観光旅行のみならず、仕事や定年後の移住などで海外へ渡航する人が増えています。情報もあふれ、渡航のハードルも下がっていますが、万が一のことが起きた場合の対応には、国内とはまた違う手配や苦労があるようです。
今回はそんな万が一に備えて、家族が海外で亡くなった場合に残された家族が対応すべきことをまとめてみました。
遺体を日本に搬送する
海外で日本人が亡くなり、遺体を日本に搬送して日本で葬儀を行いたい場合の基本的な流れは次のようになります。
1 在外公館から遺族への連絡
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2 日本への遺体の搬送
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3 空港からの遺体搬送
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4 葬儀
海外から帰国するまで
1. 在外公館から外務省へ。外務省から遺族へ連絡
まず海外において日本人の死亡が確認された場合、現地の警察または病院から各国の総領事館や大使館に連絡が入ります。
こうした在外公館から日本の外務省に連絡が入り、遺族に直接連絡をするのは日本の外務省になります。
現地の病院からは「死亡診断書」が発行されます。これは国内で埋葬する場合に必要な書類となりますので、必ず受け取るようにしましょう。
万が一、死因が病気以外の事故・自殺・他殺などの場合には、さらに「死体検案書」という書類が必要になりますので注意が必要です。
2. 日本への遺体の搬送
遺体の搬送は国際航空便で運ばれることになります。通関の手続きも必要となりますが、在外公館の手続きを踏んでいればそれほど大変ではありません。
航空機で搬送する際には、安全上の問題からドライアイスを使用できませんので、現地で火葬を行う場合もあります。遺体をそのまま輸送するには、防腐処理が必要になることもあります。
現地で火葬した場合には「火葬証明書」が、防腐処理を施した場合には「防腐処理証明書」などの書類が必要になります。
注意するようにしましょう。また本人のパスポートも必要です。
3. 空港からの遺体搬送
日本の空港に遺体が到着してから、葬儀場や自宅まで搬送するのは葬儀社が受け持つことになります。遺族が勝手に遺体を運ぶことはできませんので、必ず専門業者に依頼し、スケジュールを調整するようにしましょう。その後、火葬や葬儀となります。ここからは日本で一般的に葬儀を行うのとあまり変わりはありません。必要書類だけは確認し、きちんとそろえておくようにしましょう。
事前の準備 ―― 海外に行くことを周囲に知らせておく
家族の死はどんな状況でもショッキングなものですが、それが海外でとなればさらに混乱することでしょう。そこで気をつけたいことは、たとえ数日でも海外に行くことを事前に家族や親しい知人に知らせておくことです。
国内でも家族と離れて暮らしている人や、旅慣れている人の場合にはいちいち旅程を知らせることもないかもしれません。しかし、いざというときに事情がわかる人がいると安心です。
事前の準備 ―― 海外死亡保険に入っておく
また、もうひとつ大事なことは、事前に海外死亡保険に入っておくことです。海外で日本人が亡くなった場合、上記のようにいくつかの行程があります。文章で読むとさらっと流れてしまうかもしれませんが、悲しみにくれる中でこれを自力で手配するのはとても骨の折れることです。
基本的に在外公館の職員が手伝ってくれますが、それでも実質、遺族が動かなくてはなりません。海外死亡保険に入っておくと、こんなときに保険会社が必要な手続きや遺体搬送の手配をしてくれます。
費用の準備も必要
こういった一連の手配には、書類作成料金や遺体の防腐処理費用、搬送費用など、さまざまな場面でお金がかかります。
手配の内容やかかる金額は国によっても違いますが、そうした面でも海外渡航が多い人はもちろん、たまの海外旅行でも、お守りがわりに入っておくとよいのではないでしょうか。