気持ちが徐々に落ち着いてくる。人間とは、そういう生き物なのかもしれません。
一般的に、埋葬は、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌などの区切りの法要で埋葬するケースが多く見られます。
お墓がない人は、これらを目安にお墓を探していきましょう。
それでも、いつまでも遺骨をそばに置いておきたいという人もいるでしょう。
自分たちが納得する期間まで、そばに置いていても構いませんし、最近では手元供養と呼ばれるアイテムも販売されているので、これらを用いてもよいかもしれません。
それでは、墓石を用いないさまざまなお墓の形についてご紹介していきます。
お墓がない場合の供養の仕方
代々続く墓があればよいのですが、新たに墓を用意するとなると墓地の購入、墓石の建立など、平均で200万円ほどかかるといわれています。
日本の法律では「墓以外のところに遺骨を埋葬してはいけない」と決められています。
しかし現代はお墓を持たない、お墓を持てない人も増えています。
ここでは、お墓に納骨する以外の供養の方法を紹介していきましょう。
遺骨を自分で保管する
遺骨を埋葬せず、手元に置いておくこともできます。
骨壷を自宅に保管している人は案外多く、全国に100万〜200万人とも推定されています。
上記のように宗教によって納骨までの期間はさまざまですが、法律では埋葬すべき期間が定められていないため、骨壷に入れたまま遺骨を保管し続けても法律違反にはなりません。
ほかには、遺骨を収める容器がペンダントになったものや仏具の中に遺灰を収められるものなどもあります。
この場合、遺骨のまま保管するため特にお金がかからないことがメリットです。
ただし自分の死後は、だれかが処理することになることを頭に入れておきましょう。
合同墓に埋葬する
合同墓を利用すると自分でお墓を建てなくても埋葬することができます。
この方法は「永代供養」とも呼ばれ、その管理者が遺族に変わって永続的に供養、管理をしてくれるものです。
合同墓にもいくつかタイプがあります。
・合同墓、合祀墓
このタイプであれば自分でお墓を建てる必要がありません。一般的なお墓が「一戸建て」であれば、合同墓は「アパート・マンション」のようなイメージです。
合同墓のメリットは何といっても経済的負担の少ないことです。お参りもでき、お墓の管理は必要ありません。
ただし管理料が必要な場合や、寺院の永代供養を受ける場合には檀家になる場合もあり、事前に確認するようにしましょう。
・納骨堂
もともと納骨堂は遺骨を埋葬するまで一時的に預かる場所でしたが、現在では都市部を中心に一時的ではなく、恒久的に供養してもらえる施設となっている場合もあります。
納骨堂では納め方によってロッカー式、棚式、仏壇式、墓石式、自動搬送式などがあります。
お墓の管理は必要ありません。
また納骨堂の場合には、後にお墓を用意してそこに埋葬したいという場合にはそれも可能です。
共同墓
共同墓は血のつながりに関係なく、お墓に対する考え方が同じ仲間が生前から交流を図り、ゆくゆくは同じお墓に入るというものです。
企業や高齢者施設などが保有している場合が多く、配偶者や後継者がいなくてもお墓に入ることができ供養が受けられます。
自然葬
自然葬には散骨、樹木葬などがありますが、前述のように「墓地」以外に遺骨を埋葬することは法律で禁じられています。
海洋散骨に関しては、遺骨は2㎜以下の粉末状にして散骨すること。また「節度を持って行われる散骨」であれば問題ないと解釈されています。
ただし海ならどこでもよいわけではありません。専門に請け負う業者に相談してみましょう。
樹木の根元に散骨する樹木葬についても、可能な墓地や自治体を調べてみましょう。
このように個人的にお墓を持たなくても供養する方法はたくさんあります。
ただしお墓に埋葬する以外の方法を選んだ場合には、法律の問題が絡むこともあります。
遺族同士でよく話し合い、のちにトラブルにならないようにしましょう。