納棺式とは読んで字のごとく、故人様を棺に納める儀式の事で、通夜や葬儀に先立って行われます。
ただ単に棺に納めるのではなく、儀式として執り行うところにいかに私たちが納棺を大切に考えていたかが見てとれます。
納棺式では、まず湯灌(ゆかん)や旅支度などで故人様の身支度を整えて、それから棺の中にご遺体を納めます。納棺式がどのような流れで行われるのか、詳しくご説明します。
納棺式は、いつ、どこで?
最近では葬儀のスタイルも細分化されたため、納棺式のタイミングもそれぞれ異なるのが実情です。
納棺式のタイミング
納棺式のタイミングは主に次の3つです。
●通夜式当日
最も多く行われているのが、通夜式当日です。午後4時ころには通夜式に備えて会館に到着しなくてはいけませんので、当日の午前中や午後1時ころから納棺式を行います。
●通夜式直前
午後6時からの開式に備えて、午後4時ころから会館で行うこともあります。こうすることで通夜に参列する親族たちも納棺式に参加できます。
●ご逝去後すぐに
ご逝去から通夜まで時間が空く場合や、故人様のお身体の状態が良くない場合、早めに納棺式を行うこともあります。先に納棺しておく方が、ドライアイスの保冷効果が高まるからです。
納棺式の場所
納棺式の場所は、自宅か会館のいずれかです。
●自宅
もしも故人様を自宅に安置した場合、そのまま自宅で納棺することが多いでしょう。
●会館
会館などにある安置施設を利用した場合はそのまま会館で納棺をします。また自宅に安置したものの、ご遺体を会館に移動して納棺式をするケースも見られます。
納棺式は親族の参加が基本
納棺式に参加するのは遺族と親族が基本です。納棺式は身内だけで執り行われるアットホームな儀式なのです。
もちろん、親族以外の方が参加しても構いません。お世話になった大切な人やご近所様に参加してもらうケースもあります。
納棺式の流れ
納棺式は主に、湯灌、旅支度、納棺の順に進みます。それぞれの行程を詳しく解説していきます。
湯灌
まずは湯灌(ゆかん)、故人様の身体を清めます。
湯灌は古くから日本全国で見られる風習で、この世に生を授かる赤子に産湯をかけたように、この世を去っていく故人の遺体にも湯を注いで清めて送り出します。
かつては風呂桶に入れたりもしたそうですが、最近では「拭き湯灌」が一般的です。
アルコールに浸した清浄綿やたらいの湯などで、参加者一人一人が故人様の肌の出ている部分(顔や手や足)を拭きます。
湯灌で用いるお湯は「逆さ水」にして作ります。
通常、ぬるま湯を作る時は、お湯の中に水を入れて温度を調整しますが、葬儀の際は通常の逆の行程で、つまり、水の中にお湯を注いでぬるま湯を作るのです。
最近では湯灌師による「シャワー湯灌」も人気です。部屋の中に浴槽を持ち込んで本格的に故人様のお体をきれいにします。
旅支度
日本の習俗では、故人様は死後四十九日間の旅に出ると考えられています。その旅の姿を着せる儀式が「旅支度」です。
旅支度では、死装束(しにしょうぞく)と呼ばれる白の仏衣を着せます。四国のお遍路さんなどの巡礼の姿がそれに近いでしょう。
ご遺体にはすでに浴衣などの衣装を着せられているので、白の帷子の袖を通すことなく、上から覆いかぶせるような形をとります。
参加者は、手に手甲、すねに脚絆、足に足袋を順に取り付けて、草履を履かせます。さらには首から六文銭(ろくもんせん:三途の川の渡し賃)を納めた頭陀袋(ずだぶくろ)を下げ、額に天冠(てんかん:額に当てる三角布)、笠、杖などを身につけます。
旅支度の考えは宗派によって異なります。仏教の中でも、浄土真宗では死出の旅を認めていないためこれらの装束を着せません。また神道では、仏教の死装束とは異なり、神職に似せた恰好にします。
最近では、この死装束を好まない人も多く、故人が愛用していた洋服などでも構いません。
納棺
湯灌や旅支度を終え、いよいよ納棺です。
身体をきれいに清め、仏道に入るための衣装を身にまとってから、棺の中に納めます。その場に居合わせる家族や親族全員で、冥福を祈りながら、自らの手で故人様を抱えて、棺に納めます。
納棺式は、参列者一人一人が故人様の肌に触れ、直接語りかけながら安らかな旅立ちを見届けることのできるとても貴重な時間です。弊社もお葬式の行程の中で納棺式の時間を特に大切に考えています。納棺式のこと、またはそれ以外の葬儀全般のことでも、分からないことなどございましたら、どうぞお気軽にご相談下さい。
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