最近の葬儀広告の中に見られる「全額返金保証」。
この言葉には少なからず興味を持つ方もおられるでしょう。
葬儀において全額返金されるとは、どういった場合に起きるのでしょうか。
葬儀費用の透明化 その背景
最近の葬儀広告では、費用を明確に提示する傾向にあるようです。
かつては喪主が葬儀社に対して要望を出すのがタブーとされていました。しかし最近ではこうした考え方は変わってきています。
ひと昔前は、人前で葬儀について言葉にするのも憚れる風潮にありました。
しかし昨今は、終活がブームになっているように、多くの人が人前で葬儀について考え、議論します。
雑誌やテレビなどのメディアも葬儀や供養の問題ついて触れていますし、インターネット上でもこのようなサイトがどんどん登場しています。
葬儀について考える時に、費用の問題はとても大切な事柄です。多くの消費者が疑問に思っていますし、そのニーズに応える形で、さまざまな葬儀社は価格を透明化する傾向にあるのです。
さまざまな葬儀のあり方
また、同時に見落としてはならないのが葬儀の多様化です。近年は、葬儀の形式もさまざまになってきました。
通夜や告別式を行う「一般葬」のほか、家族のみで行う「家族葬」、通夜を行わず告別式のみという「一日葬」、火葬のみを行う「直葬(ちょくそう)」なども増えてきています。
故人や家族の希望や、葬儀に多額の金額をかけられないといった事情により、形式も多様になってきているのです。
葬儀費用に不安を感じたら、まずは事前相談を
葬儀費用について不安を感じたら、まずは葬儀社に相談してみましょう。
葬儀業者を決める流れはさまざまです。ひと昔前であれば病院などから紹介されることもありますが(これは現在でも行われています)、昨今は事前に地域の葬儀社に問い合わせるだけでなく、インターネットで調べる人も多いことでしょう。
可能な限り複数の葬儀社に事前相談しながら、最も、信頼できる葬儀社を見つけるのが理想です。
もちろん葬儀はいつ発生するか分からないので、そうした時間的余裕のない人もいるかもしれません。
しかし、大切な人の最初で最後のお葬式。元気なうちに、時間のあるうちに葬儀社に事前相談しておくことをおすすめします。
葬儀業者にはまず、どのような葬儀を行いたいか希望を話して相談し、葬儀費用の見積もりを出してもらいます。
葬儀内容や金額を確認し、納得してから契約することが大切です。
気を引くキャッチコピーにはご注意を!
葬儀社を探す時には、まずは葬儀広告やインターネットで検索するのではないでしょうか。
その時に、こちらの気を引くコピーにつられて即決することだけは避けましょう。
たとえば、『全額返金保証制度』。
これは「見積もり金額より請求金額に1円でも追加費用が発生した場合は全額返金します」という保証制度だそうで、過去に思わぬ追加料金を支払うトラブル事例があったことから、葬儀費用に対する不安を軽減するため、全額返金保証制度を設けたというものです。
ただし、エリアが限定されている場合や、弔問客の人数によって変動する返礼品などの金額は除くといった、細かい取り決めもあるようです。
よく相談して条件を確認するようにしましょう。
全額返金保証を謳う葬儀社は安心なのか
普段不慣れな葬儀に対して、さまざまな不安があることでしょうが、そ内のひとつとしてあげられるのが、葬儀費用です。
亡くなってからわずか2~3日の間に執り行われる葬儀に何十万円も何百万円もかかってしまうのですから、喪主が不安に感じるのも仕方がありません。
しかも、不安に感じてしまうのはただ費用が高額だから、だけではありません。
「具体的にどのようなものにお金が使われるのかが分からない」
「詳しい相場が分からない」
「本当にこれだけのものに大金をはたいて意味があるのか」
などなど、高いお金を支払うことに対する納得が得づらいという側面もあるでしょう。
こうした喪主や消費者の不安を解消するために、一部の葬儀社は全額返金保証サービスを始めたのでしょう。
「納得が得られなければ返金してもらえる」という安心感が、葬儀社への信頼へとつながります。
しかし、全額返金保証を謳う葬儀社は気をつけなければならない面もあります。
表向きは、気を引くためにインパクトのあるコピーを掲げます。
しかし、実際に返金を求めた場合は、さまざまな免責事項があるようです。
また、返金制度を用いることの是非も考えなければなりません。
というのもこの制度は「費用の負担の解消=お客様の満足」と短絡的に考えがちだからです。
費用は高いより安い方がいいかもしれません。
そして、全額返金保証という思いきった施策は、なかなかできるものではありません。
しかし、葬儀という亡き人を送り出す儀式で得られる満足度は、費用の高い安いだけで決まるものでしょうか。
そこには、集まった親族たちとの触れ合い、心を込めて読経をしてくれた寺院、葬儀社の心温まる人的サービスなど、目には見えない、お金には換算できないものの力がとても強く働いていると思うのです。
費用の不安を解消してあげるのはもちろん大切なことです。
しかし、その上で、その場に集まった人たちが心を込めて故人様を偲べるための取り組みこそが大切なのではないでしょうか。
ですから、葬儀社を決定する時は、費用ももちろんですが、スタッフやその葬儀社を心強く思えるかなど、総合的に判断しましょう。