家族が亡くなると、さまざまな書類を提出しなければなりません。
そのうちのひとつ、「死亡届・死亡診断書」の提出の仕方、期限について解説しましょう。
死亡診断書とは
死亡診断書とは、死亡を証明する公文書のことです。死亡を診断した医師、または歯科医師のみが発行できるものです。
厚生労働省によると、死亡診断書には2つの大きな意義があるとしています。
1)人間の死亡を医学的、法律的に証明する
2)我が国の死因統計作成の資料
死亡診断書と死体検案書
死亡診断書の書面を見てみますと、その横に「(死体検案書)」と書かれています。死亡診断書と死体検案書とでは、何が違うのでしょうか。
厚生労働省は以下のように説明しています。
医師は、「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」には「死亡診断書」を、それ以外の場合には「死体検案書」を交付してください。
つまり、ずっと入院していた人が死亡した場合、医師は故人の容態の変化をきちんと把握しているため、医師の診断により死亡の原因を特定できます。そのために発行される書類が「死亡診断書」と呼ばれます。
一方、自宅での孤独死、自殺や事故死などは、医師の診療管理下にないために、法医学の専門医による「検案」を行い、死亡確認、死因、死亡時刻等を判断します。そのために発行される書類が「死体検案書」と呼ばれるのです。
なお、検案の結果、異常死と判断された場合には解剖検査を行います。死因を特定するための行政解剖や、事件性が疑われた場合の司法解剖などがあります。
解剖検査は1日から2日程度を要しますが、死因の特定には数ヶ月の日数を要します。
解剖検査後に遺体と共に引き渡される死体検案書は、あくまでも火葬許可証を発行するためのもので、この段階では死因が特定されていません。
死亡診断書に記載される事柄
死亡診断書には、主に以下の内容が記載されます。
- 死亡者の氏名、性別、生年月日
- 死亡したとき
- 死亡したところ
- 死因(直接死因とその原因など)
- 死亡の種類
- 診断した医師の署名捺印
死亡診断書と死亡届は同じ1枚の紙
死亡届と死亡診断書はともに1枚の書類になっています。A3サイズの紙の左側が死亡届です。こちらは、故人の戸籍の情報等を記載します。そして右側が死亡診断書です。医師が故人の死亡時刻や死因等を記載します。
「死亡届・死亡診断書」の提出方法
死亡届は、役所に提出することで「火葬許可証」が発行されるとても大切な書類です。書類の受け取り方法から役所への提出まで、一連の流れをご説明します。
・受け取り方法
死亡診断書は親族が亡くなった際、医師などから交付されます。病院によって異なりますが、診断書の受け取りに費用が掛かる場合があります。
死亡診断書の内容に誤字や脱字などがあると、届けの際に大変手間取ります。病院で書類を受け取る時に、必ず故人の氏名などに間違いがないか、一字一句確認しましょう。
死亡診断書の部分は医師が記入したものを手渡されますが、死亡届の部分は親族が書くものです。葬儀社のアドバイスに従って記入しましょう。
また、これ以降もさまざまな手続きに必要になりますので、何枚かコピーを取っておくことをおすすめします。
・提出期限
提出期限は「死亡の事実を知ったときから7日以内」、海外で亡くなった場合は3カ月以内です。
・提出先
死亡届の提出先は次のいずれかの市区町村役場です。
- 死亡地
- 死亡者の本籍地
- 届出人の住所地
提出の際は届出人の印鑑を持参します。
・届出人
死亡診断書を提出する届出人は次のいずれかです。
1.同居の親族・同居していない親族
2.同居者
3.家主・地主・家屋管理人・土地管理人・公設所の長
4.後見人・保佐人・補助人(葬儀社)
「死亡届・死亡診断書」を役所に提出する手順は次の通りです。
1.病院(医師)から死亡診断書を受け取る
2.届出人が書類の左側の死亡届に記入する
3.役所に提出する
4.火葬(埋葬)許可証をもらう
通夜や葬儀の手配もある中で、親族が亡くなってからすぐに行うものなので精神的にも負担が大きいのですが、戸籍法に規定されているものですから、提出期限を過ぎてしまわないよう注意しましょう。
死亡届は葬儀社が代行できる
慌ただしいなく、不慣れな届け出を遺族がするのはとても大変なことです。多くの葬儀社は、死亡届の提出を代行してくれますので、葬儀社に任せておけば安心です。
死亡届とその後の重要な公文書
「死亡届・死亡診断書」を役所に提出することで、役所から「火葬許可証」が発行されます。
これにより、故人の葬儀、ならびに火葬ができる状態が整うことになります。
なお、この火葬許可証は火葬場に提出しますが、ほとんどの場合、葬儀社に任せておけば良いでしょう。
そして、火葬を終えると「火葬済み」を証明する押印をされて、書類は遺骨とともに喪主に手渡されます。この書類は、のちのち、墓地や納骨堂などに納骨する際に、管理者に手渡さなければならないものなので、紛失することなく大切に保管いたしましょう。