「無理な延命治療をせず、人としての尊厳を保って最期を迎えたい」
そんな思いを周囲に表明する「リビングウィル」「事前指示書」について考えてみましょう。
「リビングウィル」とは
医療の発展に伴い、日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超えるようになりました。
一方で終末期医療において、回復が見込めないような状態で延命治療を行うことは人間としての尊厳が守られているのか、という問題提起もなされるようになりました。
尊厳をもって、無理な延命治療をせず自宅の畳の上で最期を迎えたいという気持ちがあった場合、それを周囲の人たちや主治医などに意思表明することを「リビングウィル」と呼びます。
終末期の治療内容を明確にする「事前指示書」
「リビングウィル」は人工呼吸器や心肺蘇生などの延命措置を行う意思があるか、緩和措置を望むかなど、終末期においてどのような医療を受けたいかを具体的に書いた「事前指示書」を作成して自分の意志を明文化するものです。
事前指示書は具体的な治療内容のほか、本人に代わって治療方針を決定する「医療代理人」を指定する場合もあります。
医療代理人は、医療指示書を作成した時点では不可能だった治療が、医学の進歩によって可能になったときなど、本人の意思を踏まえて柔軟な判断することができます。
家族との話し合いを十分に
「リビングウィル」「事前指示書」については、今のところ厳密に規定する法律は制定されていません。
「リビングウィル」を行いたい場合は、関連団体などに相談してみるとよいでしょう。
また、家族やかかりつけ医などと事前によく話し合いをし、自分の希望を共有しておくことが肝心です。本人の覚悟も必要ですが、家族が納得できる配慮も大切にしたいものです。
自分の最期は自分で決める。それは自分のためだけでなく、家族が悩んだり戸惑ったりしないようにするためにも大切なことなのです。