仏教の場合はお寺でお葬式を行いますが、神社ではどうなのでしょうか?
お寺と神社の違いを考えてみましょう。
神道の「死」に対する考え方
神道では、人は亡くなった後も役割があると考えられています。
それは、神によってこの世に生を受け、この世で役割を終えるとまた神のもとに帰って、子孫を守るという考え方に基づいているからです。
日本人は、葬儀のあとに時間をかけて亡くなった人の死霊を祖霊にしていきます。実際にそれに対応する言葉として「荒魂(あらみたま)」を「和魂(にぎみたま)」にすると言われていました。
仏式だと四十九日や一周忌や三回忌と経て、三十三回忌までの長い年月をかけた「年忌法要」を通じて故人の供養を完成させていきます。神式だと五十日祭、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭と「式年祭」を五十年祭まで行います。
時間の経過とともに亡き人の魂は浄化され、その家の子孫から共同体全体の神様(氏神)へと昇華して、私たちを見守ってくれる、これが神道の考え方です。地域の神社に祀られる氏神様とは、私たちの古い古いご先祖様を指すのです。
神社でのお葬式
神道では死は穢れ(けがれ)であるとされていて神の聖域に穢れを持ち込むのはタブーなので、神社内ではほとんど行われていません。
神道のお葬式は自宅か貸ホール(葬祭場)などに神主を招いて行います。
神道式の葬式は「神葬祭」といい、故人を家に留めて守護神とするための儀式とされています。
このことからわかるように、先祖崇拝(せんぞすうはい)はもともと神道の考え方だったのです。
おめでたいことは神社で、死にまつわることはお寺で
日本では長らく神仏は習合して、人々の信仰を集めてきました。その中でも、お祝いごとは日本古来の神(=神社)が、そして死にまつわることはインドや中国から伝来してきた仏(=お寺)が担うよう、役割分担がなされてきました。
日本の死者供養の文化を長らく支えてきた仏教ですが、江戸時代に「寺請制度」によって、その形はより強固なものになりました。
「すべての人は寺院の檀家になり、寺院から寺請け証文を受け取ること」というものです。
このことから、檀家はお寺にお布施をし、お寺は葬儀や法要の一切を行って檀家の管理をするという現代にまで続く流れができたのです。
江戸時代も中期になると、葬儀も日本古来からの宗教である神道の形で行おうとする「神葬祭運動」というものが興りました。これは江戸時代の仏教に対する不満から生まれたもので、実際に明治維新後は神葬祭が新政府によって奨励されましたが、人々の間には普及しませんでした。それくらい人々は仏式の死者供養に馴れていたことを意味します。
いまではお寺の本堂自体が仏様を礼拝し、故人を供養する場になっています。
神道においては死が穢れとなるため、神社では結婚式、七五三、お宮参り、初詣など生に関する身近な行事が行われます。
神道のお葬式
神道のお葬式「神葬祭」の流れを見ていきましょう。
●帰幽奉告
臨終の後、神棚や祖霊舎(それいしゃ)に故人の死を奉告「帰幽奉告(きゆうほうこく)」します。そして、神棚や祖霊舎の扉を閉じて白い紙を貼り、五十日祭の忌明けまで封印します。
●枕直しの儀
ご遺体は北枕に安置します。この時に、遺体を清め、白小袖(神職の衣服)を着せることもあります。
●納棺の儀
神道の納棺では、棺の周りにしめ縄と紙垂(しで)をめぐらせます。
●通夜祭・遷霊祭
神葬祭では、「遷霊祭(せんれいさい)」がとても大切な儀式となります。まずはこれに先立って「通夜祭」が行われます。神職は祝詞を読み、参列者は玉串奉奠をして故人を弔います。次に「遷霊祭」が行われます。暗闇の中で故人の魂を「霊璽」(れいじ:位牌のような白木の札板)に移し、これを葬儀後は自宅で祀ります。
●葬場祭
通夜祭・遷霊祭の翌日に行われる儀式で、仏式における葬儀・告別式に該当します。神職の祝詞、参列者の玉串奉奠に加え、弔辞の奉読や弔電の紹介、最後のお別れなどをします。
●火葬祭・埋葬祭・帰家祭・直会
葬場祭を終えると火葬場に出棺して「火葬祭」、お墓に納骨する場合は「埋葬祭」、自宅に霊璽を安置する際の「帰家祭」などをして、最後は「直会(なおらい)」という食事の席で、神職や参列者をねぎらいます。
神道の葬式では、人の死は悲しみではなく家を見守る神様が増えた、という考え方なので悲壮感があまり感じられません。
自然や身の回りのものと共存することを信仰する神道だからこそといえるでしょう。
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