ここ数年「終活」という言葉をよく耳にするようになりました。
実際にもう行動している方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは、死後のためだけではなく、いま生きている人生そのものを幸せに送るための「終活」について、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。
「終活」とは
「終活」というと、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
一つは自分の死後の具体的な段取りなどを計画しておくことです。
例えば
・遺言を残す
・墓地や墓石を用意する
・葬儀会社を選び、葬儀のプランを相談しておく など
このように財産の整理や、自分の葬儀、供養について準備することは大切です。
家族に無用な心配や争いの種を残さないために、こうしたことについて次のようにきちんと整理しておくことも必要でしょう。
「幸せな終活」は家族と一緒に
終活で大事なのは、自分ひとりで行うのではなく、家族と共に行うということです。
もっと踏み込んで言うならば、自分の死後の希望について、「何をしてほしいか」ではなく、「誰に託すか」なのです。
どんなに、「葬儀はこのスタイルでしてほしい」「お骨はどこに埋葬してほしい」などと希望しても、実際にそれを実施するのは遺された家族です。喪主になるであろう家族にあなたの想いを知ってもらうことで、あなたの希望は叶いやすくなることでしょう。
そしてもうひとつ、家族と共に終活をすることで、家族との時間が増えます。これが幸せな人生のためには不可欠です。
一緒に葬儀やお墓について考える。遺産の使い方を話し合う。こうした時間の中で、これまでの半生を振り返ったり、親子それぞれの想いや気持ちを確認しあうことができます。
人は、自分の話を聞いてもらう、想いを受け止めてもらうことで多幸感が増すといわれています。ひとりでしがちな終活を誰かと共に進めることが、そのまま幸せな人生につながっていくのです。
家族がいない人は友人や専門家に相談を
終活を託す家族がいない人は、仲の良い友人や専門家など、信頼のおける人に話を聞いてもらうことが大切です。
あなたの葬儀や埋葬は、家族でなければできないわけではありません。「死後事務委任契約」という制度を使えば、第三者であっても死後事務(葬儀やお墓の段取り、医療費の支払、さまざまな契約事の解約手続きなど)を委任できます。
元気なうちに死後事務委任契約を交わした上で、終活について想いや希望を共有しておくことで、その人があなたの死後の面倒を見てくれるのです。
遺言書の注意点
遺言など遺産相続に関わるものは個人的に書面にするだけではなく、司法書士や弁護士などを通し、正式なものとしておくことが望ましいでしょう。
個人的に書いて保管しておくだけでは正式な遺言書として認められない場合があります。また、せっかく書いていても、いざという時に遺族の手に渡らず役に立たなくては意味がありません。必ず数人には遺言書があることを伝えておきましょう。
お墓選びのポイント
お墓に関しても、最近では少子化の影響や代々のお墓が遠方である場合など、買い直すケースも多いようです。
後継が望めない方や子孫に負担をかけたくない場合には「永代供養」の墓地を選ぶなど、墓地や供養の方法にも選択肢が広がってきています。
葬儀の段取り
葬儀などに関しては、望ましい葬儀の規模や見積もりを葬儀社と相談しておく人もおられるようです。
そこまでではなくても、希望する葬儀の形式や、葬儀までに連絡を取ってほしい知人を書き出しておくだけで家族は大いに助かることでしょう。
このように財産やお墓などについて準備しておくことは非常に大切です。
全く準備のない場合と比べれば、残された家族の苦労は何倍も軽くなることが予想されます。
「終活」は自分自身がよりよく生きること
以上のような具体的な準備に加えて、「終活」の本質は、終盤に差し掛かった自分の人生を見つめ直し、自分自身の現在をよりよく生きるための活動といえるでしょう。
例えば、ご自身ではなくご両親の終活などを手伝われる場合には、その人がどのように生きてきたかを聞いて差し上げるといいでしょう。
漠然と聞いても答えにくいものかもしれませんので、誕生日などをきっかけに思い出などを少しずつ聞いてあげられるといいですね。
ご自身の終活は、財産やお墓をどうするかはもちろん、それらを通して自分が余生をどのように生きたいか、考える機会になります。
そうすると自ずと整理・処分しておきたいもの、子や孫に遺したいものが見えてくるようです。
終活は死へ向けての準備ではありますが、決して生きることを諦めるわけではありません。
自身や家族を今一度見つめ直し、より良い時間を過ごすためにも、一度は検討してみる価値があるのではないでしょうか。
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