秋と言えばお祭り。収穫の喜びと感謝を示すために、地域の神社から御神輿を出して、街の中を練り歩く光景は日本中で見られます。この記事ではお祭りと先祖供養の関係についてご紹介いたします。
祭を行う意味
祭そのものは、日本を超えて世界中のさまざまな地域、文化、宗教の中で行われていますので、その起源や祭を行う意義は、それぞれ異なります。共通して言えるのは、超自然的存在(山や海などの自然、そこから作り出された神仏の観念)に対しての祈願、感謝、崇敬などの意思を伝えるための儀式だということです。
農耕社会の日本の場合は、秋の季節は稲の収穫期であり、収穫に対しての祝いと感謝を、里や山や川や太陽など、自然の恵みに対して伝える意味合いが強いと考えられます。
もちろん、海の地域では海の神様への感謝と慰霊、山の地域では大自然に対する崇敬や畏敬を示すという側面もあります。
山車と氏神さま
私たちが住む地域には必ずと言っていいほど「氏神さま」と呼ばれる神社があります。秋祭りではこの氏神さまがおられる神社から、山車(だし)を引っ張って、町や里を練り歩きます。
山車は「御神輿」や「屋台」とも呼ばれ、神様の依り代と考えられています。つまり神社で祭事を行って、神社に祀られる氏神さまを山車に乗せて、私たちが普段住んでいる里の中に来てもらうのです。まさに1年に一度の神さまの巡業とも言えるでしょう。
さて、では神社に祀られる氏神さまとはいったい誰のことなのでしょうか。これこそが私たちの古いご先祖さまの集合体のようなものなのです。
死者はホトケとなり、やがてカミとなる
日本人の死生観では、死者は四十九日でホトケとなり、33年かけてカミになると考えられています。
亡くなった直後の死者の霊を「荒魂(アラミタマ)」、四十九日を経て祖霊となった霊魂を「和魂(ニギミタマ)」と呼びます。和魂は時間の経過とともに浄化され、やがて故郷の自然の中に溶け込んで、私たち子孫の暮らしをあたたかく見守ってくれる氏神になると考えられるのです。
その区切りが三十三回忌。死後33年も経つと、故人を弔っていた人たちもやがて亡くなっていく時期です。こうして先祖から子孫への命のつながりを受け継ぎつつ、遠い死者たちは自然とともに私たちのそばにいてくれると考えたのです。これは、先祖と自然を大切に考える日本人独特の死生観です。
氏神さまとは私たちの遠いご先祖さま。秋祭りに里を巡ってくれる山車には、かつてこの地域で間違いなく暮らしていたご先祖さまたちがお祀りされており、お祀りとはまさに先祖と子孫の再会の儀式なのです。
まとめ
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