喪主は、人生で一度あるかないかのことです。
はじめて葬儀に臨む人は、喪主の役割について、何をしなければならないかなど、分からないという人も多くいるでしょう。
この記事では、はじめて喪主をする人がすべき役割についてご説明いたします。
喪主と施主
最近ではあまり使われない言葉に「施主」というものがあります。昔は葬儀では「喪主」と「施主」が分かれていました。
喪主は喪に服する主体となる人、施主は葬儀の施行の中心となる人。
分かりやすく言うならば、前者は配偶者や子など、故人様と最も親しく、供養の中心となっていく人です。ですから必然的にお寺との窓口を担いました。一方後者がは、葬儀をとり仕切る人。大昔は葬儀社がありませんでしたから、村の人たち全員で葬儀を執り行いました。その時の家族側の窓口となる人が施主にあたります。現代では、葬儀社との窓口になる人のことです。
こうした役割分担をすることで、葬儀を滞りなく行っていたのです。
現代の葬儀は、これらすべてを喪主がしなければならず、その負担はとても大きなものです。
ですから、わたしたち葬儀社の存在は、いかに喪主様に寄り添ってサポートできるかという点で、納得いく葬儀のための重要なファクターとなっています。
葬儀における喪主の4つの役割
喪主の役割は、次の4つです。
- 葬儀全体の監督や決定
- 寺院とのやりとり
- 葬儀社との交渉
- 親族や参列者への連絡と挨拶
最も故人様に近く、悲しみに暮れる人がこれらをしなければならないのですから、本当に現代の喪主は大変です。
では、喪主は具体的に何をしていくのか、時系列でご説明いたします。
喪主の役割 葬儀まで
- 病院への支払いと死亡診断書の受取
病院を出発する時に、入院費の支払い方法を確認しておきましょう。
また、医師から死亡診断書を入手します。遺体搬送の際に必要で、死亡届にもなる大切な書類です。あわせて故人様が亡くなった原因などの説明を受けます。
- 寺院への連絡
菩提寺がある場合は身内の不幸を連絡します。葬儀日程や戒名についても打合せします。
もしも菩提寺がない場合は葬儀社に相談しましょう。
- 葬儀社の手配
葬儀社に連絡して、寝台車を手配します。
遺体の搬送は速やかにしなければならないので、事前に葬儀社が決まっていれば安心です。また、搬送先は自宅か葬儀社などの安置施設が選ばれます。事前に考えておきましょう。
- 葬儀社との打ち合わせ
葬儀日程、葬儀プランの決定、見積りと契約などを決めます。
さらには祭壇のデザインや、葬儀全体の流れの確認など、参列者の絞り込みや受付の配置など、決めなければならないことはたくさんあります。
- 死亡届の記入と提出
葬儀までに死亡届を記入して役所に提出しなければなりません。死亡届を出すことで火葬許可が下ります。届け出はほとんどの場合、葬儀社が代行してくれます。
- 親族や関係者への連絡訃報
葬儀日程と場所が決まったら、親族や関係者に連絡します。
- お手伝いの手配
葬儀式場でのお手伝いが必要な場合は、親戚や友人や知人、近隣の人たちに協力をお願いします。受付や駐車場などでのお手伝いをしてもらいます。
- 供花供物のとりまとめ
親戚の中で供花を出したい人がいればとりまとめます。
喪主の役割 葬儀中
- 挨拶
喪主の最大の役割が挨拶でしょう。遺族を代表して参列者に挨拶をします。
挨拶には主に3つあります。
・通夜挨拶 通夜式閉式後、参列に向けて御礼の挨拶をします
・出棺挨拶 葬儀を終えて出棺する前に、見送ってくれる人たちへ御礼の挨拶をします
・精進落としでの挨拶 精進料理の前に挨拶をします。列席している人は親族たちです。
- 霊柩車に同乗
火葬場に向かう時は、故人様とともに喪主が霊柩車に同乗します。
喪主の役割 葬儀後
- 毎日の供養
遺骨は喪主の自宅に帰ります。遺骨に向かって毎日供養をします。
- 四十九日法要の手配
四十九日法要の手配と準備をします。
寺院と調整して日程と場所を決めて、親族など参列を希望する人たちに連絡します。
当日の料理や引き物の準備もしなければなりません。
- 香典返しの手配
葬儀でいただいた香典のお返しは、四十九日法要が無事に済んだことの報告もかねています。
葬儀を終えると、参列者と香典の記録を整理して、商品を選びます。
ギフトの専門業者に依頼すればサポートしてくれます。
- 仏壇や位牌の準備
四十九日法要までに位牌の準備をします。位牌を納める仏壇がない場合はあわせて購入しましょう。
- 墓石への戒名彫刻
もしも四十九日法要の日に、墓石に納骨するのであれば、石材店に戒名彫刻を依頼しましょう。
- 役所などへの死亡後の手続き
役所などへの死亡後の手続きを行います。銀行や公共料金など、さまざまな窓口への死亡申請や、名義変更などをしなければなりません。
さきほども述べましたが、故人様と一番近く、誰よりも悲しみにくれるべき喪主が、こうした葬儀の実務をおこなわないといけない時代です。だからこそ、わたしたち葬儀社がいかに喪主に寄り添えるかが問われます。現代の葬儀では、よき葬儀社との出会いが、よき葬儀の一番のポイントなのです。