位牌とは、亡き人やご先祖様を表す木の板のことです。
昔から人々は位牌をご先祖様そのものとみなしていました。
「火事が起きたら位牌を持って逃げろ」という言葉があるのも、それだけ日本人が位牌を、そしてそこに込められたご先祖様を大事にしている証です。
四十九日までに位牌を用意する
死後、四十九日までの期間は「中陰」と呼ばれ、仏教では亡き人が新しく生まれ変わる世界が決まるまでの猶予期間と考えられています。
これが転じて日本の死生観では亡き人の「死霊」は四十九日を経ることで「祖霊」になると考えられています。
四十九日を境に、故人様はご先祖様の仲間入りを果たし、お仏壇で祀られるのです。
四十九日までは中陰壇で白木の位牌が祀られ、四十九日を過ぎたあとは唐木や漆塗りの位牌を仏壇の中で祀ります。
ちなみに、四十九日の前と後で道具を変えるのは位牌だけではありません。祭壇も仏具も四十九日までは白のものを使いそれ以降は色のついたものを用います。ですから四十九日に間に合うように位牌を作らなければなりませんし、仏壇のない人は合わせて仏壇を購入しましょう。
位牌の種類
位牌にはさまざまな種類があります。形状、材質、台座の種類、仕上げ方の違いなど、これら全てを細分化すると100種類は超えるかもしれないほどです。
白木位牌
白木位牌は葬儀から四十九日までの間の仮の位牌です。四十九日法要で白木の位牌から本位牌へ魂を移します。
板位牌
最も一般的な形の位牌です。札板とよばれる表面に故人様の戒名を、裏面に俗名、命日、年齢などをを彫刻します。台座の種類や漆、金箔の仕上げ方により、種類は無数にあります。
繰り出し位牌
位牌の中に複数の札板が収められます。札板にはご先祖様の戒名などを書き、扉を開けることで一番手前の札板が見えるようになっています。一つの位牌でたくさんのご先祖様をお祀りするための位牌です。
過去帳位牌
繰り出し位牌と形状は同じですが、中に札板ではなく過去帳を収めます。過去帳とはご先祖様の戒名や命日などを記しておく帳面で、一冊で何十人もの人の情報を記録できます。
一人彫刻と二人彫刻
位牌の表面には、亡くなった人の戒名などを彫刻しますが、一人の名前を中央に彫るパターンと、夫婦の名前を並べて彫刻するパターンとがあります。
後者の場合、右側に男性、左側に女性の名前を彫るのが通例で、新しく位牌を作る場合は、健在な人の方を空けて彫刻します。
二人彫刻の場合は、あとに亡くなった人のために新しい位牌を買う必要がありません。お寺様に魂抜きをしてもらい仏壇店に持っていき、空いた部分に彫刻してもらうだけで済みます。またひとつの位牌で二人分を祀られるため、仏壇の中のスペースを取りません。