仏教の場合はお寺でお葬式を行いますが、神社ではどうなのでしょうか?
お寺と神社の違いを考えてみましょう。
神道の「死」に対する考え方
神道では、人は亡くなった後も役割があると考えられています。
それは、神によってこの世に生を受け、この世で役割を終えるとまた神のもとに帰って、子孫を守るという考え方に基づいているからです。
神社でのお葬式
神道では死は穢れ(けがれ)であるとされていて神の聖域に穢れを持ち込むのはタブーなので、神社内ではほとんど行われていません。
神道のお葬式は自宅か貸ホール(葬祭場)などに神主を招いて行います。
神道式の葬式は「神葬祭」といい、故人を家に留めて守護神とするための儀式とされています。
このことからわかるように、先祖崇拝(せんぞすうはい)はもともと神道の考え方だったのです。
おめでたいことは神社で、死にまつわることはお寺で
江戸時代に「寺請け制度」が設けられました。
「すべての人は寺院の檀家になり、寺院から寺請け証文を受け取ること」というものです。
このことから、檀家はお寺にお布施をし、お寺は葬儀や法要の一切を行って檀家の管理をするという流れができたのです。
お寺は本堂自体が故人を供養する場になっています。
神道においては死が穢れとなるため、神社では結婚式、七五三、お宮参り、初詣など生に関する身近な行事が行われます。
神道のお葬式
神道のお葬式「神葬祭」の儀式を見ていきましょう。
臨終の後、神棚や祖霊舎(それいしゃ)に故人の死を奉告「帰幽奉告(きゆうほうこく)」します。
そして、神棚や祖霊舎の扉を閉じて白い紙を貼り、五十日祭の忌明けまで封印します。
ご遺体は北枕に安置し、納棺の儀を行います。
通夜祭、遷霊祭(せんれいさい)、葬場祭(そうじょうさい)の後、火葬祭、埋葬祭で終了となります。
次の日から翌日祭、十日祭、五十日祭を迎え、この日が忌明けとなり法要を営みます。
神道では、戒名はありません。
神道の葬式では、人の死は悲しみではなく家を見守る神様が増えた、という考え方なので悲壮感があまり感じられません。
自然や身の回りのものと共存することを信仰する神道だからこそといえるでしょう。