どちらが節税?どちらがお得? 社葬と合同葬の違いとは?

故人が企業の創業者、あるいは重役、会社に大きな功績を残した人であった場合には、大変多くの参列者が見込まれ、一般の家庭で行われる葬儀とは全く異なる大型葬を執り行います。

会社が行う大型葬は主に「社葬」と「合同葬」とに分けられますが、この記事ではこれらの違いについてご説明いたします。

 

社葬、合同葬とは?

 

故人が会社に大きな功績を残した場合、家族が故人の供養のために葬儀を行うだけでなく、会社としても故人の顕彰したいと考えます。

家族としての葬儀だけでなく、会社としての葬儀をも執り行うのが、社葬であり、合同葬です。

 

「社葬」は会社が執り行う

社葬は故人が勤めていた会社が主催する葬儀です。

社葬は基本的に「密葬」と「本葬」を分けます。故人が逝去すると、まずはじめに近親者だけで密葬を執り行います。家族としての葬儀、あるいは寺院による宗教的な儀礼はこの密葬で営まれ、火葬までを行います。

そして四十九日をめどに社葬を執り行います。

大掛かりな葬儀となるため、葬儀の準備にも日数を要しますし、訃報もきちんと行き渡るようにします。

家族中心の密葬の費用は家族が負担しますが、後日行われる社葬の費用は企業が負担し、より社会的意味合いの強いものと捉えられています。

近頃では「お別れ会」としてホテルなどで盛大に、またカジュアルに執り行われる場合もあります。

社葬を執り行う理由は、故人の供養ももちろんありますが、どちらかというと、故人の顕彰の場、世代交代の知らせる場、つまり企業の「広報活動」としての側面が重要視されているようです。

 

「合同葬」は遺族と企業が合同で主催する

「合同葬」は故人が所属していた企業や団体などと遺族が合同で主催する葬儀のことです。この場合、密葬と本葬を分けずに一度で執り行います。

合同葬は社葬と違い、ご逝去から葬儀までの時間的余裕がありません。

また、企業と遺族が合同で主催するため、責任の所在を明確にしておかなければなりません。お互いが密に連絡を取り合って、なおかつ葬儀社の円滑なサポートが求められます。

合同葬の費用負担は、遺族と企業の話し合いによって決められます。

 

社葬の注意点

社葬の場合は企業が絡むため、費用の支払い方法、葬儀の進行管理、資料の保管など、特有の注意点もあります。

社葬は上でも述べたように、広報活動としての側面を持ち、葬儀費用を会社の経費として計上することができます。

ただしそれには事前に取締役会を開き、社葬を執り行うことについて正式に決定をしたという議事録を残すことが必要です。

この議事録がないと、たとえ葬儀に関する領収書が残っていても経費として計上できないことになります。

社葬と一般葬の違い

また一般の葬儀と違う点として、社葬では香典返しを用意しないのが特徴です。

これは「香典」は企業としては受け取らないという意味になります。

香典を企業が受け取った場合、厳密にいうと遺族にそれを渡すことに「贈与税」を支払わなくてはなりません。

ただ、参列者が香典を持参してはいけない、というわけではないのです。

香典はすべて遺族に渡されることが多いので、遺族が香典返しを用意し、後日郵送することが多いようです。

社葬に関わる機会はそれほどないかもしれませんが、勤務先の企業や交友関係によっては参列することもあるでしょう。こうした知識を持っておくといいですね。

 

経費として計上できるものとできないもの

社葬や合同葬を執り行った場合、経費として計上することで損金処理できるものがあります。

経費に計上できるもの、できないものは、主に以下のものがあげられます。

 

<経費として計上できるもの>

 

  • 会場使用料
  • 会場設営費
  • お布施(読経料)
  • 生花、祭壇費
  • 屋外設備費
  • 警備員などの費用
  • 通知状の作成費
  • 会葬礼状、会葬御礼品
  • 会場での飲食費
  • 新聞広告費

 

<経費として計上できないもの>

 

  • 遺族が主催で行った葬儀(密葬)の費用
  • 仏壇仏具の購入費
  • 墓地霊園の費用(墓石も含まれる)
  • お布施(戒名料)
  • 初七日、四十九日などの法要費用
  • 香典返し
  • 納骨の費用
  • 役所への手続き費用

 

葬儀というセレモニーを執り行うためのものが経費として計上され、故人の供養のためのものが経費に計上できないと分けることができます。

たとえば、お布施が分かりやすいのですが、お布施の中でも読経料は経費に計上され、戒名料は経費に計上できません。

前者がセレモニーの中で寺院の読経が求められるのに対し、戒名の授与は極めて個人的な事柄だからです。

初七日法要の費用は判断が分かれる所です。本来は死後7日目に家族だけで集まって行われる法要ですが、いまでは葬儀の中で行われるのが一般的です。

ですから合同葬の場合は、あくまで経費に計上できるかできないかが費用負担の線引きになりがちですが、明確な決まりはなく、最終的には遺族と企業の話し合いによって決まります。

 

中小企業の創業者の場合は社葬や合同葬がお得?

中小企業の場合、同族会社が多く、家族としての付き合いと仕事としての付き合いが重なっていることが多いため、社葬や合同葬にした方がお得なことがあります。

中小企業とはいえ、企業のトップの葬儀ですから、顧客や取引先の参列も想定され、それなりの受け入れ態勢を整えなければならず、費用負担も増していくでしょう。

合同葬にすることで葬儀費用を経費として損金処理できます。

 

 

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