葬儀告別式の前日に行われるお通夜。通常は夕方から夜にかけて行われますが、どうして夜でなければならないのでしょうか。
この記事では、お通夜を夜に行う意味や理由について分かりやすく解説いたします。
通夜とは、夜通し故人に寄り添うこと
通夜がどうして夜なのかという問いに答えるならば、そもそもの通夜の風習が、夜通し行われるものだったから、と言えるでしょう。
いまでこそ、私たちは「通夜」と聞くと通夜式のことを連想しますが、もともと通夜とは儀式のことではなく、家族が故人に夜通し付き添うことを指していました。
夜になっても休むことなく、お線香を絶やさずに番をしては、遺体を家族みんなで守ったのです。
そして、近所の人や関係者の人たちは、それぞれのタイミングで弔問に出かけ、家族にお悔やみを述べていました。
かつては自宅での葬儀が当たり前でしたから、家族はずっと家にいて故人に寄り添い、それを近所の人たちが見舞うという形で、弔問が行われていたのです。
日中が忙しい人も、夜だと参列しやすい
ここ数十年は、自宅ではなく、葬儀会館の利用が一般化してきました。それにならって、通夜も儀式化していきます。通夜式は、通常午後6時や午後7時などに開式し、その時間に合わせて弔問客も式場に駆けつけます。
夕方から通夜式が行われるのは、昔からの名残であることに加えて、弔問客が足を運びやすい時間帯だからです。
日中は仕事や学校など、さまざまな用事を抱えていますが、夕方からのセレモニーであれば仕事や学校帰りに駆けつけられます。もしも通夜式に間に合わなくても、午後9時くらいまでであれば会館側も受け入れてくれます。
通夜に行けない人は告別式に参列してもよい
中には、夕方や夜こそ忙しいという人もいるでしょう。通夜式の時間帯が都合が悪い場合は、翌日の葬儀告別式に参列しても構いません。都合のいい方で駆けつけましょう。
最近は、家族葬でする人、さらには一日葬にして通夜を省略するという人も少なくありません。その場合は、喪主や遺族の意向を尊重して参列するかしないかを決めましょう。
ただし、告別式に参列する際にはいくつかの注意点があります。まず、告別式は通夜とは異なり、故人を送り出す厳粛な儀式であるため、開始時間には遅れないように注意しましょう。
服装に関しても、通夜の時には「平服」が認められていますが、告別式に平服で参列するのはマナー違反です。ブラックフォーマルを着用しましょう。
また、告別式の後には出棺や火葬場への移動が控えているため、親族や近しい関係者が中心となります。参列者としては、告別式が終わった後、火葬場に向かう故人や親族を見送り、散会となります。
一日葬とは通夜のないお葬式のかたち
近年よく耳にする一日葬とは、通夜を行わずに告別式のみを執り行い、1日でお葬式の全行程を終える新しい葬儀スタイルです。従来のお葬式では、初日にお通夜、翌日に告別式という2日間の流れが一般的でしたが、一日葬ではその通夜を省略し、家族やごく親しい方々だけでシンプルにお別れをすることが可能です。
このスタイルが普及した背景には、家族葬が主流となったことがあります。多くの場合、親しい方々のみが集まるため、通夜をわざわざ行う必要がないと感じる遺族も増えています。そのため、短期間で負担の少ない一日葬が選ばれるケースが増えているのです。
時間的な制約がある方や、簡素で心のこもった葬儀を希望する方には、一日葬が適した選択肢と言えるでしょう。
故人との最後の夜。お通夜の魅力
お葬式と聞くと、ついセレモニーのことばかりを連想しがちですが、実は多くの人が、通夜式を終えた後の家族だけの時間が、非常に濃密で思い出深いと話します。故人との最後の夜、家族や親しい親族だけで過ごす時間は、単なる形式を超えた心温まる時間となります。
夜通し、故人について語り合い、思い出を共有することで、故人とのつながりを深く感じることができるのです。このような時間は、形式張った供養ではなく、心の底からの供養となり、故人への感謝や愛情をしっかりと伝えられる機会でもあります。特に、久しぶりに顔を合わせる親族との語らいも、家族や親族との絆を再確認する大切な時間となるでしょう。
お通夜は、単なる葬儀の一部ではなく、故人と最後の夜を共有する大切な場です。その魅力を知ることで、お葬式が単なる別れではなく、心を通わせる時間として深く心に刻まれることでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。お通夜の意味や魅力をお分かりいただけたかと思います。もちろん近年はお葬式のかたちも多様化しているので、旧来の方式に囚われず、ご遺族や故人に合った形で、最適な選択をすることが大切です。
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