葬儀は、地域によってさまざまな風習やしきたりがあります。日本を代表するふたつの文化圏である関東と関西ではどのような違いがあるのか、代表的なものをご紹介いたします。
ご逝去から葬儀までの日数
葬儀にかかる日数は、地域風習というよりは、それぞれの地域の実情によって異なります。
具体的には、人口が多い首都圏の方が、人口一人当たりの火葬場の数が少なく、そのため火
葬場は慢性的に混雑しています。東京や神奈川などでは、火葬炉の予約が1週間近く先でないと取れないということが少なくありません。
一方で関西では、火葬場の混雑は関東ほどひどくなく、ご逝去の翌日に通夜を営むのが一般的だと言われています。
通夜ぶるまいの有無
通夜ぶるまいとは、通夜を終えたあとの飲食のもてなしのことです。どこまでの人にふるまうかが、関東と関西で異なります。
関東地方では、通夜に参列した全ての人に対して通夜ぶるまいをもてなします。焼香を終えた参列者は、自席に戻ったり、帰宅することなく、通夜ぶるまいの部屋に案内されます。つまり、葬儀式場内では通夜式を営みながら、同時に参列者への料理がふるまわれることとなります。そこで出された食べ物や飲み物をたとえわずかでも口にすることが、故人への弔いであり、参列マナーだと考えられています。なお、遺族や親族は通夜式が終わったあとに、通夜ぶるまいを囲んで故人を偲びます。
一方、関西地方では通夜後の料理は遺族や親族だけに出されるのが基本です。そのため、一般参列者は、焼香を終えると自席へと戻り、通夜式の閉式を見届けるとともに帰宅します。
骨壺の大きさ
火葬場から手渡される骨壺の大きさは、関東は6寸から7寸(約18~21㎝)であるのに対し、関西は3寸から4寸(約9㎝~12㎝)が一般的です。
これは、関東地方は焼骨をすべて遺族が持ち帰るのに対し、関西地方では、焼骨の一部だけを遺族が持ち帰り、余ったお骨を火葬場が引き取る風習が昔から行われているからだそうです。
花環と樒
最近ではあまり見られなくなりましたが、かつてのお葬式では、葬儀会場の外に花環を並べて置きました。こうしたしきたりの中、関西独特の葬儀文化で、背の高い樒を屋外に置きます。
樒とは古くから仏教儀礼やお寺の本堂でお供えされる常緑樹のことです。毒性の樒には独特の匂いがあり、魔除けとしての役割、墓地における野犬などを遠ざける役割がありました。関西地方ではこの名残として、屋外に樒を立てて並べたのです。
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