通夜や葬儀を済ませると、すぐに四十九日や一周忌、三回忌などの法要が行われます。
法事に招待してもらい、参列しなければならなくなった時に、どんなお供えを持って行けばよいのか、迷われませんか?
この記事では、法事に持参するお香典やお供え物について、金額相場やマナーなど、詳しくご説明いたします。
法事は、親族同士が集まって故人の安寧を願う場所
法事には、2つの意味があります。
ひとつは、定期的に家族や親族が集まって、故人の安寧を祈ります。
もうひとつは、この世に生きているもの同士がお互いのつながりを再確認します。
みんなで亡くなった人を供養することで死者と自分のつながっていることを感じられますし、死者や先祖を介することでいま生きている者同士、血縁や親縁のつながりがより強くなります。
法事は、素晴らしい死者供養の文化なのです。
供養は33回忌で完成する
最近では省略することも多々あるのですが、法事は本来は次のように行われます。
- 追善法要(中陰法要)
初七日、二七日、三七日、四七日、五七日、六七日、四十九日法要
「追善」とはあとを追って善徳を積むという意味です。
仏教では、死後四十九日を経て(この期間を「中陰」と呼ぶ)来世の生まれ変わる世界が決まると言われています。
遺された家族は法要を営むことで善徳を積み、死者が来世でよい世界に生まれ変わることを願ったのです。
首都圏では七日ごとの追善法要は省略することが多く、初七日法要は葬儀当日に行い、次は四十九日法要というケースがほとんどでしょう。地方によってはいまでも七日ごとにお坊さんがお参りする文化が残っています。
- 年忌法要
百か日、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十五回忌、二十七回忌、三十三回忌法要
インドでは四十九日の中陰を終えることで、新たな生を受けると考えられています。
これが中国に伝わると、十王信仰に基づいて、冥界の10人の王の裁きを受けなければないらない。インド式の四十九日までの法要に、百か日、一周忌、三回忌まで付け足したのが中国の法要です。
また、これが日本に入って来ると、十三仏信仰となり、法要は33年まで続いていくことになるのです。
最近では、親戚が集まるのは7回忌くらいまでで、その後は家族だけで執り行う傾向になっています。
- 33年を超えたら供養が完成する
33回忌(50回忌の地域もあります)を「問い切り」や「弔い上げ」などと呼びます。
これは、家々で祀ってきた個別の祖霊の供養が完成することを意味し、以降は村の山や森に還っていくと信じられており、神社で氏神として祀られてきます。
自宅で祀る位牌も、先祖代々の位牌を用意して、個別の位牌は寺院に引き取ってもらいます。
法事には手ぶらで行くべきでない理由
法事に参列する時にはなにかしらのお供え物を持参しましょう。
お金を包んだ「御仏前」がよいでしょう。
また、それに添えてお花や菓子折りやお線香などのお供え物を持って行くとより丁寧でしょう。
故人様を偲ぶために法事に参列するだけで、充分供養の想いは表現されています。
その上で、御仏前やお供え物という目に見える形を差し出すことで、みなさんの想いはより分かりやすく施主や遺族に届くことでしょう。
中には、施主側から御仏前やお供え物を断る場面も見かけますが、お供えは、差し出す側の想いや気持ちの込められたものです。
御仏前やお供え物のやりとりがある方が、お互いのつながりをより豊かに感じられるものではないでしょうか。
施主は食事や引き物を用意しなくてはならない
現実的に施主の立場になって考えてみましょう。法事に親戚たちを招くことで、当然食事や引き物の準備をしなくてはなりません。参列してもらった人たちへの感謝を込めて行う慣例で、これらをすべて施主が負担するのは、大変な出費となります。
法事は親戚をもてなすための場ではなく、家族や親族が集まって故人を偲ぶ場です。施主が取り仕切るのはもちろんですが、参列者みんなでお金を出し合って法事を作り上げると考えたほうが賢明であり、故人様も喜んでくださることでしょう。
法事には、手ぶらで行くべきではないのです。
法事では「御霊前」ではなく「御仏前」
法事に金品を差し出す時には袋の表に「御仏前」と書くのが一般的です。
その他「御香典」「御香料」「御供料」などでも構いません。
- 「御霊前」と「御仏前」の違い
葬儀の時には「御霊前」と書き、法事では「御仏前」と書くのには訳があります。
これは、四十九日を経て「霊」が「仏」となったと考えられるからです。ですから厳密には、葬儀に限らず四十九日が済まないうちは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」を用います。
浄土真宗のように、亡くなってすぐに仏になると考える宗派では、葬儀の時に「御仏前」を用います。
- 葬儀は薄墨、法事は黒墨
不祝儀袋やのし紙には表書きを書きますが、葬儀では薄墨、法事では黒い墨で筆書きします。
葬儀で薄墨が用いられるのは、悲しみの涙で墨がにじんでしまうことを表現するために用いられています。
ですから、法事の時は濃い黒墨で表書きを書きましょう。
細かい部分は宗派や地域性によって異なることもあるため、詳しくは近くの葬儀社などに相談してみましょう。
法事の御仏前の金額相場
法事の御仏前にいくらくらい包めばいいのか分からないという人もたくさんおられるでしょう。
親戚同士の関係性やつきあいの深さなどによって変わってくるので一概には言えないのですが、一般的な相場をまとめてみました。
- 故人様から見て、あなたが身内や親族の場合
(法要後の会食がない場合)10,000円〜30,000円
(法要後の会食がある場合)20,000円〜50,000円
- 故人様から見て、あなたが友人・知人の場合
(法要後の会食がない場合)5,000円〜10,000円
(法要後の会食がある場合)10,000円〜30,000円
気をつけなければならないのは、会食がある場合です。
施主側は参列者ひとりひとりに料理を用意します。
さらには、引き物(施主から参列者へのお返し)を準備して、1世帯にひとつずつ用意するのです。
ですから、御仏前の金額が、施主の負担を下回らないように気をつけましょう。
これはあくまでも目安ですが、料理の相場は1人あたり5,000円。引き物の相場は1人あたり3,000円程度でしょう。
お供え物や手土産のマナー
お香典と合わせて、お供え物や手土産があるとなおのこと丁寧ですが、必ずしも必要というわけではありません。
喜ばれるものポイントは「小分けにできるもの」「長持ちするもの」「あとに残らないもの」の3点です。仮にたくさんの人からお供え物をいただくと、施主の家だけでは処理しきれません。また「供養」という字にあるように、お供え物をみんなで分けて食べる(=養う)ことが故人の供養につながるとも考えられているのです。
この3点を満たす定番は、日持ちのするお菓子です。クッキーやマドレーヌなどの洋菓子や、せんべいや羊羹のようなまんじゅうなどが良いでしょう。果物も喜ばれますが、生物ですから比較的日持ちをするものを選びましょう。また、線香やろうそくなども喜ばれます。
お供え物もきちんと包装して、のし紙をかけ、水引をします。のし紙の上段には「御供」、下段には差し出す人の名前を書きます。水引は、四十九日までは白黒、四十九日以降は双銀や黄白を用います。
法事はいつ起こるかわかりませんし、不慣れなことなので知らないことばかりですよね?
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