「往生って、そもそもどういう意味?」
「大往生って何歳から?」
このような疑問をお持ちの方、ぜひこの記事を読んでみてください。
こんにちは。創業59年、東京都三鷹市で7万5千件のお葬式をお手伝いしてきた株式会社AZUMA・東葬祭です。
「大往生」ということばを聞きますが、これはいったいどういう意味なのでしょうか。また、何歳からを「大往生」と呼ぶのでしょうか。
この記事では、「大往生」ということばについて考えてみたいと思います。
永六輔さんの『大往生』
「大往生」ということばは、もともとは1994年に放送作家の永六輔さんが放った大ベストセラー(岩波新書)のタイトルです。2018年12月時点では累計246万部も発行されているそうです。
全国をくまなく旅してまわったという永六輔さん。その中で市井の人々から聞いた死や病にまつわることばをまとめた、いわゆる無名の人たちの語録は、発売とともに爆発的な勢いで売れていきます。大ヒットの理由は、永六輔さんの人気に加え、高齢化社会がより加速する中で、同じ目線の市井の人たちのことばに共感した人が多かったことが挙げられます。
大往生とは、年齢よりも逝き方
大往生に明確な定義はありません。しいて大往生の定義を考えてみますと…
適度な長寿であること(80~90歳?)
大きな病気もけがもなく、苦しまずに亡くなっていく
亡くなる方も送り出す方も、納得いく形で死を迎えられる
…などが考えられます。
ですから、大往生というのは年齢のことではなく、むしろその方がどのように息を引き取るかという逝き方を指すものと言えるでしょう。
大往生はおめでたい?
人の死は悲しいものと考えるのが一般的ですが、「大往生」という言葉には、どこか「あっぱれ」「おめでたい」といった雰囲気が漂いますよね。
実際、日本各地には「長寿のお葬式はおめでたいもの」として受け継がれてきた風習が残っています。たとえば、参列者に小銭(長寿銭)やキャラメルなどのお菓子を配ったり、火葬の待ち時間に赤飯を食べる地域もあるそうです。
私たちも日々さまざまなお葬式のお手伝いをしていますが、90歳、100歳といった長寿の方のお見送りは、不思議と悲しみ一色にはならず、むしろ穏やかであたたかい雰囲気に包まれることが多いのです。
往生とは、極楽浄土に生まれ変わること
「往生」とは、極楽浄土に生まれ変わることを意味します。
極楽浄土とは、阿弥陀如来が作られたと言われる仏さまの住まう場所。浄土教(日本では浄土宗や浄土真宗など)の教えでは、阿弥陀如来の力を信じて、「南無阿弥陀仏」の念仏を称える人は、必ず阿弥陀如来が救って下さり、極楽浄土まで連れて行ってもらい、仏として生まれ変わるとされています。これが極楽往生です。
浄土信仰は、家の宗派関係なく、日本人の中に深くしみこんだ死生観です。そして、極楽浄土以外にも、たくさんの浄土があり、信仰を集めています。
●薬師如来の「瑠璃光浄土」
薬師如来による浄土で、東の彼方にあるとされています。薬師如来は病気や苦しみから救って下さる「医王」として信仰される仏さま。瑠璃光浄土とはその字のまま、瑠璃(青い宝石=ラピスラズリ)で飾られた大地が広がっているとされています。
●観世音菩薩の「補陀落浄土」
日本で大変人気のある観世音菩薩は「観音さま」の愛称で親しまれています。そんな観音さまが住まわれているとされているのが「補陀落浄土」です。インドの南にあるとされていることから、和歌山県の熊野地方では、補陀落浄土へ往生することを願って、南の海へ船を出す「補陀落渡海」と呼ばれる修行が行われていたそうです。
●大日如来の「密厳浄土」
真言宗の本尊・大日如来による浄土のことです。これまでの浄土のように、どこか別の場所に浄土という異世界が広がっているのではなく、「この場所こそが浄土だ」と考えるのが密厳浄土の特徴です。それは、真言宗が三密(身と口と意)を整えると、だれもがすぐに仏に成れると考えられているからです。
ほかにも、釈迦如来の「霊山浄土」や弥勒菩薩の「兜率天浄土」など、さまざまな浄土信仰があり、人々は、それぞれが信仰する浄土に「往生したい」と願ってきました。
このような、日本人の「亡くなったら浄土に行きたい」という素朴な信仰に、永六輔さんは「大」の字を付けたわけです。とても秀逸なタイトルだと思います。
おわりに
「大往生」とは、日本で古くから浸透している浄土信仰がベースにあり、「これが大往生」「何歳から大往生」と決まっているのものではありません。
長寿で、苦しまずに亡くなり、見送る方も納得できている状態が、往生なのかもしれません。
天寿を全うされた故人さまですから、こうした方のお葬式は、ご家族が集まって、おだやかに、あたたかく、時に明るく送り出したいものですね。
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